※目次で「那田蜘蛛山編」編の概要をご確認ください。
「鬼滅の刃」原作者の吾峠呼世晴が、作画、演出、音楽、全てが凄すぎてボロ泣きしたのが第19話の「ヒノカミ」です。
この第19話のクオリティは極めて高く、テレビ向けレベルを超えています。この回が鬼滅の刃の人気を決定的なものにしました。
最後の約6分20秒はアニメ史に語られ続けることになるでしょう。
アニメの19話、ひと足先に見せていただきました!
https://kimetsu.com/news/?id=51393
作画、演出、音楽、全てが凄すぎて作者もボロ泣きしましたので、是非皆さんにも見ていただけると嬉しいです。
20回くらい繰り返し拝聴させていただいていまして、仕事中もコソコソ見ていたのですが感動して泣いているのがアシスタントさんにバレないよう頑張りました。
一生懸命漫画を描いて本当に良かったです。
皆さんも19話お楽しみください!
日本史上の鬼狩りたち
吉備津彦命(桃太郎伝説)
鬼退治といえば、桃太郎が有名です。
モデルの一人が吉備津彦命(きびつひこのみこと)。古事記・日本書紀等に伝わる古代日本の皇族です。
吉備津彦命が吉備平定の際に鬼を退治した伝説が、桃太郎伝説の基になったともいわれています。
鬼は温羅(うら。「うんら」「おんら」とも読む)。鬼ノ城に住んで地域を荒らしたとされます。
吉備津彦命は犬飼健(いぬかいたける)、楽々森彦(ささもりひこ)、留玉臣(とめたまおみ)の3家来とともに鬼を討ちます。
討たれた温羅の祟りを鎮めるため、温羅の首を吉備津神社の釜の下に封じたとされています。
坂上田村麻呂(鬼神退治伝説)
時代は下って平安時代。
征夷大将軍に二度なった坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)は蝦夷征伐や薬子の変で功績を残しました。
死後、平安京の東に向かい、立ったまま柩に納めて埋葬され、「王城鎮護」「平安京の守護神」「将軍家の祖神」として、武神や軍神として信仰の対象となっています。
その伝説が、田村語りや坂上田村麻呂伝説として各地に残っています。
例えば、東北地方では鬼神退治譚もしくは鬼神退治の後日譚が「田村三代記」として残されています。
藤原秀郷(百目鬼伝説)
鬼舞辻無惨が誕生したとされる平安時代中期に活躍したのが藤原秀郷です。藤原秀郷の本拠地は現在の栃木県。
平将門を打ち取った武将として有名です。全国の佐藤姓の祖とも言われます。
この藤原秀郷の伝説として有名なのは百足退治伝説ですが、宇都宮には藤原秀郷が百目鬼を討ったという伝説が残っています。
百目鬼は十丈(約30メートル)の大きさで、百の目をもち、刃のような髪のある鬼といわれています。
有名な百足退治伝説は、日光の戦場ヶ原の伝説に因んでいるともされます。
古代、下野国の二荒神と上野国の赤城神が、それぞれ大蛇(男体山)と大ムカデ(赤城山)に化けて戦った戦場が戦場ヶ原といわれます。
源頼光(酒呑童子、土蜘蛛伝説)
数十年時代が下ると、摂津源氏の祖となる源頼光(みなもとのよりみつ)が登場します。
丹波国大江山での酒呑童子討伐や、土蜘蛛退治の伝説で知られています。
また、頼光四天王(渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武)でも知られています。
土蜘蛛退治には、複数の伝説があります。
