記事内に広告が含まれています

(映画)カサブランカ(1942年)の感想とあらすじは?

この記事は約7分で読めます。
スポンサーリンク

感想/コメント

第二次世界大戦中に制作され、公開された作品です。戦時中のラブロマンスを描いていますが、反ナチス色を前面に出している政治色の強い映画です。

ラブロマンスということもありますが、キザなセリフがポンポン出てきます。中には聞いたことのあるセリフもあるでしょう。例えば「君の瞳に乾杯」などです。

そしてハードボイルドな映画でもあります。ハードボイルドなのは、主人公を演じているハンフリー・ボガートによるところが大きいです。しれっと、くさいセリフを吐いても渋いのです。

そうしたハードボイルドなセリフとして有名なセリフも登場します。レイモンド・チャンドラーの小説の主人公・フィリップ・マーロウの有名なセリフ「強くなければ生きていけない。優しくなれなければ生きている資格がない」も有名ですが、次のセリフも有名でしょう。

イボンヌ:昨日の夜はどこにいたの?
リック:そんな昔のことは忘れた。
イボンヌ:今晩は会える?
リック:そんな先のことは分からない。

イボンヌ: Were you last night ?
リック: That’s so long ago, I don’t remember.
イボンヌ: Will I see you tonight ?
リック: I never make plans that far ahead.

この映画には有名なセリフがほかにもあり、アメリカ映画協会 (AFI)選定の 「アメリカ映画の名セリフベスト100」(2005年)に次の順位でいくつものセリフがランクインしています。

第5位:”Here’s looking at you, kid.”「君の瞳に乾杯」

第20位:”Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship.”「ルイ、これが俺たちの美しい友情の始まりだな」

第28位:”Play it, Sam. Play ‘As Time Goes By.” 「あれを弾いて、サム。『時の過ぎ行くままに』を」

第32位:”Round up the usual suspects.「いつもの要注意連中を一斉検挙だっ」”

第43位 : “We’ll always have Paris.”「僕たちの、心の中には、パリがある」

第67位 : “Of all the gin joints in all the towns in all the world, she walks into mine.”「世界に星の数ほど店はあるのに、彼女はおれの店にやってきた」

内田樹氏は「ハリウッド映画で学べる現代思想-映画の構造分析-」でハリウッド映画が女性嫌悪イデオロギー(ミソジニー)で満たされていることを指摘しました。

そこには物語の構造があり、アメリカン・ミソジニー物語の定型は次の通りです。

  • 女は必ず男の選択を誤り、間違った男を選ぶ。
  • それゆえに女は必ず不幸になる。
  • 女のために仲間を裏切るべきではない。
  • 男は男同士でいるのがいちばん幸福だ

この定型をハリウッド映画は執拗に反復し続けてきたと述べています。

その典型として、カサブランカや「明日に向って撃て!」、「バンディッツ」を挙げています。

女性嫌悪イデオロギーの歴史は、アメリカのフロンティア開拓の歴史が影響していると考えています。

詳細は本書でご確認を頂きたいのですが、ほぼ二世紀にわたってフロンティアの全域で繰り返し語られたであろう、選ばれなかった男たちの怨念を鎮魂する喪の儀式を誰かが執り行わなければなりません。

内田樹氏は、その祈りの一つがアメリカ文化に横溢する女性嫌悪の物語と考えています。

スポンサーリンク

あらすじ/ストーリー

カサブランカ

第二次世界大戦。1941年12月。

親ドイツのヴィシー政権の管理下に置かれたフランス領モロッコの都市カサブランカ。

ナチスドイツの侵略から逃れようと人々はアメリカを目指していた。アメリカ目指すためには、南フランスのマルセイユ船に乗り、アフリカに渡って陸路カフランス領モロッコのカサブランカから、中立国であるポルトガルのリスボンを経由してアメリカへ渡るしかなかった。

カサブランカには、亡命しようとする人でごった返していた。ある者は金で、またある者はツテを頼ってリスボンへのビザを手にした。そのカサブランカでドイツ人から旅券を奪って殺害する事件が起こっていた。

リック・ブレイン

カサブランカで酒場を経営するアメリカ人のリックは、なじみのウーガーテからリスボンへ渡るための旅券を預かるように頼まれた。リックはそれをピアノの中に隠した。

その頃、ドイツ軍の将校シュトラッサーがカサブランカに到着していた。出迎えたのはカサブランカの警察署長ルノーだった。ルノーは早速リックの経営する酒場をシュトラッサーと共に訪ねた。

