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(映画)市民ケーン(1941年)の感想とあらすじは?

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様々な映画ランキングで上位に顔を出す映画です。映画史への影響度を考えると、観ておくべき1本と言っていいでしょう。

学問の世界でいう基本書と同じく、基本映画という言い方があるのなら、まさにそうした映画です。

ですが、個人的には面白くありませんでした。面白いとは思いませんでしたが、観るべき映画だとは思いました。

時代を描いた映画ですので、同時代性を感じなかったことが面白く感じなかった理由です。

この「市民ケーン」に大きく影響を受けているの2010年の映画「ソーシャル・ネットワーク」です。「ソーシャル・ネットワーク」はそこそこ面白いと思ったので、本作も同じ時代に見ていたら面白く感じたのではないかと思います。

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コメント

新聞王がモデル

この映画は実在の新聞王と呼ばれたウィリアム・ランドルフ・ハースト(1863年~1951年)をモデルにしていますが、未知の人物であることも興味をひかれなかった理由です。

「ソーシャル・ネットワーク」が少しでも面白いと感じたのは、Facebookのマーク・ザッカーバーグという人物を少しでも知っていたからです。仮に現代の人物であったとしても、知らない人物であれば面白いとは感じなかったと思います。

「市民ケーン」と「ソーシャル・ネットワーク」の大きな違いは、モデルとなる人物の年齢でしょう。「市民ケーン」ではモデルのハーストが80歳近くになった1941年に公開されているので、ほぼ人生すべてを描いています。

一方で「ソーシャル・ネットワーク」ではマーク・ザッカーバーグは当時30歳にもなっていません。ハーストはすでに権力を手にした老人てあり、ザッカーバーグは今後どうなるかが未知数の若者です。

潰しにかかられた映画

映画が公開された当時の両者の対応も異なります。ハーストはその持てる権力を使って映画を潰しにかかりました。

これだけ映画ランキング上位に顔を出しながらも、アカデミー賞の主要部門で受賞ができていないのは、潰しにかかられたからです。

アカデミー賞は(汚点の一つです)権力に屈したのです。一方でマーク・ザッカーバーグはそのようなことはしていません。

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あらすじ/ストーリー

さて、映画はモデルとなった新聞王ハーストの人生をなぞるように描かれています。

ハーストの父ジョージとケーンの母

ハーストの父ジョージはゴールドラッシュ時代に銀鉱山を当て富豪となりました。チャールズ・フォスター・ケーンの母親は宿泊費のかたにとった金鉱の権利書で大金持ちになりました。

ハーストはハーバード大学に入学するが学位を取らずに退学しています。ケーンはいくつもの大学を渡り歩いています。

新聞社を経営するハーストとケーン

ハーストは1887年に父親が入手した「サンフランシスコ・エグザミナー」を譲り受けます。24歳頃のことです。ケーンが若くして新聞社を買い取り経営を始めるのも同じです。

ハーストは同紙を「ザ・モナーク・オブ・ザ・デイリーズ」に改名します。1895年にはニューヨーク・モーニング・ジャーナル紙を買収し、ニューヨーク・ワールド紙と発行競争します。これも映画に描かれている通りです。

ケーンがセンセーショナリズムによって新聞の売上を伸ばすのと同じく、ハーストも、センセーショナリズムで売り上げを伸ばしていきます。その果てには1898年の米西戦争を引き起こしました。

結婚と城の建造

40歳になる1903年にニューヨークで22歳のミリセント・ヴェロニカ・ウィルソンと結婚します。5人の息子たちをもうけ、後に別居しますが、ハーストの死まで婚姻関係は続きました。

政治家としては、下院議員、ニューヨーク市長を歴任しますが、ニューヨーク州知事選挙でチャールズ・エヴァンス・ヒューズに敗北します。この辺りは映画では異なる描き方となっています。

50代になる1920年代に、カリフォルニア州サン・シメオンの大農場に動物園付きの城を建造します。通称、ハースト・キャッスルと呼ばれました。

女優との出会い

このころに、元女優のマリオン・デイヴィスと知り合い、妻とは別居して、マリオンと暮らし始めます。

ハーストはひと目でマリオンの容姿と性格を気に入り、直ちに彼女のパトロンになりました。

マリオンのために、映画制作会社のコスモポリタン社を設立し、映画女優としてデビューさせ、自分の新聞社の記事で大々的に宣伝しました。

ですが、女優としての才能がなく、結局スターにはなれませんでした。ハーストの新聞社の経営難により1937年に引退します。

映画でケーンがスーザンのために巨大なオペラ劇場を建設し、自分の新聞で大々的に宣伝するのと同じです。そして、才能がないという点も同じです。この数年後に映画が撮影され始めました。

市民ケーンの撮影

ハーストにしてみれば面白くないでしょう。よりによって、映画の世界で人を見る目がないのを馬鹿にされたのですから。

しかも、才能のないマリオン・デイヴィスと天才オーソン・ウェルズの圧倒的な差を見せつけられるのです…。

映画でも、ケーンがスーザンの才能がないのを目の当たりにし、絶望的な気分になりながらも、引くに引けない場面を描いています。

この映画の秀逸なシーンで、ケーンは憤怒の表情を浮かべながら、拍手し、他の聴衆にも無言の圧力で拍手を強要します。

憤怒は己に恥をかかせたスーザンに対するものと同時に、スーザンの才のなさを見ぬふりしてきた己に対してでもあったのです。

もしかしたら、ハーストもそうだったのかもしれません。ですが、真実を言われると、人は気分を害するものです。だからこそ、ハーストはオーソン・ウェルズを潰したかったのでしょう。

映画情報(題名・監督・俳優など)

市民ケーン
(1941年)

監督 / オーソン・ウェルズ
製作 / オーソン・ウェルズ
脚本 / ハーマン・J・マンキウィッツ,オーソン・ウェルズ
撮影 / グレッグ・トーランド
編集 / ロバート・ワイズ
音楽 / バーナード・ハーマン

監督 / デイミアン・チャゼル
製作 / フレッド・バーガー,ジョーダン・ホロウィッツ,ゲイリー・ギルバート,マーク・プラット
製作総指揮 / マイケル・ビューグ
脚本 / デイミアン・チャゼル
撮影 / リヌス・サンドグレン
プロダクションデザイン / デヴィッド・ワスコ
衣装デザイン / メアリー・ゾフレス
編集 / トム・クロス
振付 / マンディ・ムーア
作詞 / ベンジ・パセック,ジャスティン・ポール
作曲 / ジャスティン・ハーウィッツ
音楽 / ジャスティン・ハーウィッツ
音楽監修 / スティーヴン・ギジッキ
エグゼクティブ音楽プロデューサー / マリウス・デヴリーズ

映画賞など

アカデミー賞

脚本賞

ニューヨーク映画批評家協会賞

作品賞

ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞

  • 作品賞
  • 最優秀演技賞

映画100選

AFI選 映画スターベスト100

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