(映画)利休にたずねよ(2013年)の感想とあらすじは?

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感想/コメント

市川海老蔵はよかったが…

市川海老蔵を筆頭に俳優陣の演技はよかったです。

特に前半で描いている、茶人としての千利休は、いい演技だったと思います。

市川海老蔵を原作者・山本兼一が指名したそうです。

この映画を決定的にダメにしたのは、演出と脚本です。

後半、高麗から売られてきた女性との逃避行シーンあたりから、雲行きが怪しくなってきます。とどめは心中しようとして、利休だけが生き残ってしまう場面です。

一気に白けます…。

おいおい、自分もすぐに後を追うからと、毒を入れた茶を飲ませ、自分は怖くて飲めなかったなんて、もっとましな演出できなかったのでしょうか。

そもそも、高麗の女性を殺してしまう過程を、あんなに長い時間描く必要があったのでしょうか?

淡々と短く描けばよかったのではないかと思うのです。

それまでの、流れを一気に帳消しにしてしまった演出は、ある意味見事ですが…。

この場面以降、白けた気分で映画を見る羽目になりました。

この映画の目的が、千利休を最低の男に仕立て上げることであるなら、まさに目的を達成した映画です。

終盤の、ようやくあなたのそばに行ける…、という科白は、どの面下げて言っているんだ???と罵倒したくなる場面です。

俳優陣の演技がなければ、見るに堪えない映画だったと思います。

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あらすじ/ストーリー

切腹の日

安土桃山時代。千利休の屋敷。
屋敷の周囲を3,000の兵が取り囲んだ。桐紋の旗がなびいている。豊臣秀吉が差し向けた兵だった。

利休の妻・宗恩が灯りを持ってやってきた。
利休は白装束を身にまとい、縁側に静かに座っていた。

天下を動かしているのは、武力と銭金だけではない。
利休は死を前に宗恩につぶやいた。
命は惜しくはなかった。美にすべてを捧げてきた。

宗恩は、利休にそっと尋ねた。ずっと想っていた人がいたのではないか、と。

21年前

織田信長城下を馬で駆け抜けていた。
それを遠巻きに見ていたのが、木下藤吉郎だった。

信長は城に戻ると、商人たちからの美術品を値踏みしていた。遅れてやってきたのが千宗易だった。
彼は黒漆塗りの硯箱を持って来て、縁側に置き、硯箱の蓋に水を注いだ。
信長はそれを見て袋に入っていた金をすべて与えた。

藤吉郎がのぞき込んでみると、金箔と螺鈿で飾られた花びらと波模様の間に月が映っていた。
見事な美しさだった。

宗恩と山上宗二

春。

宗易は屋敷で茶会を開いた。弟子の山上宗二も一緒だ。

この茶会には趣向を凝らしていた。
天井に満開の八重桜の枝が飾ってあり、開いたふすまからの風で花びらがひらひらと舞い落ちる。

夜。

宗易と宗恩は行燈に小鳥の姿を切り取った紙を壁に向け、映し出される影絵を楽しんでいた。
掛け軸の花の枝に小鳥が飛んでいるかのようだった。

宗恩は宗易に聞いた。自分のような者が宗易の妻でよいのだろうか。
宗易は宗恩に答えた。妻とすべきおなごは、そなたしかおらん。

12年前

宣教師が木下藤吉郎に案内され、茶席に向かった。
一人の宣教師は、また不味いものを飲まされるのかと不満を漏らした。
もう一人の宣教師はあの男に会えば、考えが変わると言った。

茶席で待っていたのは織田信長と千宗易。

宗易が点てたお茶のおいしさに宣教師は驚いた。

織田信長が宣教師に小さな茶壷を指さし、値段をつけさせた。
宣教師はヨーロッパではだれも買わないだろうと言った。
宗易は、茶壷の価値は、美を見いだせるものにしかわからないと述べた。
そして、美は己が決めること、己が選んだものこそが美であると言い放った。

10年前

羽柴秀吉が千宗易を訪ねてきた。
織田信長の怒りを買い、謹慎を命じられていた。
死を覚悟していた秀吉は最期に宗易の茶を味わいたいとやってきたのだった。

宗易のもてなしは一杯の稗の粥だった。
それを食べた秀吉は自分が百姓だった頃を思い出していた。

茶室には「閑」の掛け軸が飾られていた。
宗易は秀吉に閑かな心でいることを説いた。

心境を吐露しつくしたところで、宗易は自分からも信長にとりなしてみると言った。
人たらしの秀吉が宗易にたらされた瞬間だった。

宗易は瓦職人・長次郎を訪ねた。
そして、茶碗を焼いてもらいたいと依頼した。

9年前

本能寺の変。

織田信長の葬儀を取り仕切ったのは、羽柴秀吉だった。

目下の敵は柴田勝家のみ。血気はやる秀吉と家臣たちはすぐにでも戦を考えていた。
だが、そこに宗易からの使者がやってきた。茶室の名前を確認しに来たのだ。茶室の名は「待庵」。
それをみた秀吉は冬まで柴田攻めを待つことにした。