「土蜘蛛草紙」で、土蜘蛛は巨大な蜘蛛の姿で描かれています。
源頼光が家来の渡辺綱を連れて京都の洛外北山の蓮台野に赴くと、空を飛ぶ髑髏に遭遇します。
それを追うと、古びた屋敷に辿り着き、様々な異形の妖怪が源頼光と渡辺綱を苦しめました。
夜明け頃になると、美女が現れて目くらましを仕掛けてきました。
源頼光が刀で斬りかかると、女の姿は消え、白い血痕が残っています。
血痕を辿って行くと、山奥の洞窟に巨大な山蜘蛛がいました。
戦いの末にようやく蜘蛛の首を刎ねると、腹から1990個もの死人の首が出てきました。
脇腹からは無数の子グモが飛び出したので、そこを探ると、さらに約20個の小さな髑髏があったといいます。
酒呑童子と土蜘蛛の物語を絵巻を使って解説しているのが、大塚英志監修、山本忠宏編「まんが訳 酒呑童子絵巻」です。まんが訳というように、絵巻をまんがの手法に置きなおして紹介している野心的な一冊です。
馬場あき子「鬼の研究」によれば、土蜘蛛とは、先住土着民の力の強大さを指して言った言葉です。
「風土記」に多く記録されていますが、今日知られる土蜘蛛は歌舞伎や能のそれであり、塚にこもる妖怪のイメージです。
古代のオニの一種としても見ることができます。
源頼光と家人の四天王によって土蜘蛛は斬られ、日本最後の土蜘蛛も死ぬことになります。
源頼光の子孫には、同じ摂津源氏の源頼政がいます。頼政には鵺(ぬえ)を討ち取った伝説があります。
源頼光は、兵庫県川西市の多田神社にお墓があり、祀られています。
立志編のクライマックスとなる那田蜘蛛山(なたぐもやま)編
劇中歌「竈門炭治郎のうた」
第19話の劇中歌「竈門炭治郎のうた」の使われ方も戦慄ものです。劇中歌がこれほど効果的なのも滅多にありません。
「竈門炭治郎のうた」の歌詞も、炭治郎をうまく表現しています。善逸が炭治郎からは「泣きたくなるような優しい音」が聞こえると評したことがありますが、そのセリフが歌詞に組み込まれています。
他にもいい曲があるので、サントラが入手できるようになれたら嬉しいです。
目を閉じて 思い出す
過去りし あの頃の
戻れない 帰れない
広がった 深い闇戻れない 帰れない
広がった 深い闇
泣きたくなるような 優しい音
どんなに苦しくても
前へ 前へ 進め 絶望断ち失っても 失っても 生きていくしかない
どんなにうちのめされても 守るものがある失っても 失っても 生きていくしかない
どんなにうちのめされても 守るものがある我に課す 一択の
運命と 覚悟する
泥を舐め 足掻いても
目に見えぬ 細い糸泣きたくなるような 優しい音
どんなに悔しくても
前へ 前へ 向かえ 絶望断ち傷ついても 傷ついても 立ち上がるしかない
どんなにうちのめされても 守るものがある守るものがある
竈門炭治郎のうた 椎名 豪 featuring 中川奈美 作詞:ufotable 作曲・編曲:椎名豪
神回の1話前、第18話「偽物の絆」における胡蝶しのぶの登場シーンも音楽と映像が神がかり的にマッチして素晴らしかったです。
那田蜘蛛山編は映像も音楽も演出も奇跡的に全てがうまく噛み合いました。
那田蜘蛛山編は「竈門炭治郎 立志編」全26話のクライマックスであり、このクライマックスまで持ってくる1話~25話までの流れは完璧です。
そして、20話~26話までは、ロスを感じさせないで、緩やかに次の展開への期待に繋げています。
