007シリーズ24作目。ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの4作目。前作「007 スカイフォール」の続編。
本作で登場する「スペクター」が、ボンド本来の敵なのだそうです。諸事情により、映画から消えてしまったそうで、かれこれ30年以上経ってしまっているといいます。
007シリーズ1作目の「007 ドクター・ノオ」で謎の東洋人ドクター・ノオがボンドに自分の所属する組織の名と目的を語る場面があります。そこで語られる組織こそがスペクターでした。
スペクター(SPECTRE)とは、SPecial Executive for Counter-Intelligence, Terrorism, Revenge, and Extortion (防諜・テロ・報復・恐喝を目的とする特別執行機関)の略です。英単語のspectre(幽霊。米語ではspecter)にかけています。
そして、スペクターの首領ブロフェルド(クリストフ・ヴァルツが演じています)が姿を現したのは、日本を舞台にした007シリーズ5作目の「007は二度死ぬ」です。
そこに登場したブロフェルドは、スキン・ヘッドで、右目から頬にかけて大きな傷がありました。
その後、ブロフェルドは何度も整形を繰り返しているという原作の設定により、姿は毎回異なって登場してきました。
ですが、007シリーズ12作目の「007 ユア・アイズ・オンリー」で姿を消して以来、ブロフェルドはシリーズから姿を消してしまいます。
原作者イアン・フレミングとボンド小説の映画化脚本を手がけていたケヴィン・マクローリーらとの間での諸問題によるらしいです。
大人の事情ってやつです。
ですが、長年の交渉の末、スペクター権利問題をクリアーすることができて、本作での登場となったそうです。
ダニエル・クレイグ版の「007」シリーズは、007誕生から描き始めていることもあり、本来の敵が戻ってくるのはシリーズにとっていいことです。
さて、オープニングは少々気持ち悪いです。
タコがまとわりつくようにクネクネと画面をのた打ち回るような感じなのです。
ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンド
- 007 カジノ・ロワイヤル
- 007 慰めの報酬
- 007 スカイフォール
- 007 スペクター(本作)
- 007 ノー・タイム・トゥ・ダイ
舞台
イタリアのローマ
メキシコのメキシコシティ
イギリスのロンドン
モロッコ
オーストリア
日本の東京・・・ロケは行わなかった
南アフリカのケープタウン・・・ロケは行わなかった
小ネタ
オーストリアの高級クリニック「Hoffler Klinik」の設定で登場するのは、オーストリア・ソルデン(ゼルデン)のガイスラッハコーゲル山頂(標高3,048m)にあるレストラン「ice Q」。
えぇ、こんなところにレストランがあるなんて・・・。
あらすじ/ストーリー
メキシコシティ
死者の日。
町中が仮面をつけてのカーニバル。
ジェームズ・ボンドは建物の屋上からスキアラを狙っていた。
だが、スタジアム爆破テロ用のスーツケースにあたって爆発。
建物が崩壊する中、かろうじて建物の崩壊に巻き込まれなかったボンドは、おなじく辛くも逃げきったスキアラを追いかけた。
スキアラは仲間のヘリを呼び寄せて、逃げ切りを図ったが、ボンドはスキアラを追い詰めた。
そして、紋章の刻まれた指輪を奪って、スキアラをヘリから突き落とした。
ロンドン
MI6本部。
Mはメキシコシティの一件を重く見て、ボンドに謹慎命令を出した。
マネーペニーが「スカイフォール」から燃え残った遺留品を持ってきた。
なぜメキシコシティであんなことをしたのか問い詰めるマネーペニーに、ボンドは1本のビデオを見せた。それは、前Mからの遺言だった。
スカイフォールの残骸の中から1枚の写真を見つけた。
写真には少年時代のボンド、養父、そしてもう一人少年が写っていた。
ローマ
ボンドはQに追尾可能なチップを腕に埋め込まれた。
Qから新しいアストンマーティン・DB10を見せられた後、Qに少しの間だけ、追跡しないようにお願いした。
その間に、アストンマーティン・DB10を無断で持ち出してローマに向かった。
ローマでスキアラの未亡人ルチアに近づき、秘密組織の処刑人から彼女を守った礼に、組織の秘密会議が開かれることを聞きだした。
会議に潜入したボンドは、組織の首領がフランツ・オーベルハウザーという男だと知った。
だが、会場で存在がばれてしまい、スキアラの後任になったMr.ヒンクスに追われた。
ヒンクスとの激しいカーチェイスの結果、DB10はテヴェレ川に沈んでしまうが、なんとか逃げ切ることに成功した。
そして、マネーペニーに連絡し、Mr.ホワイトが生きていることをつかんだ。
オーストリア
ボンドはオーストリアの渓谷に向かった。
そこでホワイトが潜伏している。
ホワイトはオーベルハウザーと対立したことで携帯電話にタリウムを仕掛けられ、余命わずかだった。
ホワイトは、ボンドが娘のマドレーヌ・スワンを助ける前提で取引をした。娘を訪ねよ、そうすれば彼女が「アメリカン」を教える。そしてホワイトは自決した。
その頃、ロンドンで
ロンドンではMI5の新責任者であるCことマックス・デンビーがボンドの行動を問題視していた。
