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(映画)魔界転生(1981年)の感想とあらすじは?

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感想/コメント

山田風太郎

原作は山田風太郎の同名小説「魔界転生」です。登場人物の人数などに差があるなど、映画向けにアレンジされています。

主演

柳生十兵衛光厳の千葉真一、天草四郎時貞の沢田研二の配役ありきで制作されました。

二人の映画でのはまり具合を見れば、撮影前のイメージが相当出来上がっていたようです。

沢田研二の天草四郎の気色悪さは見事です!

最後の「人間がこの世にある限り、私は必ず戻ってくる、必ず戻ってくるぞ!ハハハハハハハ」というセリフは続編がありそうな感じでした。

その直後の終わり方が、ある意味衝撃的に、唐突だったのは、角川映画らしいです。

余韻とかそうした機微が感じられないのは、癖なのでしょうか…。

明暦の大火

映画の最後の江戸城が紅蓮の炎に包まれる場面は、明暦の大火をモチーフにしています。

撮影は特撮による合成ではなく、実際にセットそのものを燃やしました。このシーンで沢田研二はやけどをしたというから、迫力があるわけです。

明暦の大火は、江戸時代最大の大火。明和の大火、文化の大火と共に江戸三大大火の一つとされます。

江戸城の天守閣を焼き尽くし、以後、天守閣が再建されることはありませんでした。

そして、江戸の多くの大名屋敷や大半の市街地を焼失しました。死者は3万から10万人と記録されている大惨事になった火事です。

当時の将軍は、もちろん徳川家綱です。

九字護身法

柳生十兵衛と柳生宗矩の対決の中で、十兵衛が真剣白羽取りで宗矩の刀をつかみながら唱えているのが、九字護身法(くじごしんぼう)です。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)」の九つの文字から成る真言で、印を結びながら邪気を払います。

映画化された山田風太郎作品

  1. 伊賀忍法帖(1982年)
  2. SHINOBI(2005年)
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あらすじ/ストーリー

長崎の島原

寛永十五年。長崎の島原。地獄絵図が広がっている。あたり一帯には惨殺されたキリシタンの死体、首が散乱している。幕府軍は、2万の戦果を誇大にするため、首を二つに割って4万と称した。

幕府軍が酒宴を開き、能を堪能していると、雲行きが怪しくなってきた。ある首の目がカッと見開き、稲光が落ちた。能を見ていた武将たちが倒れた。そして、能面をつけていた者がむくっと起き上がり、戦のあとを見に行った。

天草四郎時貞だ。

四朗は地獄絵図を目の当たりにし、神を呪った。そして神への信仰を捨て、救われなかった兄弟たちの復讐を決意した。四朗は魔界の者として蘇った。

細川ガラシャ

天草四郎はこの世に未練を残しながら死んだ細川ガラシャを魔界衆として蘇らせた。

キリシタンのガラシャは夫・細川忠興から疎まれていた。だが、ガラシャはそうではなかった。互いの思いが通じない中、関ヶ原の戦いの際に、敵方の人質になっていたガラシャは細川忠興に見捨てられた。

細川忠興に対する心の奥底に秘めていた思いを天草四郎に見透かされたガラシャは、秘めた思いがあることを認め、蘇ることを受け入れた。

宮本武蔵

宮本武蔵は死に瀕していた。

猛者との戦いを振り返り、己との戦いを避けた柳生但馬守宗矩に思いが至ったとき、果たして柳生但馬守宗矩は戦いから逃げたのかという疑問にとらわれた。

柳生但馬守宗矩、そして、その息子・柳生十兵衛光厳との戦いをせずして満足なのか、自問自答する宮本武蔵。

その前に現れた天草四郎と、細川ガラシャ。異様な者二人を前に精魂を使い果たした宮本武蔵は、この世への未練を口にし、魔界衆として蘇った。

宝蔵院胤舜

寺から降りてくる坊主。登っていく巡礼姿の二人の女性。坊主は槍術の宝蔵院胤舜。胤舜は槍術は極めたものの、女性への煩悩が捨てきれなかった。

目の前に現れた細川ガラシャに惑わされる胤舜は、己の修行不足を嘆き自殺した。天草四郎が現れ、己の欲望に正直であれ、と諭され、そのことを受け入れて魔界衆として蘇った。

柳生十兵衛

伊賀の里。柳生十兵衛がやってくるという知らせを受けて、喜んでいた霧丸。その矢先、甲賀の玄十郎が率いる甲賀衆が隠れ里を襲ってきた。村人を守ろうとする霧丸も殺された。だが、ここにも天草四郎が現れ、霧丸を蘇らせた。

直後、柳生十兵衛が隠れ里に現れた。襲われた後を見て、十兵衛は驚いていた。生きている者がいないかを探す十兵衛の前に、5人の魔界衆が馬に乗ってやってきた。

異様な雰囲気に十兵衛は大木の上へ飛び乗り、なすすべもなかった。5人の中に霧丸がいることを見た十兵衛、そして、宮本武蔵と、宝蔵院胤舜の姿も確認した。だが、残る二人は誰だか分らなかった。

柳生但馬守宗矩

日光東照宮。四代将軍徳川家綱が参詣していた。そこで家綱が見初めた巫女がいた。お玉と名乗る巫女だったが、細川ガラシャが化けた姿だった。お玉はそのまま徳川家綱の側室となった。