アニメの第15話から第21話は、コミックの第4巻序盤から第6巻序盤まで、話数で言えば第28話から第44話までを原作としています。
アニメ「鬼滅の刃」の構成
1.「竈門炭治郎 立志編」アニメ第1期
- 第1話から第5話:竈門炭治郎の家族が殺され、禰豆子が鬼となるところから始まり、富岡義勇、鱗滝左近次、錆兎と真菰の出会い、そして、最終選別までを描く。
- 第6話から第10話:初任務、そして鬼舞辻無惨との遭遇、手に目がある矢琶羽と毱を操る朱紗丸 との闘い、珠世と愈史郎との出会いまでを描く。
- 第11話から第14話:鼓の屋敷での戦い。最強トリオとなる、我妻善逸と嘴平伊之助との出会いを描く。
- 第15話から第21話:那田蜘蛛山での戦い。十二鬼月の下弦の伍「累」との死闘。柱の出動。そして炭治郎の覚醒によるヒノカミ神楽・円舞を描く。
- 第22話から第26話:鬼殺隊本部への連行と柱合会議。蟲柱・胡蝶しのぶの屋敷での炭治郎、善逸、伊之助の3人の機能回復訓練を描く。
2.「無限列車篇」
3.「遊郭編」アニメ第2期
- 遊郭編:音柱・宇髄天元と炭治郎、善逸、伊之助の3人との任務。遊郭「吉原」への潜入捜査中に消息を絶った宇髄天元の嫁の捜索と、上弦の陸との対決を描く。
4.未アニメ化
- 刀鍛冶の里編:刀鍛冶の里が上弦の伍・玉壺と上弦の肆・半天狗襲われた。恋柱・甘露寺蜜璃と霞柱・時透無一郎の二人の柱、風柱の弟・不死川玄弥、炭治郎の共同の戦いを描く。
- 柱稽古編:嵐の前の静けさ。全ての柱を動員した合同強化訓練「柱稽古」を描く。
- 無限城編
- 新上弦の陸・獪岳編:善逸と新上弦の陸となった兄弟子の獪岳との対決を描く。
- 上弦の参・猗窩座編:猗窩座対水柱・富岡義勇、炭治郎との対決を描く。
- 上弦の弐・童磨編:童磨対蟲柱・胡蝶しのぶ、栗花落カナヲと伊之助との対決を描く。
- 上弦の壱・黒死牟編:黒死牟対霞柱・時透無一郎、風柱・不死川実弥、不死川実弥、岩柱・悲鳴嶼行冥との対決を描く。
- 最終決戦・鬼舞辻無惨編:残った柱と炭治郎、善逸、伊之助、カナヲとの対決を描く。
アニメ 第15話「那田蜘蛛山」あらすじ/ストーリー
藤の花の家紋のお屋敷を出立する3人
禰豆子に夢中の善逸。
「ね・ず・こ・ちゃーーーーん」
禰豆子を追いかけまわす善逸と、それを止めようとする炭治郎。
「た・ん・じ・ろ・う〜〜」
再び医者に診てもらった。
「完治です」
鎹鴉が現れた。「北北東、三人は那田蜘蛛山に行け。」
炭治郎たちは、藤の花の家紋のお屋敷のおばあさんにお礼を述べた。おばあさんは三人のために切り火をしてくれた。
「どのような時でも誇り高く生きてくださいませ、ご武運を。」
那田蜘蛛山の入り口で感じる異常な雰囲気
善逸は目的地が近づいて来て怖くて足がすくんで座り込んでしまった。
炭治郎が妙な匂いに気付いた。
道端に鬼殺隊員が倒れて助けを求めていた。
駆け寄る炭治郎たちだが、隊員は何かに引っ張られ、飛んで行った。
突然目の前で起こったことに三人は立ちすくんだ。
「俺は行く!」
「俺が先に行く。お前はガクガク震えながら後ろを着いて来な。腹が減るぜ!」
「…腕が鳴る、だろぉ」
怯える善逸を残し、山に入った炭治郎と伊之助は、蜘蛛の糸に絡み取られた鬼殺隊員を目撃する。
伊之助の手にも蜘蛛の巣が絡まってきた。
「邪魔くせえ!」と言いながら蜘蛛の巣をはらい落とそうとする伊之助に、炭治郎は礼を言った。
