記事内に広告が含まれています

(映画)ナルニア国物語/第2章カスピアン王子の角笛(2008年)の考察と感想とあらすじは?

この記事は約7分で読めます。

「ナルニア死す」。

前作「ライオンと魔女」から1,300年の歳月が流れたナルニア。

角笛(前作でスーザンがサンタクロースから贈られた魔法の角笛)に呼ばれて四人兄弟が再びナルニアへ呼ばれます。

ですが、そこで四人が見たナルニアはかつての生きとし生けるもの全てが幸福に包まれていた魔法の国は、もはや存在していませんでした。

ナルニアの民は侵略者であるテルマール人に追われ、深い森の奥で息を潜めて滅亡を待つのみだったのです。

ナルニアの危機に「英雄王」の長男ピーター、「やさしの君」の長女スーザン、「正義王」の次男エドマンド、「頼もしの君」の次女ルーシーが立ち向かいますが、そこにはナルニアの創造主であるアスランの姿はありませんでした。

「ライオンと魔女」では最初から「魔法の国」であったナルニアですが、本作では前半ではその面影が見えません。ですので、前作のような魔法ファンタジーを期待している人にとって前半部分は物足りなさを感じることでしょう。

前半では「魔法の国」のナルニアは遙か昔のおとぎ話の世界になっており、描かれている世界はむしろヨーロッパ中世の世界観です。

アスランが登場する後半になって、ようやく前作のような「魔法の国」ナルニアになります。アスランあってこそのナルニアであることがよくわかります。

アスランの登場だけでなく、絶対的な悪の象徴である白い魔女が登場することでもナルニアらしくないです。アスランと白い魔女の関係が相互補完的な点からもそういえます。

前半では王座をめぐる醜い権力争いが描かれ、その王座をめぐっては様々な人間の思惑が入り乱れます。

この権力争いに巻き込まれるのが、本作の題名ともなっているカスピアン王子です。

彼も最初はナルニアの存在を信じられなかったのですが、その現実を目の当たりにして信じるようになります。

そして彼は魔法の国ナルニアに共鳴し、ナルニアの民と人間たちとの和解を願うようになります。

「ライオンと魔女」でもそうでしたが本作でも頼もしいのは「頼もしの君」ルーシーです。

後半アスランが登場する場面で、これ以上勇敢だったら雌ライオンになってしまうとからかわれる位だが、いやいや、本当に頼もしいです。

前作ではすきっ歯がチャーミングな恐いものなしの女の子だったのが、さらにパワーアップした感じでした。

いっそのこと「勇敢女王」にでも名を変えればいいのに。

「ライオンと魔女」から成長したと言えば次男のエドマンド。ぶんなぐってやりてぇ、と思っていた前作からはすごく成長しました。

ひねた部分は見られなくなり、理性的な面が強くなっています。兄妹の中でもルーシーに対する理解が一番あるようです。

この映画で、かわいいキャラクター(おっと、かわいいと言ってはいけないんだった)といえば、ネズミのリーピチープ。

誇り高いナルニアの騎士で、どんな巨大な敵にも臆することなく立ち向かっていきます。

特に残念なのは、前作で劇中に流れた音楽が使われていないことです。

あの曲を使ったほうがよかったのに。

さて、ナルニア国の歴史について少々。

ナルニア暦

元年 :アスランが世界を創造 「魔術師のおい」年代記I
900年:白い魔女の冬の支配始まる
1000年:ペベンシー兄妹がアスランとともに春をもたらす 「ライオンと魔女」年代記II
1014年:アーケン国が隣国を撃退 「馬と少年」年代記III
1998年:テルマール人がナルニアを支配
2305年:カスピアン王子が森に逃亡 「カスピアン王子のつのぶえ」年代記IV
2306年:カスピアン10世大航海へ 「朝びらき丸、東の海へ」年代記V
2356年:リリアン王子を探す旅へ 「銀のいす」年代記VI
2555年:ナルニア国滅亡 「さいごの戦い」年代記VII

