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(映画)となりのトトロ(1988年)の考察と感想とあらすじは?

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おそらく日本アニメ史上、もっとも愛されるキャラクターで、もっとも子どもに人気のあるアニメです。

わが家の子どもは少し怖がりながら見ていましたが、最後はとても楽しんだようです。

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有名な曲たち

音楽も有名で、うちの子どもも映画を観る前から「さんぽ」は口ずさむことができました。

作詞は‎中川李枝子さんで、「ぐりとぐら」シリーズで知られる童話作家です。

他に有名な曲といえば「風のとおり道」。

オリジナルだけでなく、多くのリミックスが存在します。例えば、サラ・ブライトマンが日本語で歌っているバージョンは有名です。Daishi Danceのリミックスも有名。

新しい家とそこに棲むもの

サツキとメイの一家が引っ越してきたのは、田園風景の広がる田舎。

新しい家は、おんぼろではあるが、純粋な日本家屋ではなく、サンルームのあるこじゃれた造りの家です。

都会的ではないが、田舎的でもない。和洋館的な家。

そこに何者かが棲んでいます。

家を管理しているおばあさんが、ススワタリだねぇ、と言います。ちいさく真っ黒な生き物は、いたずらをしなければ悪さをしないそうです。

そして、サツキとメイに見えることが驚きであるようでした。おばあさんも幼いころは見えたというので、子供にしか見えない生き物のようですね。

おばあさんが驚いたのは、孫のカンタには見えていなかったからではないでしょうか。地元の子供には見えなくなっている生き物が、外からやってきた子供に見えるというのは、因果なものです。

このススワタリは、映画では「まっくろくろすけ」と呼ばれていますが、「千と千尋の神隠し」にも登場します。

風を象徴するものたち

引っ越し早々に風の強い日のシーンがあります。サツキがそとで空を見上げるシーンで、何かが起きそうな印象的なシーンです。

映画において、この風を象徴しているのが、ネコバスとトトロです。サツキとメイは、ネコバスに乗ったり、トトロにつかまったりしますが、風となった二人の姿は周りには見えません。

風はいろんなものを運びます。人の想いも運ぶということの隠喩でしょうか。

トロル

メイがトトロに会ったことをサツキに話した時、サツキが「トロルのこと?」と聞き、メイが頷くシーンがあります。

トロルは北欧神話に出てくる妖精の一種。二人ともトロルを知っているようなのですが、その答えがエンディングに用意されています。

二人が母から絵本を読んでもらっている場面。その絵本のタイトルが「三匹の山羊」。

有名な絵本に「三びきのやぎのがらがらどん」があります。それにトロルが登場するのです。

エンディングの絵本が「三びきのやぎのがらがらどん」と決まった訳ではないですが、なるほどね、と納得できる暗示でした。

トトロの住む木

トトロのすみかは巨大なクスノキ。

クスは各地の神社で御神木になっています。

クスがショウノウの材料になることから、虫除け、転じて、厄払いや厄除けに通じる木として神社に植えられることが多かったようです。

飛鳥時代には仏像の材料にされることが多かったそうです。

神聖視されやすい樹木なのです。

木の生育を手助けするために、周囲を伐採することで、光や栄養をうまく吸収することができ巨木になると言われます。

たまたま自然環境が整って巨木になるケースもあるでしょうが、人が手をかけて大きくなることも多いようです。

トトロのすみかはどちらのパターンだったのでしょう。

お稲荷様

サツキとメイが雨の中、父の帰りをバス停で待つシーン。バス停はサツキがトトロと初めて会う場所。

このシーンで、待つのに飽きたメイがバス停周辺をうろついて見つけるのが、小さな祠です。

狐が見えるので、お稲荷様ですね。

稲荷信仰は穀物の神ウカノミタマを祀ります。ウカノミタマは、稲の精霊を宗教的に祀った姿です。

稲荷信仰は、伏見稲荷大社が信仰の中心です。千本鳥居が海外でも有名になった、京都の古社です。

ウカノミタマはどういう神様?ウカノミタマを祀っている神社は?
ウカノミタマは、漢字で宇迦之御魂神や倉稲魂命などで書かれますが、どのような神様で、どういう神社に祀られ、どのようなご利益がある神様なのでしょう。