「伊之助も一緒に来ると言ってくれて心強かった。山の中から来たよじれたまがまがしい匂いに少し体がすくんだんだ。ありがとう」
伊之助は礼を言われてホワホワしてしまった。
那田蜘蛛山で鬼殺隊員に起きている事態
その時、炭治郎が何かに気付いた。一人の鬼殺隊員が隠れて何かの様子を伺っていた。
「応援に来ました。階級・癸(みずのと)竈門炭治郎です」
「癸…?なんで柱じゃないんだ。癸なんて何人来ても同じだ。意味がない!」
伊之助が隊員を殴り、状況を説明しろと詰め寄った。
「意味の有る無しで言ったら、お前の存在自体、意味がねえんだよ!」
「さっさと状況説明しやがれ、弱味噌が!」
聞き出したところによると、隊員十人で那田蜘蛛山に来たが、隊員が突然、他の隊員を斬り始めた。隊員同士の斬り合いが始まったのだ。
その頃、鎹鴉がある屋敷で報告していた。
「私の子供たちはほとんどやられてしまったのか、そこには十二鬼月がいるかもしれない。柱を行かせなくてはならないようだ…義勇、しのぶ」
二人を呼んだ。
「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに。富岡さんもそう思いません?」
「無理な話だ。鬼が人間を食らう限りは」
那田蜘蛛山の入り口では、まだ善逸が座り込んでいた。炭治郎と伊之助が自分を置いていったことにいじけていた。
善逸の鎹鴉のチュン太郎が励ましてくれたが、言葉がわからない善逸が「いいなお前は気楽で」と言ったものだから、チュン太郎は怒った。
「お前、そういうところ可愛くない!鬼の禰豆子ちゃんがあんなにかわいいのに雀のお前が凶暴じゃ…」
善逸は禰豆子を炭治郎が背負って行ってしまったことに気付いた。
そして、「なんで俺の大切な禰豆子ちゃん持って行ってんだー!」と山に入っていった。
操られた鬼殺隊員が炭治郎と伊之助を襲う
炭治郎たちは、山の中から聞こえてくる不気味な音を特定しようとしていた。
不気味な音が聞こえてきてから隊員たちがおかしくなり、斬り合いを始めたからだ。
何かに操られているように、鬼殺隊員たちがうつろな目をして歩いて来て、炭治郎と伊之助、先輩隊員に斬りかかってきた。
「まだ生きている人も交じってる!それに仲間の亡骸を傷つけるわけにはいかない」
鬼殺隊員たちの背中に糸がついていると気付いた炭治郎は、「糸を斬れ」と伊之助に言った。
伊之助は「お前より俺が先に気付いてたね」と、糸を切って得意そうだった。
強烈な刺激臭が炭治郎を襲った。蜘蛛が二匹腕に乗っていた。糸に腕が持って行かれそうになり、慌てて糸を切った。
隊員たちは蜘蛛の糸によって操られていたのだ。
「糸を斬るだけじゃダメだ。また蜘蛛が操り糸を繋ぐ…」
「蜘蛛は小さいし、多分かなり数がいる。その蜘蛛を操っている鬼を見つけなければいけないんだよ。」
「もし君が鬼の位置を正確に探る何らかの力を持っているのなら協力してくれ。さっきから変なにおいが流れて来ていて俺の鼻が機能しないんだ」
操られずに頑張っている先輩の村田とどうにかしようとしていると、上に何者かが現れた。蜘蛛の糸の上に乗っている。
「僕たち家族の静かな暮らしを邪魔するな。」
「お前らなんてすぐ母さんが殺すから」
伊之助が飛び上がって斬りつけようとするが、届かない。そして、去っていった。
伊之助は鬼の居場所を探り始めた。
獣の呼吸、漆ノ型・空間色覚!
