記事内に広告が含まれています

Enya / Amarantine(2005年)の紹介と感想

この記事は約5分で読めます。

このアルバム

題名の「Amarantine」は「アマランタイン」と読み、ギリシャ語もしくはラテン語で詩人が「永遠の花」を語るときに使う言葉であるようです。

いつものように、エンヤが作曲と歌を担当し、ニッキー・ライアンがプロデューサー、妻のローマ・ライアンが作詞を担当という不動のチームでの制作となっています。(通算6枚目)

今回の一つの目玉は、ローマ・ライアンの作詞にあるでしょう。

いつもなら、エンヤの曲に、英語、ゲール語、ウェールズ語、ラテン語、スペイン語などの詞をつけてきましたが、このアルバムの数曲にはローマ・ライアンが作った造語・架空の言語”Loxian(ロクシャン)”が使われているからです。

この架空の言語を作るきっかけとなったのは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のために書き下ろした主題歌「May It Be」の制作の時のようです。

J.R.R.トールキン原作の「ロード・オブ・ザ・リング(邦題:指輪物語)」では、”エルフ語”という架空の言語が登場します。

これが、”Loxian(ロクシャン)”のヒントとなったようです。”Loxian(ロクシャン)”で歌われているのは、1曲目、5曲目、12曲目です。

私が思うに、ローマ・ライアンは、エンヤの歌声を一つの楽器として捉えているのかもしれません。そのために、エンヤの曲にマッチする言語を模索しているのでしょう。

異なる言語を使えば、その言語を母国語としている人以外にとっては意味のない音にしかなりません。

たとえどんなに詞が美しくても、それが感覚的に理解できるのは、その言語を母国語としている人だけです。その言語を母国語としている人以外にとっては、その言語のイントネーションや音の響き、リズムを感じるしかないのです。

ですから、ローマ・ライアンが複数の言語を使用するのは、詞に意味を持たすこと以上に、エンヤの声を曲にマッチングするイントネーションや音の響き、リズムを持つ言語を使用することを優先していることを示しているように思います。

その究極が、造語を創り出すということだったのでしょう。でなければ、一つのアルバムに複数の言語を使用する意味がありません。

そういう意味では、7曲目のSumiregusa(菫草)も同じ範疇に入るものだと思います。

日本語で書かれた詞は、松尾芭蕉の俳句などからインスピレーションを受けたものだそうです。聞き流してしまうと、日本語で歌われているのに気が付かないでしょう。

だいぶ前に、日本語は本来発声の美しい言語であると聞いたことがあります。

例えば、濁音は音の濁らせ方押さえる方法があり、それが日本語の音が持つ本来の美しさなのだと。この曲は、日本語という言語の本来の美しさを伝えてくれる一曲かもしれません。

昔から日本人は、日本固有の美しさを海外から教えてもらうことが多いです。この曲を聴いて、日本語の”音”の美しさを前に出した曲が登場するのを期待したいです。

おそらく、そういう曲は海外でも通用するだろうと思います。海外で活躍した日本人アーティストの多くは、日本の固有のメロディを何らかの形で使用していることが多いからです。それと同じ事です。

オリジナリティのあるものでなければ海外では通用しない。日本人にとってのオリジナリティとは、日本固有の美意識に根付いたものを使用することであると思います。

5曲目は、Enyaには珍しく、ドラム・パート(バスのみ)が入っています。他の曲に関しては、今まで通りのEnyaの世界が繰り広げられています。

一つのアルバムの制作にこれだけの時間をかけられるアーティストは少ないです。そして、その長い間隔において、絶えず制作を続けているアーティストも少ないのではないでしょうか。そして、一切の妥協をしない姿勢は、音楽に対する姿勢がとても真摯であると思います。

※この系統の音楽で他のアーティストを探したい場合は「美しき曲たち ワールドでファンタジックな音色」が多少なりとも参考になると思います。

※曲のリストをうまくご活用ください。きっとお目当ての曲が見つかると思います。良い音楽との出会いを楽しんでください。
※この年にリリースされたアルバムを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

曲目

Enya
2005
Album title
“Amarantine”
Label : Warner Music UK

1 Less Than A Pearl
2 Amarantine
3 It’s In The Rain
4 If I Could Be Where You Are
5 The River Sings
6 Long Long Journey
7 Sumiregusa
8 Someone Said Goodbye
9 A Moment Lost
10 Drifting
11 Amid The Falling Snow
12 Water Shows The Hidden Heart

エンヤのアルバム

2005年の他のアルバム

Bryan Adams / Anthology(2005年)の紹介と感想
オリジナル・アルバム9作から厳選された代表曲に、ライヴ・アルバム、サントラ、ベスト・アルバムからの人気曲を追加したアンソロジー・ベスト。
Cafe del Mar 25th Anniversaryの鑑賞録(曲目と感想と紹介を添えて)(超おススメアルバム)
今回は基本的にファン投票に依っているらしい。それにしても、みなさん良いのをチョイスしてくれました!!! 素晴らしい出来です。さすがはCafe del Marファン!!! 押さえるところをしっかりと押さえています。
Cafe del Mar 12の鑑賞録(曲目と感想と紹介を添えて)(超おススメアルバム)
カフェ・デル・マーの第12弾。全体の印象としては25周年記念盤の延長のような感じである。インパクトの強い、若しくは耳に残るような印象の強い曲がない。突出した曲がないが、アルバムとしてのバランスは良い。
Cafe del Mar ARIA3の鑑賞録(曲目と感想と紹介を添えて)
オペラを題材としているのが多いのは今までと同じ。また、Paul Schwartzのオリジナル曲が4曲収録。前2作に比べてPaul Schwartzのリミックスの力がかなり上がって、チルアウト向きのクラシックになっている。
タイトルとURLをコピーしました