だが、お玉が怪しい者であることに気が付いた松平伊豆上信綱と甲賀の玄十郎がお玉を除こうと画策していると、目の前に天草四郎が現れ、二人は城中で惨殺された。

柳生但馬守宗矩は柳生十兵衛から異様の者にあったという書状を受け取った。お玉が来てから城中がおかしなことになっていることを危惧した宗矩は、お玉を除くために城中へ向かうことにした。
表向きは乱心を装う。宗矩は村正を携えて登城の用意をしている。

後のことは柳生左門友矩に任せて屋敷を出た。その直後、宮本武蔵が現れ、宗矩か十兵衛との決闘を望んだ。

柳生左門友矩は父と兄が相手する程のこともないと、宮本武蔵と対峙するものの、一撃で頭を叩き割られ撲殺された。

登城中の宗矩の前に、宝蔵院胤舜が立ちはだかった。激しい戦いの末、宗矩が胤舜を一刀両断のもと斬り捨てた。だが、病に侵されていた宗矩も倒れてしまう。

天草四郎は宗矩を魔界へ誘うが、宗矩は生涯に悔いなしと拒んだ。しかし息子の十兵衛を想うとき、その剣士としてお資質を高く評価していた宗矩は、一介の剣士として十兵衛と戦いたいという願望を捨てきれなかった。

その願望を見透かされた宗矩は、天草四郎によって魔界衆として蘇った。

村正

江戸の柳生屋敷戻った柳生十兵衛は柳生左門友矩が何者かに太い木刀のようなもので撲殺されたことに気が付いた。そして、そのことを父・宗矩に問いただそうとした十兵衛は異様な宗矩に気が付いた。

柳生屋敷から去った十兵衛は宗矩と武蔵を倒すため、刀鍛冶の村正を訪ねた。村正のところには縁があって、武蔵が想いを寄せていたお通の姪・おつうがいた。村正の養女になっていた。

十兵衛は一振り打ってくれないかと村正に頼むが、宗矩のために打った刀で精根を使い果たしたと断った。

宗矩が村正に刀を依頼していことに十兵衛は驚いたが、その時、宮本武蔵が現れた。その異様を目の当たりにした村正は刀を打つことを承諾した。

扇動

下総の佐倉。天草四郎は霧丸とともに幕府天領の作物が不作となるように呪っていた。

作物は実らず、年貢の軽減を農民は嘆願にやってきた。だが、代官は年貢を下げなかったため、不穏になっていく。小競り合いが続く中、とうとう農民に死者が出た。

霧丸は完全には魔界衆にはなっていなかった。柳生十兵衛と再会した霧丸は、十兵衛に殺してくれと懇願した。この苦しみから解き放ってほしいと。だが、十兵衛は霧丸を殺さなかった。

磔となった仲間を見守る農民の前に、不可思議な出来事が起き、農民はついに立ち上がった。それを天草四郎が扇動した。

十兵衛はおつうやお光と共に、一揆で亡くなった多くの農民を葬っていた。その中には天草四郎を裏切って、殺された霧丸もいた。

魔界衆との対決

柳生十兵衛は宮本武蔵から決闘を申し込まれた。場所は舟島。十兵衛は村正を帯び、舟島へ向かった。そして二人の対決は。おつうの笛の音のなる中で行われた…。

江戸城。城では徳川家綱がお玉ことガラシャに溺れていた。そのガラシャの口から忠興の名が出た。家綱に追及され、もみ合っているうちに灯を倒してしまい、城が燃え始める。

紅蓮の炎に包まれる江戸城。柳生宗矩は息子・十兵衛が現れるのを待ちわびていた。十兵衛は全身に魔除けの梵字を描き、父・宗矩と対決した。

辛くも宗矩を破った十兵衛を天草四郎が襲いかかった…。

映画情報(題名・監督・俳優など)

魔界転生
(1981年)

監督 / 深作欣二
製作 / 角川春樹
プロデューサー / 佐藤雅夫、稲葉清治、本田達夫
原作 / 山田風太郎
脚本 / 野上龍雄、石川孝人、深作欣二
撮影 / 長谷川清
特撮監督 / 矢島信男
衣装 / 辻村ジュサブロー
音楽 / 山本邦山、菅野光亮

出演
千葉真一 / 柳生十兵衛光厳
沢田研二 / 天草四郎時貞
佳那晃子 / 細川ガラシャ
真田広之 / 伊賀の霧丸
神崎愛 / おつう
室田日出男 / 宝蔵院胤舜
松橋登 / 徳川家綱
菊地優子 / お光
久保菜穂子 / 矢島局
成田三樹夫 / 松平伊豆守
犬塚弘 / 宗五郎
内田朝雄 / 酒井雅楽頭
大場順 / 柳生左門友矩
成瀬正 / 甲賀玄十郎
島英津夫 / 柳生又十郎宗冬
飛鳥裕子 / 甲賀くノ一
浜村純 / 茂左衛門
三谷昇 / 旅の僧
鈴木瑞穂 / 小笠原少斎
丹波哲郎 / 村正
岩尾正隆 / 安井藤兵衛
中村錦司 / 石田上総守
河合絃司 / 神尾備前守
相馬剛三 / 阿部豊後守
有川正治 / 伊崎平内
鈴木康弘 / 富田主膳
秋山勝俊 / 与平
野口貴史 / 彦作
丘路千 / 堀田備中守
川浪公次郎 / 松平隼人正
梅沢昇 / 伊賀の長老
白川浩二郎 / 米十
東龍子 / 茂左衛門妻女
林三郎 / 水野勝成
小林将孝 / 戸田氏鉄
中江英生 / 細川忠利
角川春樹 / 板倉内膳正
白石加代子 / 声
カルロッタ池田 / 霊
緒形拳 / 宮本武蔵
若山富三郎 / 柳生但馬守宗矩

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