鬼の居場所を突き止めた。
アニメ 第16話「自分ではない誰かを前へ」あらすじ/ストーリー
母鬼の居場所を探る伊之助
伊之助が鬼の居場所を見つけたが、糸に操られた鬼殺隊が襲い掛かってきた。
先輩の村田が自分がこの場はどうにかするから先へ進んでくれと言う。
炭治郎が伊之助を連れて先へ急いた。走っていると、蜘蛛の糸がどんどん増えて太くなっていく。
意識がはっきりしている女隊員が現れた。
蜘蛛の糸を操る鬼のところに、炭治郎たちの前に現れた男の子がやってきた。
「勝てるよね?ちょっと時間がかかりすぎじゃない?早くしないと、父さんに言いつけるから。」
鬼は動揺した。
「大丈夫よ、母さんはやれるわ。必ずあなたを守るから。だから父さんはやめて!!」
累と呼ばれた男の子は冷たい視線を向けながら「だったら早くして」と去った。
焦りはじめた鬼は、早く全員始末するために、糸を乱暴に操り始めた。
女隊員は糸に操られるまま、刀を振り回した。やがて、鬼が無理やり体を動かしているため、不自然に体が動き、骨が折れていく。
炭治郎は鬼殺隊士を傷つけないように攻撃をうまくかわした。
いつまでも仕留められないことに焦る鬼は、ボロボロになった他の剣士も繰り出してきた。
一人の隊員が意識朦朧とした状態で言った。
「殺してくれ…。骨が内臓に刺さってるんだ。動かされると激痛で耐えられない。どの道、死ぬ。助けてくれ。とどめを刺してくれ!」
伊之助は、その希望に答えようと、即座に向かって行くが、炭治郎が止めた。炭治郎は隊員たちを助けたいのだ。
炭治郎は、女隊員を木に投げ飛ばし蜘蛛の糸と枝をうまく絡めて動けなくした。
それを見た伊之助は、すぐに真似して別の隊員を木に絡めた。
「見たかよ!お前にできることは俺にもできるんだぜ!」
「すまない!ちょっと見てなかった!」
攻撃が通用しない鬼は、とっておきの人形を出すことにした。
山に入った善逸は炭治郎と伊之助が見つからず泣きべそをかいていた。
「禰豆子ちゃん、炭治郎、猪、チュン太郎…どこに行ったんだよぉ、俺が悪かったよぉ」
泣いているとチュン太郎がやってきて、善逸は泣いて喜んだ。
炭治郎と伊之助の前に現れた首のない巨体
炭治郎と伊之助は残りの1人の隊員を助けようとしていた。
だが、蜘蛛の糸を操っていた鬼は、役立たず!と叫びながら3人の隊員の首を折った。
目の前で命を取られた3人の隊員を見て、炭治郎が本気で怒った。
「行こう」と言うことばに伊之助は素直に応じた。「そうだな…」
山の中を走る炭治郎と伊之助。炭治郎の鼻も利くようになって、鬼の位置がわかるようになってきた。
この先に鬼が二体いる。
「俺の方が先に気付いてた!その首ぶった切ってやるぜ!!」
現れたのは、首がない巨体だった。
「あいつ急所がねえぞ!ないものは斬れねえ!!」
「落ち着け、袈裟斬りにするんだ!」
伊之助が糸で絡められてしまい危険な状況になった。
首なしの巨体が長い爪で伊之助を切り裂こうとした瞬間、炭治郎が伊之助を守った。
炭治郎に助けられた伊之助はホワホワしてしまう。
炭治郎は自分を踏み台にして伊之助を飛ばした。
伊之助は首なし巨体の両腕を落とした。
そして、炭治郎自身は首なし巨体の両足を切り落とし、次の瞬間、伊之助が上から袈裟斬り。
母蜘蛛鬼と炭治郎の対決
炭治郎は糸を操っていた鬼に近づいた。
水の呼吸、壱ノ型!…
上からの攻撃に恐怖する鬼だったが、 死ねば、解放される、楽になれる、と思った。
それを感じ取った炭治郎は型を変えた。
伍ノ型、干天の慈雨!
首をはねられた鬼だったが、少しも痛くなかった。
「少しも痛くない。苦しくもない、ただ、温かい。こんなにも穏やかな死がくるなんて…、これで解放される…」
優しい目の炭治郎を見ながら、鬼は人間だったときに自分を大切にしてくれた人を思い出していた。あれは…誰だった…?
