最初に出てきた怪獣が、何というか、オモチャ感が(特に目のあたり)酷くて、えぇ…!?となりましたが、きっとゴジラが登場して退治するのだろうと勝手に踏んでいました。
まさか、進化、という発想になるとは思いませんでした。だって、ビニール人形のような怪獣、しかもエラから体液を出して、息絶え絶えなのがゴジラに変身するなんて思わないじゃないですか。
しかも、両手の手のひらは上を向いて、さながら仏像のような感じ。手に水晶玉を乗せれば、ありがたや、ありがたや、となる感じ満載です。
「シン」と敢えてカタカナにしたのは、「真」「新」など複数の漢字を充てられるようにしたためらしく、「神」という意味もあるようです。
「神」ゆえに、最後は破壊しなかったということなのでしょうか。まさに生き神ということでしょう。
映画の撮影地
映画の序盤、逃げ惑う人たちが逃げる先として登場するのが品川神社。源頼朝が勧請した神社とされ、東京十社でもある由緒ある神社です。
あらすじ/ストーリー
東京湾での異変
東京湾で、漂流する1隻のクルーザーが発見された。内には人はおらず、折り鶴が置かれていた。
11月3日8時30分頃。東京湾羽田沖で大量の水蒸気が噴出し、東京湾アクアラインのトンネルが崩落した。原因が分からなかったが、政府は海底火山か、熱水噴出孔の発生と見て対応を進めた。
内閣官房副長官の矢口蘭堂は、インターネット上の一般人による目撃報告や配信動画などを分析していた。そして、巨大な生物がいる可能性を考えたが、周囲は取り合わなかった。
政府は臨時の会議を繰り返すものの、原因が特定できないため、具体的な対応策が出せなかった。
巨大生物
爆発の起こった場所で動きがあった。巨大な尻尾のようなものが海面から飛び出しているのがテレビ報道されたのだ。政府は認識を改めた。矢口の言っていたこと当たり、専門家を招集した。だが、尻尾だけでは正体がわからず、依然として対応策が出せないでいた。
巨大生物は多摩川河口から大田区内の呑川を這いずるように遡上した。蒲田で上陸し、その姿を現した。巨大なトカゲのようなその巨大生物は街を破壊しながら北へ進み始めた。巨大生物の目的は分からなかった。
這いずり回るように動いていた巨大生物が街の真ん中で突然動きを止め、品川区北品川近くで直立二足歩行を始めた。巨大生物から小さな腕をはやすなどまるで進化のように姿を変えた。
政府の方針は駆除と決まり、自衛隊に害獣駆除を目的とした出動が要請される。自衛隊の攻撃ヘリコプターが攻撃位置に到着するが、逃げ遅れた住民が発見されたことで攻撃は中止される。
二足歩行になった巨大生物はしばらく歩んだが、やがてエラのようなところから赤い体液を流し苦しそうなようする見せた。そして、再び這いずり回り、京浜運河から東京湾へ姿を消した。
今回の巨大生物の上陸により、2時間強で死者・行方不明者100名以上の被害を出していた。巨大生物の再襲来に備え、矢口を事務局長とした「巨大不明生物特設災害対策本部」(巨災対)が設置された。被害地域では微量の放射線量の増加が確認され、巨大生物の行動経路と一致したことから、放射線源は巨大生物と判明する。
GODZILLA
アメリカからの要人カヨコ・アン・パタースンがやってきた。彼女は今回の騒動の鍵を握る人物を探してほしいという。牧悟郎という学者だ。しかし見つけられなかった。
その人物が残したものと思われる資料にはGODZILLA(ゴジラ)と書かれていることが分かっていた。巨大生物の正体は太古から生き残っていた深海海洋生物が、不法に海洋投棄された大量の放射性廃棄物に適応進化したのだ。それがゴジラだった。
牧は謎の暗号化資料を残していた。矢口はさっそく巨災対に解析させた。巨災対は各分野のスペシャリストの人間を集めたチームだったが、ゴジラの謎が解明できないでいた。
巨災対は、ゴジラが体内の原子炉状の器官から活動エネルギーを得ていると仮説を立てた。凍結させるしかない。経口投与によってゴジラを凍結させる「矢口プラン」の検討を始めた。
再上陸
4日後の11月7日。再びゴジラが現れた。前回の倍近い大きさとなったゴジラは鎌倉市稲村ヶ崎辺りに再上陸した。そのまま北上を続け、横浜市や川崎市を縦断して川崎市武蔵小杉に到達した。
自衛隊は武蔵小杉から多摩川河川敷を防衛線とした、ゴジラの都内進入を阻止するための総力作戦「タバ作戦」を実行する。ヘリコプターや戦車など何十台でゴジラを撃ち続けた。だが、傷一つ付けることができずに突破されてしまった。ゴジラはそのまま大田区、世田谷区、目黒区と進んでいった。
米国大使館防衛を理由に、アメリカ軍の爆撃機がグアムから飛び立った。港区にまで進行してきたゴジラに対し、米軍の爆撃機は地中貫通爆弾による攻撃を始めた。
ゴジラに初めて傷を負わせることに成功する。攻撃は効いていた。だが、次の瞬間、ゴジラの背びれが紫色に光り、口から真っ黒な煙を吐くと、街に衝撃波が広がった。その煙は真っ赤な炎に変わり、そして紫色の細い光線に変わった。ゴジラの口から放たれたその光線は街を破壊し上空を飛んでいた爆撃機を破壊した。爆撃機をすべて撃墜した。空からの攻撃は危険だとゴジラは認識し始めた。そして、やみくもに放たれる光線により、港区、千代田区、中央区の市街地が破壊された。
