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トップガン マーヴェリック(2022年)の考察と感想とあらすじは?

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前作「トップガン」が公開されたのが1986年でした。そこから36年を経て公開された続編が本作です。

「トップガン」は、映画の話題もそうでしたが、それ以上に映画で使われた音楽が大ヒットし、サントラがとても有名になりました。本作では、そうした音楽的な話題性はありませんでした。

「トップガン:マーヴェリック」では、前作に比べて恋愛要素が抑えられ、大人の再会劇として再構成され、大人になったマーヴェリックが後輩を父性的に見守るという世代交代を象徴する感じでした。

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感想

新しいラブロマンス

前作では、ケリー・マクギリス演じる教官のチャーリーとの恋愛が象徴的でした。

ドッグファイトがメインの映画にあって、唐突感のある青春ドラマ要素をぶち込んでも、まぁ、いいかと思わせたのが、全米1位を獲得したベルリンの”Take My Breath Away”(邦題:愛は吐息のように)でした。

本作では、チャーリーは登場せず、新たにペニーというヒロインが登場し、大人の恋愛が描かれます。

ジェニファー・コネリーが演じたペニー・ベンジャミンは、パイロットたちが集まるバーのオーナーです。

一人娘を育てるシングルマザーで、どうやらマーヴェリックと若い頃に恋愛し、何度かくっついたり離れたりしたようです。

ペニー・ベンジャミンは、前作で登場はしませんでしたが、映画のセリフの中で登場した人物です。

この二人の恋愛は、前作に比べて恋愛要素は薄れているという印象です。

そして、恋愛を盛り上げた、ベルリンの”Take My Breath Away”(邦題:愛は吐息のように)に匹敵するようなバラードは誕生しませんでした。

仮想敵国

本作では匿名のならず者国家が仮想敵国として登場します。

敵国の人間が一切登場しないようにしているのは、国際市場を意識した商業判断かもしれません。

ですが、登場する敵機がロシア製ですので、アメリカと関係の良くない国を想定すれば良さそうです。

海から近く、すぐに高い山脈のある国、・・・あるのでしょうか?

さて、本作では、仮想敵国を特定の現実国家と結びつけず、普遍的・抽象的な敵役として描きました。

そうすることで、作品の焦点を「人物の成長」と「ミッション」に絞りました。

トップガンの音楽

前作では、ベルリンの“Take My Breath Away”やケニー・ロギンスの“Danger Zone”などが大ヒットしました。

本作では、レディー・ガガの”Hold My Hand”、ワンリパブリックの“I Ain’t Worried”などが使用されましたが、かつてのような感じではありませんでした。

トップガンをすぐに想起させる”Top Gun Anthem”も、本作では消化不良の使われ方でした。

父性あふれる教官

前作は、若き熱血パイロットが描かれましたが、本作では、新人パイロットたちを訓練する教官という立場に転じています。

第三者的な立ち位置を得て描かれています。

特に印象的な「父性」を感じさせるのが、マーヴェリックとルースターの関係です。

かつての相棒グースの息子ルースターをマーヴェリックは「守るべき存在」として映し出しており、父性や責任感が強調されています

戦闘機の訓練で二人の複雑な心理関係を浮かび上がらせ、感情的な衝突がある中で、マーヴェリックがルースターに命運を託すシーンは、教官から父代わりへ変化を感じさせました。

ルースターは、マーヴェリックの相棒だった父・グースが事故死したことに、無意識ながら重い感情を抱えていました。

父の死に対する罪悪感と愛憎が、マーヴェリックへの距離感の根底にあります。

さらに、ルースターの直接的な怒りの原因は、マーヴェリックが海軍アカデミーへの入学願書を握りつぶしたことでした。

これによりルースターは約4年間のキャリアの遅れを余儀なくされ、強い怒りになっています。

マーヴェリックが願書を握りつぶしたのは、ルースターの母・キャロルの願いによるものです。

彼女は、息子が父と同じように命を落とすのを恐れ、トップガン留学を阻止しようとマーヴェリックに依頼したのです。

マーヴェリックは、そのことをルースターに語らず、自分の行いとして受け止めさせることを選びました。

ルースターとの関係の変化

マーヴェリックとルースターはウイングマン/コーパイロットとしてミッションに挑むことで、次第に互いを理解するようになります。

敵地に墜落しながらもルースターが命を賭してマーヴェリックを救い出すことで、二人は精神的な絆を取り戻します。

ルースターは、父が見たマーヴェリックの飛行を目の当たりにし、自分自身も理解し尊敬できるようになりました。

最後には、マーヴェリックがかつて父代わりとして果たせなかった役割を受け入れ、絆は「師弟」から「父と息子」へと変化していきます。

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映画情報(題名・監督・俳優など)

監督 / ジョセフ・コシンスキー
製作 / ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー、デヴィッド・エリソン
製作総指揮 / トミー・ハーパー、デイナ・ゴールドバーグ、ドン・グレンジャー、チャド・オマン、マイク・ステンソン
キャラクター創造 / ジム・キャッシュ、ジャック・エップス・Jr
原案 / ピーター・クレイグ、ジャスティン・マークス
脚本 / アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー
撮影 / クラウディオ・ミランダ
プロダクションデザイン / ジェレミー・ヒンデル
衣装デザイン / マーリーン・スチュワート
編集 / エディ・ハミルトン
音楽 / ハロルド・フォルターメイヤー、ハンス・ジマー、ローン・バルフェ、レディー・ガガ

出演
トム・クルーズ / ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル
マイルズ・テラー / ブラッドリー・“ルースター”・ブラッドショウ
ジェニファー・コネリー / ペニー
ジョン・ハム / サイクロン
グレン・パウエル / ハングマン
ルイス・プルマン / ボブ
チャールズ・パーネル / ウォーロック
バシール・サラフディン / ホンドー
モニカ・バルバロ / フェニックス
ジェイ・エリス / ペイバック
ダニー・ラミレス / ファンボーイ
グレッグ・ターザン・デイヴィス / コヨーテ
リリアナ・レイ / アメリア
エド・ハリス / ハンマー
ヴァル・キルマー / トム・“アイスマン”・カザンスキー
ジーン・ルイザ・ケリー / サラ・カザンスキー

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