「十二鬼月がいるわ…気を付けて」
アニメ 第17話「ひとつのことを極め抜け」あらすじ/ストーリー
善逸と兄蜘蛛鬼との対決
母鬼を倒した炭治郎は伊之助のところに戻った。
かなりあちこち怪我をしているものの、心配する炭治郎に伊之助は言った。
「俺に対して細やかな気づいかいはすんじゃねえ!」
炭治郎は、つい先ほど倒した鬼から恐怖と苦痛の匂いがしていたことを思い出していた。
善逸は未だに山の中を彷徨っていた。いつまで経っても炭治郎たちと合流できないため腹が立ってきた。
そこに人面蜘蛛が現れた。善逸は全力で走って逃げた。
「イヤァ〜〜!」
走った先で善逸が見たものは、糸で吊るされたまま死んでいる人間たちだった。鬼殺隊の隊員もいた。蜘蛛にされているようだ。
蜘蛛の毒に侵され始める善逸
ぶら下がっている小屋から出てきたのは巨大な人面蜘蛛だ。蜘蛛鬼一家の兄だ。兄蜘蛛鬼が言った。
「手を見てみな」
善逸が手を見ると、手の平が紫色に変色していた。毒が回っていたのだ。毒が回ると蜘蛛になる。
懐中時計を見せ、時間の経過とともにやってくる症状を事細かく教える。
「毒が回りきって蜘蛛になったら知能もなくなる。」
「友達恋人いないだろ!!嫌われるよー!!」
修業時代を思い出す善逸
辛い修行に耐えられず、木に登って逃げていた。木の下では師匠が怒っていた。
空模様が変わって来て落雷。雷に打たれた善逸は金髪になり、木の上から落ちてしまった。
「俺だって精一杯頑張ってるよ!!なのに最後髪ずるむけで化物になんの!?嘘でしょ!?嘘すぎじゃない!?」
人面蜘蛛たちが善逸を目指して木登りを始めた。焦る善逸が頭を抱えると髪の毛が抜けた。
「あいつ、さっき説明しなかった!」
抜け毛について説明を受けていなかったことに動揺して失神してしまう。
「なんだこいつは?俺達一族を殺しに来た鬼狩りではないのか?失神?なんという腰抜けだ」
失神して木から落ちていく善逸が覚醒した。
雷の呼吸、壱ノ型…
兄蜘蛛が吐いた毒を躱した。
雷の呼吸、壱の型…
「さっきからずっと同じ構えを何度もしている。間違いない。こいつは1つの技しか使えないんだ!!」
雷の呼吸、壱ノ型・霹靂一閃、六連!
善逸の過去…
「いいんだ善逸。お前はそれでいい。一つできれば万々歳だ。一つのことしか出来ないなら、それを極め抜け。極限の極限まで磨け!」
六つある雷の呼吸のうち、善逸は壱ノ型しか習得できなかった。
刀の叩き方を教えるために善逸の頭を叩いていた師匠。あの時は辛かったが今はあの時の師匠の言葉を思い出していた。
「極限まで叩き上げ誰よりも強靭な刃になれ!」
そして兄弟子に罵倒された過去を思い出していた。
親がいない善逸は誰からも期待されることのない人生だった。
だが師匠は何度逃げても何度諦めても泣いても、決して善逸を見限ることはなかった。
雷の呼吸、壱ノ型・霹靂一閃、六連!