興行的には失敗だったが…

公開当時、興行的には失敗でしたが、その後の地上波での放送等を通じて徐々に人気が高まり、すでにテレビでの放送は15回を超えるまでになっています。

海外での評価も高い作品で、2014年の英エンパイア誌 世界の名映画ベスト100で41位にランクインしました。

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あらすじ/ストーリー

引越

田舎道を家財道具を一杯積んだ三輪トラック走っている。助手席には父親の草壁タツオ。荷台には娘のサツキとメイの姉妹が乗っていた。

草壁家は一家で引っ越し。母の入院している七国山病院には少し距離がある。

一家が移り住むのは古い一軒家。家を管理する近所の農家のおばあちゃん。孫のカンタが引っ越しの手伝いをするが、カンタはサツキに出会ってなんとなく照れてしまう。

引越の日早々に、サツキとメイは家にイガ栗のような形をした黒い生き物を見かける。父親はまっくろくろすけだといったが、おばあちゃんはススワタリだと教えてくれた。

メイとトトロ

翌朝、タツオは寝坊してしまう。サツキはすでに起きて、朝食と弁当の用意を済ませていた。

この日、サツキは学校で父親は仕事だ。メイは一人で庭で遊んでいた。すると、メイは不思議な生き物を見付けた。

追いかけているうちに、木々の中を分け入って、大きな生き物に遭遇した。メイは大きな生き物を「トトロ」と名付けた

学校から帰ったサツキはメイがいないことに気が付き、タツオと探していると、森の茂みの中で寝ているメイを見付けた。

メイはトトロに出会ったことを二人に話した。早速、三人でトトロを探しに行くが、トトロに出会うことはできなかった。

サツキとトトロ

タツオが仕事で大学の考古学研究室に出かける日。

サツキが小学校に行っている間、メイはおばあちゃんと一緒にお留守番の約束だったが、メイがどうしてもサツキのところに行くと言って言うことを聞かなかった。

メイはサツキと一緒に授業を受けられて満足だった。

小学校からの帰り道。雨がザーザー降りになった。サツキとメイが地蔵堂で雨宿りしていると、カンタが通りかかり、傘を貸してくれた。カンタはずぶ濡れで家に戻った。そこへサツキが傘を持ってきて、カンタの母親に礼を述べた。

この日の夜。仕事で遅くなっているタツオを出迎えにサツキとメイはバス停へ向かった。タツオは傘を持って出かけていなかった。二人が待っていてもタツオが乗っているバスが来ない。

暗くなりメイは疲れて眠くなってきた。

サツキがメイをおんぶしてバスを待っていると、となりに不思議な生き物が現れた。トトロだ。

雨でぬれているトトロにサツキはタツオのために持ってきた傘を貸した。トトロはサツキに傘の使い方を習い、使ってみると、傘に当たる雨音が気に入ったようだった。

やがて、バスの形をした猫が現れ、トトロは乗り込んで去っていった。別れ際、トトロは傘の礼にサツキをメイにお土産を渡した。後で開いてみると、木の実だった。

トトロが去ってほどなくしてタツオの乗るバスが到着した。サツキとメイは興奮してタツオに話した。

庭にトトロからもらった実をまいた。

ある日の夜、トトロ達が現れ、おまじないをすると、芽を出して見る見るうちに巨木に成長した。

巨木を前にトトロはコマを回し、サツキとメイと一緒に空を飛び、田んぼを駆け抜けた。二人は風になった。

目が覚めると、小さな芽が出ていた。

サツキとメイと猫バス

トウモロコシの収穫作業。

サツキとメイはおばあちゃんの収穫作業を手伝っていた。収穫したトウモロコシは仮退院する母親に食べさせるつもりの二人だった。

だが、病院から電報が届いた。サツキは仕事で大学に行っているタツオに連絡した。以前母親の入院の際にも軽い風邪と言われた。サツキはこのまま母が死んでしまうのではないかと心配になり号泣した。

メイは母親の仮退院がなくなったことが納得できない。決意のまなざしで、トウモロコシを抱えてメイは歩き始めた。

メイが居なくなったことに気がついたサツキ。おばあちゃんと一緒に探し始めるが、どこにもいない。

きっと七国山病院に向かったんだ。サツキは七国山病院に向かう道を探すが、メイを見かけたものがいない。

その最中、カンタがサツキのところに駆けつけた。子供のサンダルが池で見つかったというのだ。サツキは慌てて戻るが、サンダルはメイのものではなかった。

サツキは意を決してトトロにお願いに行った。トトロはサツキの願いを受け入れ、猫バスを呼んだ。猫バスはサツキを乗せて、メイのところへ向かった。

メイが母親にトウモロコシを届けたかったことを知ると、猫バスは二人を乗せて病院へ向かった。

病院にやってきたサツキとメイは、外から病室の母親と付き添う父親を眺めた。笑顔を浮かべている二人の姿を見て、サツキとメイは安心した。

窓際にトウモロコシが一本。「おかあさんへ」と刻まれていた。

映画情報(題名・監督・俳優など)

となりのトトロ [Blu-ray]
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となりのトトロ
(1998年)

監督:宮崎駿
制作:スタジオジブリ
原作:宮崎駿
脚本:宮崎駿
音楽:久石譲

声の出演:
サツキ/日高のり子
メイ/坂本千夏
とうさん/糸井重里
かあさん/島本須美
ばあちゃん/北林谷栄
トトロ/高木均
カンタの母/丸山裕子
先生/鷲尾真知子
本家のばあちゃん/鈴木れい子
カンタの父/広瀬正志
カンタ/雨笠利幸
草刈り男/千葉繁

映画賞など

1988年度キネマ旬報ベストテン

  1. 日本映画ベストテン第1位
  2. 読者選出日本映画ベストテン第1位
  3. 読者選出日本映画監督賞

第31回ブルーリボン賞 特別賞

ほか多数受賞

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