宮崎駿監督が、イギリスの児童文学作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「魔法使いハウルと火の悪魔」を映画化。
魔法と科学が混在するファンタジーな世界を描いているのですが、舞台となる世界では戦争が間近に迫っています。愛国主義がはびこっているという設定は生々しいです。
この映画のテーマは戦争の愚かさであり、絆や信頼関係、そして愛といった所でしょう。
戦争の愚かさという点においては、かつての「風の谷のナウシカ」を彷彿とさせるものがあります。全く違う映画ですが、共通するメッセージが映画から伝わってきます。
絆や信頼関係、いいかえれば友情関係といっても良いかもしれません。ソフィーとハウル、カルシファー、マルクル、かかしのカブ…それぞれの絆や信頼関係が強くなっていくというのも見所でしょう。
映画の登場人物は異質です。本来ならば相互の理解というのができない者達が集まっています。
ですが、こうした者達のあいだに絆や信頼関係が生まれるのを描いているということは、異質の者どうしても理解し合え、信頼し会えると言うことを主張したいからでしょう。
そして、その先に平和があることを訴えたいはずです。「文明の衝突」への強いアンチテーゼです。
愛といったテーマにもこの異質の者というのが強く関係しています。
90歳の老婆にされてしまったソフィー、ハウル、かかしのカブ…本来交わらないであろう者達による愛というのは「ジェンダーフリー」に通じるものがあるのかもしれません。
宮崎駿関係アニメ(一部)
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
ソフィーは18歳。亡き父の遺した帽子屋を切り盛りしている。ソフィーは自分が帽子屋に向いているのか、本当は何をしたいのかよく分かっていない。
ソフィーは妹のレティーによく言われる。「本当に帽子屋になりたいの?」。でも、生真面目なソフィーには、コツコツと働くしかやることがない。
妹のレティーは八方美人で人当たりも良く、街いちばんのカフェ、チェザーリの看板娘。
ソフィーは自分を美しくないとも思い込んでおり、服装も地味、特に変わりばえのない毎日を送っていた。
ある日、ソフィーは妹のレティーが働く店に行こうとした。
街は出征兵士のパレードが行われていた。銃には花が飾られ、歓呼の中を兵士が行進する。荒地には、美女の心臓をとって食うという魔法使い、ハウルの動く城まで現れていた。
ソフィーは路地裏でナンパな軍人にからまられてしまった。その時に美貌の青年ハウルと出会った。ハウルは何かに追われているらしい。
ハウルは、ソフィーと共に空に舞い上がったかと思うと、束の間の空中散歩を一緒にする。ソフィーはハウルにほのかな恋心を抱き始めてしまった。
その夜、ソフィーは荒地の魔女と名乗る不気味な風貌の魔女に呪いをかけられ、なんと90歳のおばあちゃんに姿を変えられてしまう。
荒れ地の魔女は以前よりハウルを追いかけており、昼間にハウル会っていたソフィーに目をつけてきたのだ。呪いは他の人に事情を話せないという厄介な代物だった。
帽子屋に居られないと感じたソフィーはこっそり店を出てハウルの動く城が徘徊しているという荒れ地を目指す。
ソフィーが草むらに埋もれていたカカシを助けたところ、カカシは恩返しにハウルの動く城を連れてきた。90歳の老婆からは心臓はとらないだろうと思い、ソフィーは城の中に入った。
動く城にはハウルのほかに、ハウルと契約を結び、暖炉に縛りつけられているらしい火の悪魔カルシファー、ハウルの幼い弟子マルクルが住んでいた。
カルシファーは、ソフィーにかけられた呪いを一目で見破った。だが、カルシファーは呪いを解いてくれなかった。
カルシファーは、ハウルと契約を結び、動く城の暖炉に縛りつけられている。カルシファーはソフィーに、契約の秘密を見破ってくれれば、元の姿に戻してやる、と取引を持ちかける。
こうして、ソフィーの新生活が始まる…。
映画情報(題名・監督・俳優など)
ハウルの動く城
(2004年)
監督:宮崎駿
プロデューサー:鈴木敏夫
脚本:宮崎駿
美術監督:武重洋二、吉田昇
音楽:久石譲
原作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「魔法使いハウルと火の悪魔」
声の出演:
ソフィー/倍賞千恵子
ハウル/木村拓哉
荒地の魔女/美輪明宏
カルシファー/我修院達也
マルクル/神木隆之介
小姓/伊崎充則
かかしのカブ/大泉洋
国王/大塚明夫
ヒン/原田大二郎
サリマン/加藤治子
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