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(映画)伊賀忍法帖(1982年)の感想とあらすじは?

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感想/コメント

原作の浪費

山田風太郎という作家がすごいのは、史実は史実のままで残しておきながら、そこに異次元の物語を入れ込むことができるからです。

史実をベースにするので、話の展開や結論は分かっているのですが、そうくるか!という物語を展開します。

この次はどうなるんだ、このままでいくと史実と異なってしまうではないか?と思わせていて、さらに新たな展開を繰り広げるのです。

史実を曲げないために、構成が緻密になります。そして、その緻密さがあるからこそ、展開が自然となるのです。

緻密でありながら、大胆な展開こそが、山田風太郎作品の真の面白みです。山田風太郎は天才です。

ですが、この映画はそうした山田風太郎の姿勢に反して史実を曲げました。しかも、荒っぽい曲げ方です。

なんでしょう。この原作の無駄な浪費の仕方は。緻密さを全く感じさせないのはとても残念です。

商業主義か…

映画人としての気位が感じられない作品は見ていて面白くありません。

この時期の映画は、せっかくの面白い原作を、無駄に浪費して、つまらない映画を作っているとしか思えない作品が多いです。

そして、商業主義のにおいがプンプンする点も辟易します。

面白ければ商業主義のにおいがあろうと気にならないのですが、商業主義のにおいが勝りすぎていていただけません。

映画化された山田風太郎作品

  1. 魔界転生(1981年)
  2. SHINOBI(2005年)
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あらすじ/ストーリー

松永弾正

戦国時代。松永弾正は主の三好義興を己の城に招いていた。右京太夫と柳生新左衛門も来ていた。
松永弾正は右京太夫を己のものにしたくして仕方がない。

その松永弾正の前に果心居士が現れた。柳生新左衛門は果心居士を危険視したが、望みをかなえようという果心居士の誘惑に松永弾正は勝てなかった。

果心居士は羅刹坊を頭とした五人の妖術僧を松永弾正に貸し出した。媚薬を作って、右京大夫をわがものとするのだ。

篝火と城太郎

伊賀。一人のくノ一が竹藪をかけていた。駆け抜けた後には、竹が次々と切り倒されていた。修行の成果が実った瞬間だった。くノ一の篝火は伊賀の忍者・笛吹城太郎と喜び合った。二人は恋人だった。

その二人の前に妖術僧たちが現れ、城太郎は水呪坊が口から吐き出した粘液で顔を固められてしまった。なすすべもなく篝火は妖術僧たちに連れ去られた。そこに柳生新左衛門の一行が現れて、城太郎を救った。

篝火は松永弾正の城に連れていかれた。松永弾正は篝火を見て驚いた。右京太夫に瓜二つだ。篝火は右京太夫の双子の妹だった。

媚薬は惚れさせたい女性の血筋の生娘が犯されたときに流す涙を集めて作る。集められた涙は「平蜘蛛の茶釜」で煮つめてつくられる。

鬼火

篝火は自らの死を選んだ。だが、すぐさま虚空坊は松永弾正の愛妄・漁火の首をはね、二人の首を挿げ替えた。そして、生き返らせた。

顔は漁火で、体と心は篝火の女を金剛坊が犯し、集めた涙から媚薬が作られた。顔が篝火で、体と心は漁火の女は鬼火と名付けられた。ためしで作った媚薬の効果は絶大だった。

顔は漁火で、体と心は篝火の女は平蜘蛛の茶釜を持って城から逃げた。途中で城太郎が女を見つけた。城太郎は一部始終を聞いた。信じられない話だった。だが、そこに妖術僧たちが現れて、女を殺した。

城太郎は、平蜘蛛の茶釜を持って逃げ始めた。逃げながらの反撃で、一人の僧を殺したはずだった。だが、生き返った。妖術僧たちは不死身だった。

東大寺

東大寺。三好義興と右京太夫、そして松永弾正もいる中で平安祈願が執り行われていた。

そこを妖術僧たちが襲った。妖術僧たちは僧兵たちを操って混乱させ、そのすきに右京太夫を奪い去るつもりだった。

僧兵たちは大仏殿に火を放ち、大仏殿は炎に包まれ、大仏の首が落ちた。炎の中、城太郎は右京太夫を救い出し、首の落ちた大仏の台座の下に隠れた。

城太郎と右京太夫

城太郎は右京太夫があまりにも篝火に似ているので驚いたが、篝火と同じものを身に着けていることから、二人が双子の姉妹であったことが分かった。右京太夫は妹の無念を晴らしたいと思うようになった。

謎の手紙が舞い込んだ。隠れているのが妖術僧たちにばれたのだ。二人は急いで逃げた。

妖術僧

城太郎は妖術僧と戦った。虚空坊と水呪坊が休んでいるところを襲い、虚空坊を殺した。

生き返らせることができるのは、虚空坊ただ一人であるから、虚空坊を殺せば妖術僧たちは不死身で亡くなる。そして、城太郎は水呪坊を水に引きずる込んで殺した。

妖術僧たちとの戦いは熾烈を極めた。城太郎はなんとか金剛坊、破軍坊との戦いに勝った。

残るは羅刹坊。深い網笠で顔を隠していた羅刹坊は女だった。羅刹坊は三好義興に近づき、死に追いやった。そして、羅刹坊との戦いにようやく勝った城太郎。

果心居士

松永弾正は妖術僧たちが事を成就できなかったことへ怒りを爆発させていた。だが、この松永弾正を柳生新左衛門が刀で突きさし、成敗した。

最後に城太郎の前に立ちはだかったのは、果心居士だった。果心居士は右京太夫を貼り付け、火をつけた。城太郎と右京太夫は熱い抱擁をしながら、火に包まれた…。

映画情報(題名・監督・俳優など)

伊賀忍法帖
(1982年)

監督 / 斎藤光正
製作者 / 角川春樹
原作 / 山田風太郎
脚本 / 小川英
音楽 / 横田年昭
撮影 / 森田富士郎
美術 / 井川徳道、園田一佳
編集 / 市田勇
録音 / 橋本文雄
照明 / 増田悦章
スクリプター / 遠藤功成
助監督 / 吉原勲
技斗 / 菅原俊夫
衣装デザイン / コシノジュンコ
アクションアドバイザー / 千葉真一
アクションセッティング / JACコマンド
特撮監督 / 鈴木秀雄
撮影 / 宮島正弘
照明 / 岡本洋治
助監督 / 平野勝司
操演 / 白熊栄次、鳴海聡、香取康修
プロデューサー / 佐藤雅夫、豊島泉

笛吹城太郎 / 真田広之
篝火 / 渡辺典子(鬼火・右京太夫の三役)
柳生新左衛門 / 千葉真一
服部半蔵 / 田中浩
松永弾正 / 中尾彬
果心居士 / 成田三樹夫
漁火 / 美保純
羅刹坊(千鳥) / 風祭ゆき
金剛坊 / ストロング小林
水呪坊 / 佐藤蛾次郎
破軍坊 / 浜田晃
虚空坊 / 福本清三
三好義興 / 松橋登

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