グリム童話で知られるグリム兄弟の足跡を描いた映画…
ではありません。
そう思ってみてしまうと、面食らってしまうのは間違いありません。
なぜなら、ダーク・ファンタジー・コメディだからです。
ちなみに、グリム兄弟とは、19世紀にドイツで活躍した言語学者、文献学者、民話収集家、文学者の兄弟です。
通常は長兄ヤーコプと次兄ヴィルヘルムの二人を指しますが、グリム童話集で挿し絵を手がけた末弟・ルートヴィッヒも含むこともあります。
さて、この映画は「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」のテリー・ギリアム監督がグリム童話誕生秘話を描き出したダーク・ファンタジー・コメディです。
呪われた森を舞台にし、ヘンゼルとグレーテルや赤ずきんちゃん、眠れる森の美女などグリム童話のお馴染みの物語のエッセンスが散りばめられています。
特定の舞台で一挙に馴染みの物語のエッセンスが散りばめられるため、ここで童話が作られたのかしら?と思ってしまうほどです。
…まぁ、そんなわけはありません。
グリム童話自体に結構ダークな要素があるのはよく知られています。もちろん、このダークな要素は子供向けの絵本などでは削除されています。
民間伝承というのは、そのまま聞いたとおりに記述していくと、そうとうに卑猥で残酷な要素があるようです。
それをオブラートに包み、さらに、甘いシロップを垂らして仕上げているのが、現在我々がよく知る物語です。
例えば、ヘンゼルとグレーテル。母親に森に捨てられた兄妹が魔女に捕らえられますが、隙を見て魔女を焼き殺すというという残酷な記述もあります。
白雪姫では王子が口づけをして生き返る、というのがよく知られていますが、実は違います。
王子は白雪姫の入った柩を家来に運ばせるのですが、途中で疲れた家来が、棺から白雪姫を出し、やつあたりで殴り、その衝撃で白雪姫がリンゴを吐き出し、生き返ったというのが真相です。
その後、結婚披露宴で、毒リンゴを与えた王妃は、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊らされています。
ところで、本作のグリム兄弟は、のっけから、ペテン師役です。
えぇ!!いいのかぁ??映画のブラックな入り方に、正直驚いてしまいました。
ペテン師で、自作自演の魔物退治しかしたことのないグリム兄弟が、ある時本物の魔女と対決するハメになります。
こうしたところは、コメディタッチなのだが、この後からファンタジーの要素が強くなっていきます。
たまには、こうしたブラックな要素を含んだ映画を見てみるのもイイかもしれません。
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
19世紀のドイツ。呪文や魔術がまだ信じられていた時代。フランス占領下のドイツの街カールシュタッド。
兄ウィル(マット・デイモン)と弟ジェイコブ(ヒース・レジャー)のグリム兄弟は、各地の村を旅して、その地に伝わる古い物語を集め回っていた。
その一方で、村人たちを苦しめている恐ろしい魔物がいればそれを退治し、賞金を手にしていた。ところが、魔物の正体は兄弟とその助手たちがでっち上げたイカサマだった。
しかし、ドイツの村で芝居がばれて、その地を支配するフランスの将軍ドゥラトンブ(ジョナサン・プライス)の部下カヴァルディ(ピーター・ストーメア)に逮捕されてしまった兄弟。
そして彼らに、森で10人の少女たちが失踪するという奇怪な事件の謎解きを要求される。
さっそく調査に行った兄弟は、村人から敬遠されている猟師の娘アンジェリカ(レナ・ヘディ)をガイド役に、森の奥へ入っていく。
そして兄弟は、森の奥深くに立つかつて女王が住んでいたという伝説の高い塔にたどり着いたグリム兄弟は、その塔に伝わる女王の逸話を知る。
鏡の女王(モニカ・ベルッチ)はかつて魔力で永遠の命を手に入れたが、若さは失われ、それを取り戻すために12人の若い命を必要としていた。その運命の儀式は、月食の今夜、行なわれようとしていた。
映画情報(題名・監督・俳優など)
ブラザーズ・グリム
(2005年)
監督:テリー・ギリアム
製作:チャールズ・ローヴェン、ダニエル・ボブカー
音楽:ダリオ・マリアネッリ
出演:
ウィル・グリム/マット・デイモン
ジェイク・グリム/ヒース・レジャー
鏡の女王/モニカ・ベルッチ
カヴァルディ/ピーター・ストーメア
ドゥラトンブ/ジョナサン・プライス
アンジェリカ/レナ・へディ
ヒドリック/マッケンジー・クルック
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