(映画)あかね空(2007年)の感想とあらすじは?

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感想/コメント

山本一力の直木賞受賞作「あかね空」の映画化。

江戸時代の深川を舞台にし、京からやってきた豆腐職人と、それを支える妻の波瀾万丈の人生、そして子供たちとの家族愛を綴る映画です。

原作に結構忠実ですが、原作の感動以上のものは得られません。良くも悪くも平凡な映画です。

映画冒頭の永代橋のシーンですが、VFX映像で再現しているものの、空の色が人工的すぎて、どうも違和感があります。

他にも江戸の街を遠景に見るVFXなどもありますが、同様に鼻につく感じです。

VFXなんて、どの映画でも使用されており珍しくはないのに、この「不自然さ」はいかんともしがたかったです。

この映画を作ったスタッフの技術がなかったのでしょうか?それとも予算のせいでしょうか?

もっとも、江戸の「雰囲気」を表現したいということでしたら、こんなものでいいのかもしれません。

ただ、五年後、十年後には、見られた映像じゃなくなっていると思います。

実写のシーンは良かったです。

本作のように場所が明記されている時代小説を原作にすると大変だろうなと思いました。

映画で深川八幡にお参りに行くシーンがありますが、撮影をどうするかで苦労したんだろうなぁ、と思わずにいられませんでした。

というのも、今の深川八幡は、コンクリートやアスファルトで境内が舗装されているおり、門前町など数十メートルで終わって永代通りにぶち当たってしまうからです。

あえて、映画の撮影で現在の風景を使うにしても、ほとんどをVFXで処理しなければ駄目です。

で、どうしているのかと思ったら、境内の風景が違うようですし、どうも別の場所を使ったようです。まぁ、当然の判断です。

さて、この映画、脇役が良かったです。

おふみの父親役の泉谷しげる。いやぁ、職人のオヤジ姿がはまっていました。

そして、豆腐屋・相州屋の石橋蓮司も、寡黙で頑固な職人がよく似合っていました。

この二人の頑固そうなところが映画によくあっていて良かったです。

永吉の豆腐作りの腕を素直に認めた嘉次郎役の勝村政信もいいアクセントでした。

敵役の平田屋役の中村梅雀も、ネチッコさと卑屈さを上手く演じており、さすがでした。

それと、一人二役で望んだ内野聖陽の傳蔵親分には凄みがあって、内野聖陽が演じた主役の永吉より存在感を出していた感じでした。

一方、おふみ役の中谷美紀ですが、日本髪が似合わない人なんだなぁ、とつくづく思いながら観ていました。

カツラが大きすぎて、なんだか滑稽な印象を持ってしまうのです。

顔のラインが細すぎると、カツラは似合わないことがよく分かりました。

原作の紹介は「時代小説県歴史小説村」で。山本一力「あかね空」

山本一力「あかね空」のあらすじと感想は?
第126回直木賞受賞作品です。永吉から見れば親子二代の、おふみから見ればおふみの父母をいれて親子三代の話です。本書あかね空ではおふみを中心に物語が進みますので、親子三代の物語と考えた方がよいでしょう。
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あらすじ/ストーリー/ネタバレ

深川蛤町の夏。

大通りを少し入った長屋。三軒長屋が四棟、井戸の周りを取り囲むようにして建っている。

その長屋の井戸端で汲み上げたばかりの釣瓶の中の水を口に含んで旨いと呟く旅姿の男がいた。

京の南禅寺そばの豆腐屋で修行し、江戸で店を持つためにやってきた永吉だ。この様子を長屋に住む桶屋の娘おふみが微笑みながら見ていた。

江戸の豆腐の大きさと固さに驚いた永吉。

長屋に落ち着き、豆腐屋を開くことにした永吉だが、京の柔らかな豆腐が江戸の人たちの口に合うか…。

「京や」と書かれた店開きの日は、長屋中の人が鍋や器を手に集まってくれたが、翌日から客足が途絶えた。腰のある木綿豆腐に慣れた深川の人間には柔らかい豆腐は合わなかったのだ。

水桶に売れ残った豆腐を前に考え込む永吉を、おふみは明るく勇気付けた。

相州屋清兵衛の女房・おしのは永吉を、かつて永代橋で迷子にして見失った我が子の正吉と重ね合わせていた。

だから、同業であるにもかかわらず、永吉の「京や」を助けたくなるのだ。この思いは清兵衛にも伝わった。

ある日、残った豆腐を永代寺に喜捨をさせてもらいたいと永吉とおふみが訪ねてきた。

「勝手にやんな」と冷たく突き放した清兵衛だが、心配になった清兵衛は永代寺にある願いをしに出かけた。

そして、そのことがあってからしばらくして、病がちだった清兵衛が息を引き取った。折しもその日は、永吉とおふみが祝言を挙げる日だった。

十八年後。

浅間山の噴火による飢饉や大火が江戸を襲った。あらゆる物価が高騰し、その物価の上昇は大豆にもおよんでいた。

相州屋があった家作に「京や」が移っていた。永代寺から居ぬきで借りているのだという。

永吉とおふみには長男栄太郎、次男悟郎、長女おきみという三人の子がおり、栄太郎は外回り、悟郎とおきみには豆腐作りをしている。

この栄太郎の様子がおかしい。寄り合いと称しての毎日のように外を出歩く。

その栄太郎は同業の平田屋に連れられて霊巌寺の賭場に出入りしていたのだ。

だが、負けが込んだ栄太郎は平田屋にすがって借金の証文を書くことにした。これで賭場に出入りできる。

だが、平田屋には魂胆があった。

平田屋は賭場を仕切る親分の傳蔵の助けを借り、「京や」を潰すつもりでいた…。

映画情報(題名・監督・俳優など)

あかね空
(2007)

監督:浜本正機
企画:篠田正浩、長岡彰夫、堀田尚平
脚本:浜本正機、篠田正浩
音楽:岩代太郎
原作:山本一力「あかね空」

出演:
永吉、傳蔵(二役)/内野聖陽
おふみ/中谷美紀
平田屋/中村梅雀
嘉次郎/勝村政信
源治/泉谷しげる
おみつ/角替和枝
栄太郎/武田航平
悟郎/細田よしひこ
おきみ/柳生みゆ
清兵衛/石橋蓮司
おしの/岩下志麻

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