(映画)雨あがる(1999年)の感想とあらすじは?

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「雨あがる」の紹介です。

故・黒澤明監督が山本周五郎の短編をもとに書いた遺稿を、黒澤組のスタッフたちが映画化しました。

黒澤明監督が自らメガホンをとっていたら、違う作品になっていたかも知れません。

堅苦しくなく、見終わった後に爽快な気分になれる良質の時代劇。ユーモラスでさえあります。

時間も比較的短く、1時間30分の作品。

あっという間に終わるという感じです。

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感想/コメント

雨はいつかやむ

お人好しの浪人を演じている寺尾聰も好演ですが、それ以上に、妻・たよ役の宮崎美子の演技がよいです。

というより、もともとの設定が良いという感じです。

映画の始まりは長雨のシーン。

長い浪人生活に、鬱々とした気分でいる妻・たよの気分も湿りがちです。

早く仕官をして、武士らしい生活をしたいと心の中では望んでいても、現実を見据えると、諦めたくなります。

ですが、我慢を重ねればいつかは、夫も仕官できるに違いない…

そうした心理が、長雨の鬱陶しさに表現されています。

こうした我慢とあきらめが、ない交ぜとなった心境にある妻たよを、逆なでするかのような夫の行動。人の良さにも程があります。

人にかまう暇があったら、まずは私たちの生活をどうにかして。

ですが、こうしたたよの気持ちも、空が晴れるように、そして、雨があがるように変わっていくのです。

原作のプロットが元々すばらしいのです。

そして、それを見事に演じきった主演の二人の演技もあればこそ、ここまで清々しい映画となり得たのでしょう。

時代劇映画でこうした清々しさを感じたのは岡田准一主演の「花よりもなほ」以来かもしれません。

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あらすじ/ストーリー/ネタバレ

長い大雨で足止め

長い大雨で河を渡ることが出来ず、ある宿場町に足止めされることになった武士・三沢伊兵衛とその妻・たよ。

亨保時代。武芸の達人でありながら、人の好さが災いして仕官がかなわない三沢伊兵衛。仕官を求め、伊兵衛は旅の途中にある。

ふたりが投宿する安宿には、同じように雨が上がるのを鬱々として待つ貧しい人々がいた。

そんな彼らの心を和ませようと、伊兵衛は禁じられている賭試合で儲けた金で、酒や食べ物を彼らに振る舞い、楽しいひとときを過ごす。

果たし合いに遭遇

翌日、長かった雨もようやくあがり、気分転換に表へ出かけた伊兵衛は若侍同士の果たし合いに遭遇する。

これに、伊兵衛は危険を顧みず仲裁に入る。

この事を聞いた藩の城主・永井和泉守重明は、伊兵衛に剣術指南番の話を持ちかけた。

ところが、頭の固い城の家老たちは猛反対。

ひとまず御前試合で判断を下すことになるが、そこで伊兵衛は、自ら相手をすると申し出た重明を池に落とすという大失態をしてしまう。

消えた仕官の話

それから数日後、伊兵衛の元にやってきた家老は、賭試合を理由に彼の仕官の話を断った。

だが、たよは夫が何のために賭試合をしたかも分からずに判断を下した彼らを木偶の坊と非難し、仕官の話を辞退するのだった。

そして、再び旅に出る伊兵衛とたよ。

ところがその後方には、ふたりを追って馬を駆る重明の姿があった…。

映画情報(題名・監督・俳優など)

雨あがる
(1999)

監督 / 小泉堯史
原作 / 山本周五郎 新潮文庫「おごそかな渇き」
脚本 / 黒澤明
撮影 / 上田正治
撮影協力 / 斎藤孝雄
美術 / 村木与四郎
衣装デザイン / 黒澤和子
編集 / 阿賀英登
音楽 / 佐藤勝
照明 / 佐野武治
録音 / 紅谷愃一
監督補 / 野上照代

出演:
三沢伊兵衛/寺尾聰
三沢たよ/宮崎美子
永井和泉守重明/三船史郎
榊原権之丞(近習頭)/吉岡秀隆
おきん(夜鷹)/原田美枝子
奥方/檀ふみ
石山喜兵衛(家老)/井川比佐志
辻月丹(剣豪)/仲代達矢

受賞

1999年 ヴェネチア国際映画祭

  1. 緑の獅子賞

2000年 日本アカデミー賞

  1. 作品賞
  2. 主演男優賞 寺尾聰
  3. 主演女優賞 宮崎美子
  4. 助演男優賞 三船史郎
  5. 助演女優賞 原田美枝子
  6. 監督賞 小泉堯史
  7. 脚本賞 黒澤明
  8. 音楽賞 佐藤勝
  9. 撮影賞 上田正治
  10. 照明賞 佐野武治
  11. 美術賞 村木与四郎
  12. 録音賞 紅谷愃一
  13. 編集賞 阿賀英登

2000年 ブルーリボン賞

  1. 助演女優賞 宮崎美子

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