最後に。全編の約2/3がニュージーランド、チェコ、ポーランド、スロベニアでの大規模なロケ撮影です。

「ヨーロッパのハリウッド」と呼ばれるチェコのバランドフ撮影所では最大6つのスタジオが「カスピアン王子の角笛」に占拠されたといいます。

テルマール人の城は実際に200人のスタッフが15週間をかけて作りあげた実物でです。

監督は引き続きのアンドリュー・アダムソン。

そうそう、エンドロールが流れ始めたら、帰っても大丈夫。お楽しみはなしです。

ナルニア国物語を理解するうえでジョーセフ・キャンベルの「千の顔をもつ英雄」が参考になる。

シリーズ

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

ナルニア暦2,303年。

この国に「伝説の四人の王」ペベンシー兄妹が統治した黄金時代の面影はなかった。

ロンドンからナルニア国に現れ、創造主アスランと共に白い魔女を破った彼らがもたらした平和と繁栄は、彼らが現実世界へと戻ったその後、戦闘民族テルマール人の侵略によって奪われた。

長きに渡る迫害の末、生き残ったナルニアの民は深い森の奥に追いやられた。偉大なるアスランも去り、絶望のうちに息をひそめたナルニアの民と、「魔法の国ナルニア」は歴史から完全に葬られ、もはや単なるおとぎ話にすぎなかった。

テルマール人が支配するナルニアに君臨しているのは、先王亡き後、摂政を務める弟のミラースだった。

そして、ミラースに待望の男児が誕生したその夜、彼は長年秘めてきた欲望をついにあらわにし、王位を奪うべく、兄王の正統な世継ぎであるカスピアン王子の暗殺を命じた。

王子は彼の家庭教師であるコルネリウス博士の助けによって、刺客たちの魔の手から危うく難を逃れる。コルネリウスは、馬に跨るカスピアンに、テルマール人が忌み嫌う森へ逃れるようにと指示する。

そして、本当の危機が訪れた時に使うようにと、何かの包みを手渡した。

テルマール人兵士の追っ手が迫る中、カスピアンは森の奥深くへと愛馬を走らせた。森を恐れる兵士たちを引き離したことを確認しようと、王子が振り返ったその時、彼は木々をよけた愛馬から投げ出されてしまった。

その衝撃で、意識朦朧とするカスピアンの目の前で、近くの木に取り付けられた小さな扉が開き、不思議な生き物たちが姿を現した。

それは、コルネリウス博士が王国の禁を破って王子に語り聞かせた、ナルニアの伝説上の生き物たちだった。

彼らは、自分たちを迫害するテルマール人に姿を見られてしまった失敗を、どう取り戻そうか会話を交わす。彼らの姿に、衝撃を受けたカスピアンは、コルネリウス博士に渡された包みを開き、中から出てきた小さな象牙の角笛を引き寄せた。

そして、その角笛を見たナルニアの民の目が驚愕によって見開かれたその時、再びミラースの追っ手が現れ、カスピアンはその角笛を吹き鳴らした。

カスピアンの手に渡ったその角笛こそ、かつてスーザンに与えられた魔法の角笛であり、その音はナルニアに危機が迫る時、「伝説の四人の王」を呼び戻すと信じられていた。その角笛の音が、今、ナルニアの森から時を超えて鳴り響く。

それは、ナルニアの危急を告げ、戦いが迫ったことを告げる合図だった。果たして、長きにわたり闇に包まれたナルニアは、再び光を取り戻せるのか?

