池波正太郎生誕100年を記念した作品です。二部作で、同じ年に公開されました。
原作を知らなくとも楽しめる時代劇です。雰囲気も映像も良かったです。
この二部作の翌年2024年に同じく池波正太郎生誕100年を記念した作品として「鬼平犯科帳 血闘」が公開されました。
第一作の原作は池波正太郎氏の「仕掛人・藤枝梅安 殺しの四人(第1巻 )」から下記3編がベースになっています。
- おんなごろし
- 梅安晦日蕎麦
- 秋風二人旅
第二作の原作は同じく「仕掛人・藤枝梅安 殺しの四人(第1巻 )」から下記2編がベースになっています。
- 秋風二人旅
- 殺しの四人
映画は最初の方を原作としていますので、「仕掛人・藤枝梅安」の世界で重要な登場人物となる小杉十五郎は登場しません。
メインとなるのは、藤枝梅安と彦次郎の2人です。藤枝梅安を演じるのは豊川悦司さん、彦次郎を演じるのは片岡愛之助さんです。
この組み合わせの梅安と彦次郎は良かったです。
豊川悦司さんの藤枝梅安は、静かな中に闇を感じさせました。
彦次郎のイメージは少し茫洋としたものですが、片岡愛之助さんの彦次郎は、キリっとした部分がよかったです。


あらすじ / ネタバレ
第一作
品川台町の藤枝梅安(豊川悦司)にはふたつの顔がありました。
腕の良い鍼医者の表の顔と、「蔓(つる)」と呼ばれる裏稼業の元締から金をもらって、生かしておいては為にならない奴らを闇に葬る冷酷な仕掛人の裏の顔です。
ある晩、仕掛の後、仕掛人でもある楊枝作りの職人・彦次郎(片岡愛之助)の家に泊った梅安は、帰り道に浪人・石川友五郎(早乙女太一)が刺客を斬り捨てる場面を目撃します。
刺客が死んだことを確かめ、医者が出る幕ではないと立ち去る梅安を、浪人はにらみつけました。
その後、梅安は蔓である羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)から料理屋・万七の内儀おみの(天海祐希)の仕掛を依頼されます。
三年前、万七の前の女房おしずを仕掛けたのは他ならぬ梅安でした。
梅安は、万七の女中おもん(菅野美穂)と深い仲になり、店の内情を聞き出します。
おもんの話では、おしずの死後、おみのが内儀になってから、古参の奉公人たちが次々と去り、店の評判は落ちました。ですが、儲けだけはあるというのです。
おみのは店に見栄えのいい娘を女中として雇い入れ、客をとらせているからでした。
おしず殺しの依頼人はおみのなのか…殺しの起り(依頼人)の身元を探るのは、仕掛人の掟に反すると知りながら、梅安は三年前のいきさつを知りたいと思い始めます。
そして、初めておみのの顔を見た梅安は息を吞みました。
それは梅安の過去の悲しい出来事を思い出させたのです。
第二作
京では、無頼の浪人集団が町家で暴れまわっていました。
金や酒、女を強奪し、逆らう者は容赦なく斬り捨てるという狼藉を繰り返しています。
その中心にいるのが井坂惣市(椎名桔平)という男でした。
そのころ、藤枝梅安(豊川悦司)は幼いころ自分を拾って、鍼医にしてくれた恩人・津山悦堂(小林薫)の墓参りをするため、相棒の彦次郎(片岡愛之助)とともに京に向かっていました。
道中で、彦次郎はある男の顔を見て「あの野郎、生かしてはおけねえ」とつぶやきます。
男は、彦次郎の妻と子を死に追いやった憎い仇でした。
彦次郎の生い立ちが初めて明かされます。
ですが、男はきちんとした身なりの武士であり、非道を働くような人柄には見えません。梅安は本当にこの男が仇なのか違和感を覚えます。
同じ旅籠に泊り、身元を探ると、男は 松平甲斐守の家臣・峯山又十郎(椎名桔平・二役)とわかります。
悦堂の墓前で、悦堂を亡き父の恩人だと感謝する又十郎と会話した梅安は、この男が仇ではないと確信します。
ですが、峯山には不審な動きもありました。
その夜、上方の顔役で殺しの依頼を仲介する元締でもある白子屋菊右衛門(石橋蓮司)と久しぶりに再会した梅安は、いきなり井坂の仕掛を頼まれます。
一方、店ですれ違いざま、梅安の顔を見て、目を見張る浪人がいました。
男は井上半十郎(佐藤浩市)。井上と梅安も切り離せない憎悪の鎖でつながれていたのです。
新春の祭りで華やぐ京の町で、彦次郎と仇、梅安と井上、暗い因縁の決着をつけるべき時が来ていました。
映画情報(題名・監督・俳優など)
監督 / 河毛俊作
エグゼクティブプロデューサー / 宮川朋之
プロデューサー / 吉條英希、田倉拓紀、高橋剣
原作 / 池波正太郎 『仕掛人・藤枝梅安』
脚本 / 大森寿美男
撮影 / 南野保彦
美術 / 吉澤祥子
衣装デザイン / 宮本まさ江
編集 / 野澤瞳
音楽 / 川井憲次
殺陣 / 清家三彦
出演
第一作・第二作の共通登場人物
藤枝梅安 / 豊川悦司
彦次郎 / 片岡愛之助
おもん / 菅野美穂
下駄屋の金蔵 / でんでん
おだい / 鷲尾真知子
梅吉 / 田中奏生
与助 / 小野了
おせき / 高畑淳子
津山悦堂 / 小林薫
第一作の登場人物
お香 / 中村ゆり
伊藤彦八郎 / 石丸謙二郎
石川友五郎 / 早乙女太一
善四郎 / 田山涼成
お里 / 吉田美佳子
嶋田大学 / 板尾創路
田中屋久兵衛 / 大鷹明良
大工の孫六 / 六角精児
御座松の孫八 / 趙珉和
お吉 / 凛美
お吉(幼少期) / 田中乃愛
お千枝 / 井上小百合
善達和尚 / 若林豪
お美代 / 朝倉ふゆな
羽沢の嘉兵衛 / 柳葉敏郎
おみの / 天海祐希
第二作の登場人物
佐々木八蔵 / 一ノ瀬颯
木村平次 / 吉田智則
岡部耕介 / 久保勝史
上島辰之助 / 大塚航二朗
石山文吾 / 浜田学
お芳 / 小林綾子
村木勝蔵 / 金井勇太
おひろ / 高橋真悠
白子屋菊右衛門 / 石橋蓮司
お崎 / 高橋ひとみ
攫われてきた少年 / 高橋來
おるい / 篠原ゆき子
長谷川平蔵 / 松本幸四郎
峯山又十郎、井坂惣市 / 椎名桔平
井上半十郎 / 佐藤浩市
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