Cは00部門を廃止してMI6をMI5に吸収することを画策していた。
Cは目下、東京で開かれる世界会議で9か国の情報網を統合するという提案に力を入れていた。だが、当日の投票結果で、南アフリカが反対票を投じたため、提案は通らなかった。
だが、南アフリカ国内で爆破テロが起きると、南アフリカが賛成票を投じ、全会一致で案が通過した。
Cはボンドとマネーペニーの会話を監視していることをMに告げた。MはマネーペニーとQにボンドの追跡を断念するように伝えた。
再びオーストリア
ボンドはマドレーヌが勤めるオーストリア山岳地帯の医療施設を訪れた。
ボンドは密かに追ってきたQから本国での状況を知らされるが、ボンドの目の前でマドレーヌがヒンクスらにさらわれてしまう。
何とかマドレーヌを救出したボンドは、ホテルでQと合流し、組織の名称が「スペクター」であることを知る。
モロッコ
「アメリカン」は人ではなかった。モロッコにあるホテルの名前だった。
ホテル・アメリカンはMr.ホワイトが新婚旅行で訪れて以来、毎年家族と訪れていた思い出の場所だ。
部屋で手掛かりを探すボンドだったが、見つかったのは1本の酒だけだった。
ボンドは1匹のネズミが逃げ込んだ壁に貼り付けられていた絵がずれている事に気づいた。壁を破ると隠し部屋を発見した。
そこで見つかったのはある座標だった。そこは北アフリカの砂漠の真ん中だった。
砂漠
ボンドとマドレーヌは列車に乗ってスペクターの秘密基地に向かった。だが、車内でヒンクスに襲われた。
何とか撃退し、砂漠の駅で二人は列車を降りた。
しばらくすると、1948年式ロールスロイス・シルヴァーレイスが現れ、二人をクレーターの中に隠されたスペクターの基地に連れて行った。
二人がオーベルハウザーと対面すると、オーベルハウザーは二人に世界各国の監視カメラ映像を傍受する大規模な監視施設を見せた。
それは、Cの提唱する情報網統合案「ナイン・アイズ」を使い、各国の機密情報を掌握し、支配する事が目的のものだった。
ボンドはCもスペクターの息がかかっていることを知った。
そして、オーベルハウザーはマドレーヌにホワイトの死の瞬間の映像を見せつけた。それを阻止しようとするが、ボンドはオーベルハウザーの部下に昏倒させられてしまう。
オーベルハウザー
意識を取り戻すと、ボンドは拷問台に拘束されていた。
オーベルハウザーは20年前の雪崩事故のことを語り始めた。オーベルハウザーは雪崩事故に見せかけて、自分の父を殺したのだ。ボンドの養父でもあった。彼は嫉妬していた。
自らの死をでっち上げ、以来「エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド」を名乗っている。
ボンドは頭部に極細のドリルを突き刺される拷問にかけられるが、マドレーヌに小型爆弾を託して、基地を破壊し脱出した。
3度ロンドン
ロンドンに戻ったボンドはM、Q、マネーペニー、タナーとCの身柄を確保するために行動を開始した。ナイン・アイズがその日の深夜24時に正式稼働する前に、身柄を確保し、稼働を阻止しなければならない。
ボンドとMの乗ったジャガー・XJをCの部下が襲った。
ボンドは旧MI6本部に拉致されるが、ボンドは配下を倒して建物内に足を踏み入れた。
ボンドが建物を進んでいくと、最後の部屋でオーベルハウザーが待ち受けていた。
そして、ボンドにマドレーヌを拉致したことと、3分後に建物が爆破されると告げ、起爆装置のタイマーを作動した。
その頃、MとQ、マネーペニー、タナーは新国家保安センター庁舎に向かっていた。
Qはナイン・アイズのプログラムへのハッキングに成功し、システムを停止させていた。
MはCと直接対決し、最後はCが転落死した。
ボンドは短い時間の中で、マドレーヌを救い出し、間一髪建物の崩壊から脱出に成功した。
そのままオーベルハウザーが乗るヘリを追跡し、エンジン部分を狙い撃ちして、ヘリを落した。
オーベルハウザーが満身創痍の状態でヘリから逃げ出すところを、ボンドが立ちふさがった。
だが、ボンドはオーベルハウザーを殺さなかった。ボンドはマドレーヌのもとに向かい、去って行った。
映画情報(題名・監督・俳優など)
007 スペクター
(2015年)
監督:サム・メンデス
原案:ジョン・ローガン,ニール・パーヴィス,ロバート・ウェイド
脚本:ジョン・ローガン,ニール・パーヴィス,ロバート・ウェイド,ジェズ・バターワース
音楽:トーマス・ニューマン
テーマ曲:モンティ・ノーマン(ジェームズ・ボンドのテーマ)
主題歌:サム・スミス『Writing’s On The Wall』
出演:
ジェームズ・ボンド/ダニエル・クレイグ
フランツ・オーベルハウザー/クリストフ・ヴァルツ
マドレーヌ・スワン/レア・セドゥ
Q/ベン・ウィショー
イヴ・マネーペニー/ナオミ・ハリス
Mr.ヒンクス/デイヴ・バウティスタ
C(マックス・デンビー)/アンドリュー・スコット
タナー/ロリー・キニア
Mr.ホワイト/イェスパー・クリステンセン
エストレラ/ステファニー・シグマン
ルチア・スキアラ/モニカ・ベルッチ
M/レイフ・ファインズ
マルコ・スキアラ/アレッサンドロ・クレモーナ
M/ジュディ・デンチ
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