ストーリーはどうでもいいですが、可能性を感じる映画ではありました。
パフォーマンス・キャプチャーという技術が用いられているのですが、これは役者の動きをコンピュータに取り込むモーションキャプチャー技術を、より精密緻密にしたもののようです。
要するに実在の俳優の姿格好をしたCG映画ということなのですが、皮膚感や顔の皺などの細かい点が再現できるようになったという点で、以前より進歩は見られます。
ですが、見ているうちに不自然さが目立つというのは、この技術がまだまだ途上にあるということを示しています。
そうはいっても、確実にこの手の技術が上がってきているということであり、やがては完全にナチュラルな映像というのも可能なのかもしれません。
可能性を感じるというのは、この延長上に、将来今まで考えられなかった映画が製作されるのを期待させたからです。
既に亡くなった過去の俳優を文字通りスクリーンに蘇らせることも可能になるだろうし、全く撮影を行わず、スタジオワークだけでの制作というのも行われるようになるかもしれません。
現在この技術及びソフトというのは信じられないくらい高額でしょうが、やがてはコストが下がっていくことになるでしょう。
一般の我々の手が届くところまでにどのくらいの時間がかかるかわかりませんが、楽しみな技術です。
もしかしたら20年、30年かかるかもしれませんが、音楽の世界では、すでに大規模のスタジオで録音しないで、家の中でもほぼ同レベルのものが録音できるようになっています。
そうした現実を見ると、時間の問題であるのは間違いありません。近い将来、個人のレベルでも、こうした映画が作れる時代が来るのを予感させてくれました。
ナレーションやアナウンサーのような原稿を読むだけの仕事であれば、ソフト上でイントネーションや抑揚などの問題をクリアした自然なしゃべり口をするものが出来上がっていると聞きます。
台詞というのも俳優が口にする必要がなくなる時代が来るのかもしれません。アフレコというのは、やがて存在しない時代が到来するのでしょう。
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
デンマークの王フロースガールが館で祝宴を開いていた。
その祝宴の騒々しさは巨人グレンデルの耳に焼き付き、耐えきれなくなったグレンデルは深夜に襲撃してフロースガール王の家臣を虐殺する。
一夜にして宴は惨劇の場と化す。
その噂は広まり、ベオウルフが従士を従え、海を渡ってフロースガール王のもとに訪れてきた。
ベオウルフは王と民にグレンデルを倒すことを誓う。早速グレンデルをおびき寄せるために、惨劇の起きた館に入り、グレンデルが現われた時と同じように祝宴を開いた。深夜になり、はたしてグレンデルが襲撃してきた。
ベオウルフはグレンデルと一騎打ちをし、ベオウルフはグレンデルの腕をもぎとった。
グレンデルは自分の住処の洞穴に逃げ込むが、傷が重く死んでしまう。
そのグレンデルを見て、母親がベオウルフに復讐を近い、館に秘かに忍び込んできた。
ベオウルフが翌朝目が覚めると、ベオウルフの従士は殺されていた。
ベオウルフはフロースガール王にグレンデルの母親の存在を聞き、これを討つために沼地の洞穴に赴いた。
そこには、この世のものとは思えない美女が住んでいた…
…時が過ぎ…
ベオウルフは王となっていた。そして老いていた。
やがて、この老身のベオウルフの治める国にドラゴンが現われた。
ベオウルフは最期の戦いになると覚悟の上でドラゴンと挑むことを決意した。
映画情報(題名・監督・俳優など)
ベオウルフ 呪われし勇者
(2007年)
監督:ロバート・ゼメキス
製作:ロバート・ゼメキス、スティーヴ・スターキージャック・ラプケ
製作総指揮:ニール・ゲイマン、ロジャー・エイヴァリー、マーティン・シェイファー
脚本:ニール・ゲイマン、ロジャー・エイヴァリー
撮影:ロバート・プレスリー
プロダクションデザイン:ダグ・チャン
衣装デザイン:ガブリエラ・ペスクッチ
編集:ジェレマイア・オドリスコル
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:
ベオウルフ/レイ・ウィンストン
フロースガール/アンソニー・ホプキンス
アンファース/ジョン・マルコヴィッチ
ウィールソー/ロビン・ライト・ペン
ウィグラーフ/ブレンダン・グリーソン
グレンデル/クリスピン・グローヴァー
ウルスラ/アリソン・ローマン
グレンデルの母/アンジェリーナ・ジョリー