総理大臣官邸から立川広域防災基地へ避難する総理大臣らが乗ったヘリコプターも光線によって撃墜された。総理を含めた閣僚11名が死亡する。日本政府がマヒした瞬間だった。
破壊の限りを尽くしたゴジラはエネルギーが切れたように東京駅構内で突然活動を停止した。
対策
次の日、職場に戻った矢口はチームの半分が消息不明で戻らないことを悔やんだ。だが、悔やんでいる暇はなった。政府機能は立川に移転し、総理大臣臨時代理も立てられ、矢口はゴジラ対策の特命担当大臣に任命される。
米軍の爆撃で得られたゴジラの組織片の分析より、ゴジラは無性生殖により増殖してネズミ算式に群体化する可能性があることが分かった。個体進化により小型化や有翼化して大陸間を超えて拡散する可能性もあった。
そして、2週間後には活動を再開することが予測された。今こそ彼らが立ち上がり日本を救わなければならなかった。そのためにゴジラを倒す術を確立しなければいけなかった。
国連安保理はゴジラへの熱核攻撃を決議した。同時に住民360万人の疎開が始まった。
ヤシオリ作戦
熱核攻撃までには時間がない。ゴジラの身体の謎は解明されつつあり、凍結のための血液凝固薬を作るだけだった。矢口たちはゴジラを凍結させるために、全国のメーカーに電話をかけた。矢口プランは「ヤシオリ作戦」と改名され開始された。
ゴジラは本能で、近くを飛ぶ物は全て撃墜する。ゴジラに薬を投与するには近くまで車で行くしかなかった。そして、倒れたゴジラに経口投入が必要だった。
足止め作戦が必要だった。まずは活動停止をしているゴジラを無人運転の列車を使った爆弾で覚醒させた。
次に米軍の無人航空機群を飛ばした。ゴジラが光線で撃墜するが、これはエネルギー消耗のみを狙った作戦だ。エネルギーを消耗させ、光線を出せなくなるまで行われた。光線が途切れたところで、付近の高層ビルをゴジラ倒壊させ、ゴジラを転倒させた。
倒れたゴジラに向かって建設機械部隊とコンクリートポンプ車隊が接近した。ポンプ車のアームより血液凝固剤をゴジラの口内に流し込んだ。1度ではすべてを流し込めなかった。2度目の作戦が始まった。だが、2度目の口腔投入後もゴジラが動く。失敗か…。そう思った矢先、ゴジラが凍結し始めた。作戦が成功した。
熱核攻撃は止まった。だが、一時停止に過ぎない。ゴジラが活動を再開した場合はカウントダウンが再開する。
東京駅脇に凍りついたまま立ちつくすゴジラの尻尾の先端部には、背びれを持つ人型の小柄な生物数体が生じかけていた。
映画情報(題名・監督・俳優など)
シン・ゴジラ(2016)
監督 / 庵野秀明(総監督),樋口真嗣
製作 / 市川南
エグゼクティブプロデューサー / 山内章弘
プロデューサー / 佐藤善宏,澁澤匡哉,和田倉和利
ラインプロデューサー / 森徹,森賢正
脚本 / 庵野秀明
撮影 / 山田康介
美術 / 林田裕至
佐久嶋依里
デザイン / 前田真宏(ゴジライメージデザイン),竹谷隆之(ゴジラキャラクターデザイン)
編集 / 庵野秀明,佐藤敦紀
音響効果 / 野口透
音楽 / 鷺巣詩郎
音楽プロデューサー / 北原京子
美術デザイン / 稲付正人
VFXスーパーバイザー / 佐藤敦紀
VFXプロデューサー / 大屋哲男
スクリプター / 田口良子,河島順子
スタイリスト / 前田勇弥
ヘアメイク / 須田理恵
照明 / 川邉隆之
整音 / 山田陽
装飾 / 坂本朗,高橋俊秋
特技監督 / 樋口真嗣
特殊造形プロデューサー / 西村喜廣
録音 / 中村淳
アニメーションスーパーバイザー / 佐藤篤司(ゴジラアニメーションスーパーバイザー)
カラーグレーダー / 齋藤精二
キャスティングプロデューサー / 杉野剛,南明日香
プロダクション統括 / 佐藤毅
准監督 / 尾上克郎
総監督助手 / 轟木一騎
特技総括 / 尾上克郎
扮飾統括 / 柘植伊佐夫
出演
内閣官房副長官 矢口蘭堂 / 長谷川博己
内閣総理大臣補佐官 赤坂秀樹 / 竹野内豊
米国大統領特使 カヨコ・アン・パタースン / 石原さとみ
内閣官房副長官秘書官 志村祐介 / 高良健吾
保守第一党政調副会長 泉修一 / 松尾諭
環境省自然環境局野生生物課課長補佐 尾頭ヒロミ / 市川実日子
防衛大臣 花森麗子 / 余貴美子
統合幕僚長 財前正夫 / 國村隼
農林水産大臣 里見祐介 / 平泉成
内閣官房長官 東竜太 / 柄本明
内閣総理大臣 大河内清次 / 大杉漣
映画賞など
第40回日本アカデミー賞
- 最優秀作品賞
- 最優秀監督賞
- 優秀主演男優賞
- 優秀助演女優賞
- 優秀音楽賞
- 最優秀撮影賞
- 最優秀照明賞
- 最優秀美術賞
- 最優秀録音賞
- 最優秀編集賞
第71回毎日映画コンクール
- 日本映画大賞
- 女優助演賞
- 美術賞
第59回ブルーリボン賞