すべての運命は、カスピアン王子に握られていた…。

この年に公開された映画やドラマを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

映画情報(題名・監督・俳優など)

ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛
(2008年)

監督:アンドリュー・アダムソン
製作:マーク・ジョンソン、アンドリュー・アダムソン、フィリップ・ステュアー
製作総指揮:ペリー・ムーア
原作:C・S・ルイス
脚本: アンドリュー・アダムソン、クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

出演:
ルーシー・ペベンシー/ジョージー・ヘンリー
エドマンド・ペベンシー/スキャンダー・ケインズ
ピーター・ペベンシー/ウィリアム・モーズリー
スーザン・ペベンシー/アナ・ポップルウェル
カスピアン王子/ベン・バーンズ
コルネリウス博士/ヴィンセント・グラス
トランプキン/ピーター・ディンクレイジ
グレン・ストーム/コーネル・ジョン
アステリウス/シェーン・ランギ
ミラース/セルジオ・カステリット
グロゼール/ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
ソペスピアン卿/ダミアン・アルカザール
ニカブリク/ワーウィック・デイヴィス
声の出演:
アスラン/リーアム・ニーソン
リーピチープ/エディ・イザード
松露とり(トリュフハンター)/ケン・ストット

シリーズ

2008年前後の興行収入ランキング

歴代の興行収入ランキング

  1. 日本歴代興行収入ランキング(Top100)
  2. 世界歴代興行収入ランキング(Top200)

2008年公開の映画

(映画)ザ・マジックアワー(2008年)の考察と感想とあらすじは?

写真・映画用語で「マジックアワー」とは、日没後の「太陽は沈み切っていながら、まだ辺りが残光に照らされているほんのわずかな、しかし最も美しい時間帯」を指す。

(映画)マンマ・ミーア!(2008年)の考察と感想とあらすじは?

一組のアーティストの曲だけで構成するという構成は、ミュージカル映画としては、アリだと思った。ABBAの曲で映画を作るというのは、挑戦的だが、曲の雰囲気や流れという点での違和感が少ないというメリットがある。ただ、惜しむらくは、流す曲の順番を考えてほしかった。

(映画)20世紀少年1 終わりの始まり(2008年)の考察と感想とあらすじは?

浦沢直樹氏の「20世紀少年」を映画化。自身が初期段階から脚本に参加している。映画は原作とは異なるストーリー展開となっているそうだ。

(映画)ドラゴン・キングダム(2008年)の考察と感想とあらすじは?

原題は「THE FORBIDDEN KINGDOM」。中国語題は「功夫之王』。ジャッキー・チェンとジェット・リーが初共演したアドベンチャー武侠カンフー映画。

(映画)ハッピーフライト(2008年)の考察と感想とあらすじは?

飛行機の中だけを舞台にしているわけではない。裏で支えるグランドスタッフ、整備士、管制官、ディスパッチャー、バードパトロールを描いているのが見どころの一つだろう。

(映画)オーストラリア(2008年)の考察と感想とあらすじは?

題名から18世紀後半のいわゆる植民地として入植がはじまったころ、もしくは、その後の19世紀初頭を描いている映画かと思ってしまったorz。

(映画)ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝(2008年)の考察と感想とあらすじは?

全くといっていいほど、ジェット・リーのアクションが見られない。わざわざジェット・リーを使う必要があったのか?と正直考え込んでしまった。

(映画)容疑者Xの献身(2008年)の考察と感想とあらすじは?

真の主人公と言ってもよい石神役の堤真一のうらぶれた高校教師姿はよかった。極めて影が薄いように演じているところも良い。

(映画)おくりびと(2008年)の考察と感想とあらすじは?

静謐(せいひつ)という言葉がある。一般的には、おだやかで、しずかで、物音がしない様子をいうが、心の静けさ、気持ちの安定、落ち着き、穏やかさ、心地よさといった心の平安を意味する言葉

(映画)インディ・ジョーンズ4-クリスタル・スカルの王国(2008年)の考察と感想とあらすじは?

「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」から19年後の1957年が舞台となっている。「レイダース-失われた聖櫃(アーク)」の最後のシーンを覚えているだろうか?聖櫃(アーク)がある巨大倉庫に運び込まれていくシーンだが、今回はその巨大倉庫から始まる。

(映画)ICHI(2008年)の考察と感想とあらすじは?

子母澤寛(しもざわ かん)の「座頭市物語」が原作。今回は「市」の設定を女性にして、孤高を貫き生きる女、初めて出会った運命の男との切ない恋の行方を描く。

(映画)ライラの冒険/黄金の羅針盤(2008年)の考察と感想とあらすじは?