「待庵」の最初の客は、妻・宗恩だった。
にじり口、二畳ほどの狭い空間、質素で飾らない壁。宗易が目指してきた茶室の姿だった。

6年前

羽柴秀吉は関白となり、名を豊臣秀吉と改めた。

宗易も名を利休に改めた。
利とは鋭い刃物。その利を休む。つまり鋭さを程々にするということだった。

黄金の茶室。
秀吉は帝を招いて茶を点てた。簾の向こうには利休が控え、秀吉はその姿をまねしながら点てたのだった。
帝は茶に満足した。その視線は簾の向こうにあった。

茶のあと、秀吉は利休が肌身離さずにいる緑釉の香合はさぞかし高価なのだろうと言った。
利休は茶を教えてくれた人からの頂き物だと言った。

利休は瓦職人・長次郎のところにいた。
長次郎は利休の言うような茶碗が作れないと言った。
そこで利休は懐から緑釉の香合を出して長次郎に握らせた。
こういうことか…。長次郎は合点がいった。

北条攻め。
旅立っていた弟子の山上宗二が会いに来た。
師匠と弟子は久々の再開に喜んでいた。

秀吉が利休を呼んだ。茶を点てるためだ。
その席に山上宗二も呼ばれた。

秀吉は山上宗二が持っていた茶碗を、つまらぬ茶碗だと言って放り投げた。
怒った宗二が立ち去ろうとした。それに秀吉は不快感を覚えた。
察知した利休はすぐに土下座して秀吉に許しを請うた。だが、秀吉は山上宗二を斬り殺した。

切腹の年

石田三成が大徳寺の三門(金毛閣)にやってきた。
利休の木造が飾られている。
木造の下を人がくぐる、それは利休の股をくぐれと言っているのと同じだ。

利休は次第に疎んじられ始めていた。

三門の利休像が張り付けにされ、民衆の前で燃やされた。
そして、蟄居が命じられた。
秀吉は、緑釉の香合を出せば全て許すと言ってきたが、己がが額突くものは、美しいものだけだと、断った。

若かりし頃の利休

昔…。

19歳の利休はある日の夜に蔵に女が連れ込まれてきたのを見た。
女は高麗の王朝の娘で、さらわれ、売りとばされてきたのだった。

武野紹鴎は、女が何も食べないので困っていた。
利休は女の世話を買って出た。

利休は一目見た時から女の美しさに心を奪われていた。

女が運び出されることを知った利休は女を連れ出して一緒に逃げた。だが、すぐに二人は追い詰められた。
利休は心中を覚悟して茶を点てた。女は茶を飲み、そして息絶えた。
利休は後を追って毒の茶を飲もうとしたが、飲むことができなかった…。

切腹

利休は、白装束で茶室にいた。
緑釉の香合には爪が入っていた。それを炭の中にいれて燃やした。

そして自ら茶を点て飲み干し、切腹した。

映画情報(題名・監督・俳優など)

利休にたずねよ
(2013年)

監督 / 田中光敏
原作 / 山本兼一『利休にたずねよ』
脚本 / 小松江里子
撮影 / 浜田毅
美術 / 吉田孝
衣裳 / 石倉元一
編集 / 藤田和延
音響効果 / 柴崎憲治
音楽 / 岩代太郎
衣裳デザイン / 宮本まさ江
記録 / 松澤一美
照明 / 安藤清人
録音 / 松陰信彦
助監督 / 濱龍也

出演 /
市川海老蔵 / 千利休
中谷美紀 / 宗恩
伊勢谷友介 / 織田信長
大森南朋 / 豊臣秀吉
成海璃子 / おさん
福士誠治 / 石田三成
クララ / 高麗の女
川野直輝 / 山上宗二
袴田吉彦 / 細川忠興
黒谷友香 / 細川ガラシャ
市川團十郎 / 武野紹鴎
檀れい / 北政所
大谷直子 / たえ
柄本明 / 長次郎
伊武雅刀 / 千与兵衛
中村嘉葎雄 / 古渓宗陳

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