感想/コメント
「西遊記」で馴染みの玄奘三蔵をモチーフにした映画です。
とはいっても、孫悟空も猪八戒も沙悟浄も登場しません。
代わりに、玄奘三蔵を彷彿させる覚慧という若い坊様と、その護衛達の物語です。
この護衛達、李隊長とかつての部下5人と老不死、それに来栖。合わせると7人。
ええ、ありがちの人数であり、ある映画を彷彿させる人数でもあります。
さて、映画は若干冗長気味な箇所があるのは否めませんが、決して悪い出来ではないと思います。
ただ、唐時代の西域を舞台としており、かつ仏教の伝播を素材にしているので、シチュエーションが複雑です。
背景となる中央アジア史をある程度知っておかないと、どのような状況が映画で繰り広げられているのかが分かりづらいかもしれません。
特にこのことは前半部分にいえます。
このマイナーなシチュエーションに仏教伝播の中で実際にありそうな、仏典の強奪というシチュエーションを加えているので尚更事態は複雑です。
そこ辺りをある程度把握してみると意外に面白くみられると思います。
もっとも、単なる冒険活劇、アクション映画として見るのなら、たいしたことはないでしょう。
かなり、間延びした戦闘シーンを見ることになるからです。
ところで、覚慧という若い坊様を演じているのは、実は女性です。
これには驚いたのですが、この撮影のために本当に髪を剃ってしまったというのだから、いい根性の持ち主です。
最後に、音楽を担当しているA.R.RahmanはCafe del Mar 5に楽曲が収録されています。
A.R.Rahmanが担当した主な映画は以下の通りです。
- ヘブン・アンド・アース(2003)
- ラガーン(2001)
- パダヤッパ いつでも俺はマジだぜ!(1999)
- ジーンズ/世界は2人のために(1998)
- インドの仕置人(1996)
- インディラ(1995)
- ムトゥ踊るマハラジャ(1995)
- ボンベイ(1995)
- DVDの映像特典に以下のものが収録
- メイキング、ミュージック・ビデオ、オリジナル劇場予告編集
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
紀元700年、時の王朝は唐。
突厥の侵略に備える西域警備の最前線の町に1人の剣士がやってきた。
男の名は来栖旅人。彼は遣唐使として中国に渡って来た日本人で、今度晴れて25年ぶりの日本への帰国許可が下りたばかりである。
だが、それには一定の条件があった。突厥の女性や子供たちの処刑命令に背いて5人の部下と共に逆賊となった元軍人、李を殺せとの命令が出た。それが日本に帰れる一定の条件であった。
彼は長安までの身辺警護を依頼された司令官の娘、文珠を連れ、その地を後にしようとしていた。
李は部下たちと逃亡する中で、部下たちに、家族を持って平安に暮らすように言うと、自分は1人で馬に乗り砂漠へと去っていった。
インドの仏教聖地、天竺から、唐の皇帝へ献上する10万冊の仏教経典を運ぶ数十頭のラクダと数十人の僧侶の大キャラバンが、唐の騎馬軍団に護衛されながらシルクロードを一路、長安へと出発した。
キャラバンは砂漠地帯で巨大な砂嵐に襲われ、壊滅的な被害を被ってしまう。ラクダと荷物は無事だったが、生き残った人間は若き僧侶、覚慧と唐の護衛兵がただ1人だけである。
一方、そのころ砂漠を放浪していた李もまた砂嵐に巻き込まれ瀕死の重傷を負った。李は覚慧と護衛兵に命を救われた。李はその恩義に報いるため、長安までの護衛をかってでる。
李はキャラバンをオアシスの村、西葛海に連れて行く。彼はそこでかつての部下たちと再会すると共に、護衛として老不死と呼ばれる老兵士と少年・地虎を雇う。
そして、李を追っていた来栖がこの地で李を見つける。
来栖は李と激しい死闘を繰り広げるが、その戦いは引き分けに終わる。戦いの中で交された約束通り、来栖は李がキャラバンを長安まで護衛することを承諾する。そして、長安で再度決闘を行うことにすることになった。
砂に覆われたシルクロードの町、大馬営。李はさらに護衛を探すべく老不死を連れて大馬営にやってくるが、その町は西域一帯を縄張りに持つ馬賊・安によって支配されていた。
安は突厥軍と結託して、キャラバンが運ぶ献上品の強奪を目論んでいた。
安はキャラバンの護衛の協力を申し出るが、李がそれを拒否すると、安の軍団が一気に襲い掛かってきた。そのとき、李を救い出したのは西葛海から彼らを追ってきたかつての部下たちだった。
李の護衛するキャラバンは選択を迫られていた。北へ進むのか、それとも東へ進むのか。北は安の馬賊と突厥がおり、すぐにやられてしまうだろう。すると、選択肢は東しかない。しかし、東は砂漠であった。
そもそも、安の襲撃は執拗である。なぜなのか?キャラバンが運んでいたのは経典だけのはずではないのか?李と来栖は覚慧にお願いしてキャラバンが運んでいるものを教えてもらった。そして、覚慧が大事に守っていたのは…
映画情報(題名・監督・俳優など)
ヘブン・アンド・アース
2003
監督:ハー・ピン
脚本:ハー・ピン、チャン・ルイ
撮影:チャオ・フェイ
音楽:A・R・ラフマーン
出演:
李/チアン・ウェン
来栖/中井貴一
文殊/ヴィッキー・チャオ
安/ワン・シュエチー
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