パラレルワールドということになっているが、どうやら、あちらの世界の方が何かとすすんでいるようである。動力源不明の「馬車」や、快適に飛行しているように見える飛行船...などなど。映像は綺麗だし、期待させる出だしである。

(映画)レッドクリフ PartI(2008年)の考察と感想とあらすじは?

三国志演義をベースにした「赤壁の戦い」を中心に描いた映画。歴史スペクタクル映画と言いたい所だが...。残念だが、映画史上に残る名作ではない。過去の名作と比べてしまうと、どうもねぇ。

(映画)陰日向に咲く(2008年)の考察と感想とあらすじは?

劇団ひとりの大ヒット小説「陰日向に咲く」の映画化。5編のオムニバス形式の原作を、組み合わせて実写化している。シンヤと鳴子を中心に映画は進んでいき、様々な人間の人生が交錯していくが、映画の中で全く他の人間たちと交錯しない登場人物がいる。

(映画)スラムドッグ$ミリオネア(2008年)の考察と感想とあらすじは?

社会性を前面に押し出した、いわゆる重い映画というのは数多くある。この映画が、こうした重い映画と異なるのは、一筋の希望を観客に与えている点だろう。そこが、各国で映画賞を総なめした最大の理由なのだろうか、と見終わって感じた。

(映画)僕の彼女はサイボーグ(2008年)の考察と感想とあらすじは?

きっと彼女は、もう一つの「ターミネーター」なのでしょう。その登場の仕方といい、未来から主人公を守りに来たという設定といい、近い将来に街が壊滅的な打撃を受ける点といい、よく似ています。

(映画)20世紀少年2 最後の希望(2008年)の考察と感想とあらすじは?

物語は新たな展開を迎える。「よげんの書」につづいて「しんよげんの書」が出てくるのだ。それはケンヂたちが考えたストーリーの続きだった。

(映画)トワイライト・サーガ1 トワイライト-初恋-(2008年)の考察と感想とあらすじは?

シリーズ1作目。ステファニー・メイヤーの世界的ベストセラー小説を映画化。10代の女の子を中心に人気があるシリーズで、人間とヴァンパイアが恋に落ちるファンタジー・ロマンス。

(映画)ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年)の考察と感想とあらすじは?

映画の中で「永遠てないんだな」という趣旨のセリフがたびたび登場する。この映画を端的に表しているわけではないが、映画の一部分を表現した印象的なセリフである。

(映画)山桜(2008年)の考察と感想とあらすじは?
原作のイメージぴったりというわけではないですが、かなり忠実に映画化されています。原作はかなり短い短編なので、一読してから見てもいいと思います。この短編を読めばわかりますが、ラストシーンがとても重要です。というより、このラストシーンのために全てがある作品です。
(大河ドラマ)篤姫(全話)の考察と感想とあらすじは?(主人公:天璋院篤姫)
2008年のNHK大河ドラマ「篤姫」の紹介です。激動の幕末期を江戸城の無血開城を迎えるまで大奥を束ねた篤姫(天璋院)の生涯を描きます。薩摩藩の分家から本家の養女となり、ついには将軍の御台所となり、幕末の動乱を乗り越え、徳川の家名を守り抜いた数奇な運命を辿りました。
(映画)隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS(2008年)の考察と感想とあらすじは?

「Star Wars」から影響を受けた「隠し砦の三悪人」に淡い恋物語をブレンドしたといった感じ?ダースベーダーもどきの鷹山刑部の登場には白けた。後半に登場する山名の砦はさしずめデススターだろう。

(映画)007 慰めの報酬(2008年)の考察と感想とあらすじは?
007シリーズ22作目。ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの2作目。「007 カジノ・ロワイヤル」から1時間後の設定。映画本編はシリーズ初の続編だそうです。本作では陸・海・空のチェイスが一つの見どころです。しょっぱなからカーチェイスで、...
タイトルとURLをコピーしました