(映画)用心棒(1961年)の考察と感想とあらすじは

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「用心棒」の紹介です。

続編的な映画として「椿三十郎」があります。

細かい時代設定は異なりますが、本作の三十郎と椿三十郎の三十郎は人物像や着物が同じです。

とぼけた名乗り方も同じです。

本作では外の桑畑を見て、「桑畑三十郎。もっとももうすぐ四十郎だが。」と名乗り、椿三十郎では庭の椿を見て「椿三十郎。もっとももうすぐ四十郎だが。」と名乗ります。

また、本作同様に刀を一本しか持っていないので、本作の後日談と見たほうが楽しいです。

設定の細かさもいいです。

二人の親分の拠点のちょうど中間地点に居酒屋があり、棺桶屋があり、番屋があります。

この居酒屋に腰を据える三十郎は、まさにどちらにも味方せずというのを、位置関係で示しています。

棺桶屋は親分達の子分達が死んだら棺桶を作るというので、これもどちら方でもありません。

番屋は風見鶏で、どちらにもなびくので中間地点です。

上手く舞台配置を考えています。

また、最後の対決前に三十郎が念仏堂で舞っている木の葉に刃物を投げるシーンがありますが、これはラストシーンの布石として有効です。

他にもこうした点は多くあります。

配役もいいです。

主役の三船敏郎もそうですし、敵役の卯之助の仲代達矢もいいのですが、居酒屋の親父の東野英次郎がとても良かったです。

感想/コメント

本作の時代設定について。

卯之助が短銃を持っていたり、スカーフのようなものをしているところから幕末を舞台にしていると見ることもできます。

こうした見方とは別に、「八州廻り(はっしゅうまわり)」が登場する時点で、江戸後期だということがわかります。

「八州廻り」とは関東取締役出役(かんとうとりしまりでやく)の通称であり、その所轄するテリトリーは江戸を除く関八州です。

関八州をテリトリーとする捜査をするため、八州廻りの通称がつきました。

八州廻りにも十手が与えられ、銀鍍金に柄が金鍍金、紫の紐に紫の総というあつらえになっています。

設置されたのは文化二年(1805)で、勘定奉行配下です。

明治元年(1868)に先立つこと六十余年前ですが、この映画のように八州廻りが贅沢な駕籠を使用するようになるのは、幕末直前です。

さて、この映画に影響を受けた作品として、イタリアでセルジオ・レオーネ監督による「荒野の用心棒」(1964)があります。

黒澤には好評でクリント・イーストウッドの知名度も大きく引き上げた作品です。

この年に公開された映画やドラマを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

浪人が宿場町にやって来た。

犬が人間の手首を加えて横を通りすぎた。

居酒屋の親父は馬目の宿は縄張りの跡目相続をめぐって一つの宿湯に二人の親分が対立しており、互いに用心棒、兇状特をかき集めてにらみ合っているという。儲かっているのは、棺桶屋だけだ。

話しを聞いた浪人は、この二人の親分を戦わせ、根絶しようと言う。

浪人は親分丑寅の子分を三人ほど斬り捨てて腕の程を見せた。

もう一方の親分馬目の清兵衛は浪人を五十両で買った。

名を聞かれた浪人は窓の外の風景を見て桑畑三十郎だと名乗った。しかし、女房のおりんは半金だけ渡して後で三十郎を殺せと清兵衛をけしかけた。

これを聞き耳していた三十郎は、清兵衛の用心棒を断わり、居酒屋の権爺の店に居座って成り行きを見守ることにした。

両方から、高い値で買いにくるのを待った。名主の多左衛門は清兵衛に肩入れし、造酒屋の徳右衛門は丑寅について次の名主を狙っていた。

火の見やぐらの上で見物する三十郎の真下で斬り合いが始まった。その時、八州廻りがやって来て停戦となる。

丑寅の弟卯之助が帰って来た。短銃を持っており腕も相当なものだ。三十郎は丑寅方につくことにした。

丑寅の金蔓の徳右衛門は、百姓小平の女房ぬいを妾にしていた。小平から博奕の借金のかたにして取りあげてしまったのだ。

小平と息子の金助の情ない様子を知って、三十郎は亥之吉をだまして親子三人を逃がしてやるのだった。

「もう、こんな所へ来るんじゃねえ。」ひれ伏している親子。「早く行け!」三十郎は苛ついた。

ぬいが感謝のために三十郎に出した手紙を卯之助にみつけられ、三十郎は痛めつけられた上、土蔵に放りこまれた。

三十郎は奇策を弄してなんとか土蔵から逃げ出した。そして宿場はずれの念仏堂にひとまず身を隠した。

その間にも卯寅方は清兵衛一家に殴り込み、皆殺しにしてしまう。数日後、念仏堂へ棺桶屋が飛び込んできた。

居酒屋の親父が人質で捕まり、木にぶら下がっている。

映画情報(題名・監督・俳優など)

用心棒
(1961年)

監督:黒澤明
製作:田中友幸、菊島隆三
脚本:黒澤明、菊島隆三
撮影:宮川一夫
美術:村木与四郎
振付:金須宏
音楽:佐藤勝
監督助手:森谷司郎、出目昌伸、吉松安弘、和田嘉訓

出演:
桑畑三十郎/三船敏郎
居酒屋の親爺/東野英治郎
棺桶屋/渡辺篤
清兵衛の女房おりん/山田五十鈴
馬目の清兵衛/河津清三郎
清兵衛の倅与一郎/太刀川寛
名主多左衛門/藤原釜足
用心棒本間先生/藤田進
清兵衛の子分孫太郎/清水元
清兵衛の子分孫吉/佐田豊
馬の雲助/大友伸
清兵衛の子分弥八/天本英世
清兵衛の子分助十/大木正司
新田の卯之助/仲代達矢
新田の亥之吉/加東大介
新田の丑寅/山茶花究
丑寅の子分亀/谷晃
丑寅の用心棒かんぬき/羅生門綱五郎
丑寅の子分賽の目の六/ジェリー藤尾
造酒屋徳右衛門/志村喬
番屋の半助/沢村いき雄
小平の女房ぬい/司葉子
百姓小平/土屋嘉男
百姓の小倅/夏木陽介
無宿者の熊/西村晃
無宿者の瘤八/加藤武
百姓の親爺/寄山弘
百姓の古女房/本間文子

1961年公開の映画

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