(映画)オリバー・ツイスト(2005年)の考察と感想とあらすじは?

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「オリバー・ツイスト」をみました。

監督はロマン・ポランスキー。「戦場のピアニスト」でアカデミー賞に輝いた監督です。

…とその前に、まずは原作について。

文豪チャールズ・ディケンズ。この映画の原作「オリバー・ツイスト」を始めとし、「クリスマス・キャロル」、「デイヴィッド・コパフィールド」、「二都物語」などの有名な小説を書いたイギリスのヴィクトリア朝を代表する小説家です。

恥ずかしい話しですが、このチャールズ・ディケンズの作品は1冊も読んだことがありません。何となく時機を逸してしまったのです。

ですので、原作を知りませんから、原作とどのていど作品に乖離があるのか全く分かりません。

その上で…

オリバー・ツイスト役のバーニー・クラーク少年は概ね好印象でした。どのように劣悪な環境にいようとも、無垢な心を終始失わないオリバー・ツイストをよく演じていました。

それにしても、オリバー・ツイストという少年は、なぜあれ程までに無垢でいられるのだろうか?

原作を知らないので、ディケンズが当時のロンドンをどのように描いていたかが分かりません。映像で見る限りは、オリバー・ツイストは救貧院や治安の悪い貧民街といった劣悪な環境で生活をしています。

現在でも、スラムで育った少年達が犯罪にはしりやすいことを考えると、オリバー・ツイストも十分に悪の道を歩む可能性があります。しかし、オリバー・ツイストは決して悪の道に入り込むことはありませんでした。

感動的なのは、最後の場面でフェイギンのために、一緒に神に祈りを捧げるところです。あそこまで人を信頼し感謝できるオリバー・ツイストという少年は天使のようです。

きっと、このシーンが涙を誘う場面なのでしょうが、残念なことにグッと来るものはありませんでした。

そして、アートフル・ドジャー役のハリー・イーデンも良い配役でした。個人的にはこの少年が一番よかったです。

掏摸という小悪党でありながら、その凛とした姿。自分が小悪党ということは認識しつつも、決して一線を踏み越えて人を殺すようなロクデナシにはならない。その辺りの区切りをはっきりと持っている少年のように思いました。

そういうアートフル・ドジャーをハリー・イーデンは上手く演じていたと思います。特に、ハリー・イーデンの強くも澄んだ瞳が印象的でした。

ナンシー役のリアン・ロウ。実はこのナンシーの位置づけがよく解りませんでした。

なぜ、オリバー・ツイストがフェイギンの元に来たときからオリバー・ツイストに同情的だったのか?このナンシーはどういう設定の人物なの?

原作で詳しく書かれているのかもしれませんが、唐突な印象を受けた人物です。

フェイギン役のベン・キングズレーは小悪党を上手く演じ、ビル・サイクス役のジェイミー・フォアマンも人でなしの悪党を上手く演じていたように思います。

脇を演技者で上手く固めたのがよかったのではないでしょうか。もっとも、主役が少年ですから、脇をしっかりと固めないと映画にはなりませんね。

映画の風景も興味深かったです。

製作した国や地域がイギリス、チェコ、フランス、イタリアと多岐にわたっているようですので、監督のイメージにマッチする風景がイギリス国内だけでは見つからなかったのでしょう。

言われてみれば、オリバー・ツイストがロンドンに向かう7日間の旅での風景はイギリス国内にはなさそうな風景でした。

また、当時のロンドンの景色も興味深く見ました。80億円を投入し、プラハのバランドブ撮影所に19世紀ロンドンの街並みを忠実に再現する一大オープン・セットを建設したというから驚きです。

原作を読んだことのある人にとって、この作品はどうだったのでしょう。興味があります。

ロマン・ポランスキー監督作品

幅広いジャンルの映画を撮る巨匠で、作品も多くあります。

  • タンスと二人の男(1958年)
  • 水の中のナイフ(1962年)
  • 世界詐欺物語(1964年)
  • 反撥(1965年)
  • 袋小路(1966年)
  • 吸血鬼(1967年)
  • ローズマリーの赤ちゃん(1968年)
  • マクベス(1971年)
  • ポランスキーの 欲望の館(1972年)
  • チャイナタウン(1974年)
  • テナント/恐怖を借りた男(1976年)
  • テス(1979年)
  • ポランスキーの パイレーツ(1986年)
  • フランティック(1988年)
  • 赤い航路(1992年)
  • 死と処女(1994年)
  • ナインスゲート(1999年)
  • 戦場のピアニスト(2002年)
  • オリバー・ツイスト(2005年) 本作
  • それぞれのシネマ(2007年)
  • ゴーストライター(2010年)
  • おとなのけんか(2011年)
  • 毛皮のヴィーナス(2013年)
  • 告白小説、その結末(2017年)
  • J’accuse (2019年)
この年に公開された映画やドラマを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