ウーガーテはドイツ抵抗運動の指導者ヴィクトル・ラズロに旅券を売るつもりだった。その取引をリックの店でやるつもりだった。そこをルノーとシュトラッサーらに踏み込まれた。ウーガーテは抵抗したものの、逮捕された。

イルザ・ラントとの再会

その後、すぐにラズロが女と一緒に現れた。その女を見て、リックの店で働いているピアノマンのサムはハッと息をのんだ。女もサムに気が付いた。

女はサムを呼び、久しぶりねとあいさつすると、リックがいるかを尋ねた。サムはリックはいないとしらばっくれた。そして、女の希望によってアズ・タイム・ゴーズ・バイを歌った。

その時、リックが現れた。リックは女を見て驚いた。それはパリが陥落する前に理由を告げずに去った恋人イルザ・ラントだったからだ。

イルザが店を去って過去の思い出にリックは苦しんだ。

ヴィクトル・ラズロ

ドイツ抵抗運動の組織はカサブランカにもあった。そこのオルグがラズロに接触してきた。ラズロはドイツに併合されたチェコスロバキア人だ。ラズロは脱出のチャンスをうかがっていたが、ドイツ空軍のシュトラッサー少佐は、ラズロを市内に閉じ込めた。

闇市のフェラーリからリックが旅券を持っていることを聞いたラズロは、譲ってほしいと頼むが、リックは頷かなかった。これを見ていたイルザは、夜夫に気付かれないようにリックに会いに行った。

イルザは、夫を助けられるのはウーガーテが持っていた通行証しかないと知っていた。通行証を渡そうとしないリックに銃口を向けてお願いをした。だが、引き金を引くことが出来なかった。

パリの真実

パリでの約束を破った理由を尋ねたリックに、イルザは真実を話す。リックと出会った時、イルザはラズロと結婚していたのだ。だが、ラズロはナチスに捕えられ、収容所に入れられて死んだと聞かされていた。

そうした中で出会ったリックにイルザは心が救われたのだった。しかし、一緒に逃亡しようとする時にラズロが生きていることを知ったのだ。そして、ラズロが弱っていることを聞き、ラズロのもとへ戻ることを選んだ。真実を語れば、リックはパリに残るだろうから、何も告げなかったのだった。

カサブランカからの脱出

リックは、ルノーにラズロとイルザが通行証を欲しがっていることを打ち明けた。二人に通行証を渡すので、その現場を押さえろと持ちかけた。手柄をルノーにやるというのだ。

閉店後の店にやってきたルノーの前で、リックは約束通り、ラズロに通行証を渡した。その場を押さえたルノーだが、リックが裏切った。リックはルノーに空港に電話して、飛行機を飛び立たせる許可を出させた。そして、すぐに飛行場に向かった。

飛行場にはシュトラッサーが追いかけてきたが、イルザとラズロを逃がすためにリックはシュトラッサーを射ち殺した。だが、ルノーはリックを逮捕せずに、部下には犯人を捜すように命じた。

飛行機は二人の前を飛び立っていった。

映画情報(題名・監督・俳優など)

カサブランカ
(1942年)

監督:マイケル・カーティス
原作:マーレイ・バーネット,ジョアン・アリソン
脚本:ジュリアス・J・エプスタイン,フィリップ・G・エプスタイン,ハワード・コッチ
音楽:マックス・スタイナー

出演:
リック・ブレイン/ハンフリー・ボガート
イルザ・ラント/イングリッド・バーグマン
ヴィクトル・ラズロ/ポール・ヘンリード
ルノー署長/クロード・レインズ
シュトラッサー少佐/コンラート・ファイト
フェラーリ/シドニー・グリーンストリート
ウーガーテ/ピーター・ローレ
サム/ドーリー・ウィルソン
カール(ウェイター)/S・Z・サコール
サッシャ(バーテンダー)/レオニード・キンスキー
イヴォンヌ/マデリーン・ルボー
アニーナ・ブランデル/ジョイ・ペイジ
エミール(ディラー)/マルセル・ダリオ
オランダ人の銀行家/トーベン・マイヤー
リックにカジノ入りを拒否されるドイツ人バンカー/グレゴリー・ゲイ
ギターを持って歌う女性歌手/コリンナ・ムラ
アメリカ人/モンテ・ブルー
ウェイター/レオ・ホワイト

映画賞など

アカデミー賞受賞

映画100選

  1. 英エンパイア 史上最高の映画100本 2017年版
  2. AFI選 偉大なアメリカ映画ベスト100 1998年版
  3. AFI選 偉大なアメリカ映画ベスト100 2007年版
  4. 米Yahoo! 死ぬ前に見たい映画100 2009年版

AFI選 映画スターベスト100

タイトルとURLをコピーしました