19世紀の英国。

養育院で育った孤児オリバー・ツイスト(バーニー・クラーク)は教区吏のバンブル(ジェレミー・スウィフト)に連れられて、自分の生まれた救貧院へ戻される。

9歳に達した彼は、ここで他の子どもたちと一緒に寝起きし、麻屑作りの労働に従事することになる。だが、救貧院の食事はあまりにも粗末だった。

オリバーは夕食の席でおずおずとおかわりを求めたが、これがもとで救貧院から追放されてしまう。

追放されたオリバーは葬儀屋に引き取られたが、ここでの生活も先輩の徒弟によるいじめでうまくいかなかった。ある日オリバーはこっそり出て行った。そして、大都会ロンドンを目指す。

7日間歩き通し、ロンドンにたどり着いた。空腹のオリバーにに声をかけてたのは、シルクハットをかぶり大人のような妙な身なりをした少年、アートフル・ドジャー(ハリー・イーデン)だった。

彼はオリバーにかすめとったパンを食べさせ、ただで泊まれるところがあると言って、ロンドンの裏通りにある家へと連れて行った。

その家の主・フェイギン(ベン・キングズレー)はオリバーを歓迎した。こうしてオリバーのロンドン生活が始まった。だが、このフェイギンと一緒に暮らす少年達はフェイギンを頭とする盗っ人一味だった。

オリバーの掏摸の腕が上達した頃、ドジャー、チャーリー・ベイツ(ルイス・チェイス)と一緒に外出した。

本屋で立ち読みをしている紳士に目を留め、ドジャーとチャーリーが紳士のポケットからハンカチを抜き取ったが、本屋の店主に見つかってしまう。慌てて逃げるオリバーだが、捕えられ法廷に突き出されてしまう。

ハンカチを盗まれた紳士・ブラウンロー(エドワード・ハードウィック)、オリバーを自宅に連れ帰り、家政婦のべドウィン夫人(フランシス・キューカ)に手厚く看病させた。

その頃フェイギンと悪党仲間のビル・サイクス(ジェイミー・フォアマン)は、警察に捕まったオリバーが密告するのではないかと恐れ、ビルの情婦ナンシー(リアン・ロウ)に行方を探らせていた。

オリバーはすっかり健康を回復し、ブラウンローは彼に使いを頼む。これを待ちかまえていたビルとナンシーに捕まり、フェイギンのもとに連れ戻されてしまう。

そしてあろうことかビルは仲間のトビー・クラキット(マーク・ストロング)と一緒にブラウンロー邸に押し入る計画を立て、オリバーに手伝いを強要する。計画は失敗に終わったが、その中でオリバーは腕を撃たれてしまう。

ブラウンローに顔を見られたことを知ったビルはオリバーを殺すつもりになった。これを知ったナンシーは、こっそりブラウンローと落ち合って、オリバーの居場所を告げる。だがナンシーはつけられていた。

ナンシーの裏切りに逆上したビルは、ナンシーを殺してしまう。身の危険を感じたフェイギンもまた、少年たちとともに隠れることにする。

映画情報(題名・監督・俳優など)

オリバー・ツイスト
(2005年)

監督:ロマン・ポランスキー
原作:チャールズ・ディケンズ
音楽:レイチェル・ポートマン

出演:
オリバー・ツイスト/バーニー・クラーク
フェイギン/ベン・キングズレー
アートフル・ドジャー/ハリー・イーデン
ビル・サイクス/ジェイミー・フォアマン
ブラウンロー氏/エドワード・ハードウィック
ナンシー/リアン・ロウ

2005年前後の興行収入ランキング

歴代の興行収入ランキング

  1. 日本歴代興行収入ランキング(Top100)
  2. 世界歴代興行収入ランキング(Top200)

2005年公開の映画

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