兄蜘蛛鬼は慌てて毒を吐くが善逸は消えた。そして、家の中に逃げ込んだ兄蜘蛛鬼を斬り捨てた。
「俺が斬られたのか?あんなやつに?毒でろくに手足が動かせない奴に~~」
善逸の技を繰り出す前のシーン。まさに雷が落ちようかというビカビカした演出が良かったです。
倒れこんだ善逸。朦朧とする意識の中で、夢のことを考えていた。
師匠に教えてもらったことを実践し、弱い人や困った人を助けてあげるという夢だ。
もう限界が近づいていた。チュン太郎が来たが、チュン太郎と話す気力さえ残っていない。
善逸は大きく呼吸をした。師匠の「諦めるな!」と言う声を思い出した。
「諦めるな。呼吸を使って少しでも毒の巡りを遅らせる。痛くても、苦しくても、楽な方へ逃げるな!」
炭治郎は落雷の音がしたように感じた。
「雷雲の匂いはしないと思うけど、刺激臭が強すぎてわからない」
そして伊之助に山を下りて、と説得するが、伊之助は拒否した。
鬼の女の子が近くまで来ていた。
伊之助がすかさず追いかけだが、女の子が父親を呼んで大きな蜘蛛鬼が現れた。
アニメ 第18話「偽物の絆」あらすじ/ストーリー
父蜘蛛鬼と炭治郎と伊之助
富岡義勇と胡蝶しのぶは、遺体の転がった場所で生存者がいないことを確認した。
「俺は鬼を斬りに来ただけだ」
二人は二手に分かれて捜索することにした。
その頃、炭治郎は父蜘蛛鬼の腕を斬ろうとしたが、硬すぎてまったく歯が立たない。
父蜘蛛鬼が炭治郎を殴ろうとした瞬間、伊之助が応戦するが、硬すぎて切れない。
「俺の家族にぃ、近づくなーーー!」
父蜘蛛鬼は攻撃してきた伊之助を川に吹っ飛ばした。
伊之助は出血でフラフラになったが、父蜘蛛鬼が追いかけてくる。
水の呼吸、弍ノ型 改 横水車!
炭治郎は木を切り倒し父蜘蛛鬼を下敷きにした。
水面に泡立つ場面がリアルで、こうした細かいシーンにも手を抜いていないのが素晴らしいですね。
「水の呼吸。最後にして最強の型。これで決める。全集中!水の呼吸拾ノ型…」
だが、木の下から這い上がって来た父蜘蛛鬼にはるか彼方に吹き飛ばされてしまった。
「健太郎ーーー!!!!」
間違った名前で炭治郎を呼ぶ伊之助に、炭治郎は叫んだ。
「伊之助!俺が戻るまで死ぬな!そいつは十二鬼月だ!死ぬな!死ぬな!絶対に死ぬなー!」
父蜘蛛鬼が伊之助の前に立ち、殴りかかってきた。
毒に苦しむ善逸の前に現れた柱・胡蝶しのぶ
善逸は手足の感覚がなくなり、呼吸もうまくできなくなっていた。
体が言うことを聞かない。徐々に手足が縮み、蜘蛛になりかかっていた。
目の前が真っ暗になった時、師匠の「諦めるな、諦めるな、諦めるな!」という声が聞こえた。
目を開けると蝶が舞いおりてきた。
胡蝶しのぶだった。
「もしもーし♪大丈夫ですか?」
この、胡蝶しのぶ登場シーンでの音楽の使い方は鳥肌ものでした。
父蜘蛛鬼に飛ばされた炭治郎と、炭治郎の前に現れた姉弟鬼
父蜘蛛鬼に吹き飛ばされた炭治郎は、だいぶ飛ばされていた。
近くで女性の声が聞こえるので行ってみると、累が姉を傷めつけていた。
累は炭治郎に気付いた。
「見世物じゃないんだけど…」
「何してるんだ?君たちは仲間同士じゃないのか?」
「そんな薄っぺらなものと同じにするな。僕達は家族だ。強い絆で結ばれているんだ」
「強い絆で結ばれているものには、信頼の匂いがする。だけどお前たちからは、恐怖と憎しみと嫌悪の匂いしかしない。こんなものを絆とは言わない。まがい物、偽物だ!」
その時、鬼滅隊の隊員が現れた。
出世のためにそこそこの鬼一匹だけ退治して下山するつもりのようだ。
累が弱いと見て攻撃するが、一瞬でやられてしまう。
累は、再び炭治郎の方へ向き直った。
「ねぇ。何て言ったの?お前今何て言ったの?」
「あぁ!何度でも言ってやる!お前の絆は偽物だ!」
父蜘蛛鬼と伊之助と富岡義勇
伊之助は怪我した体で逃げていた。地面に落ちた血をたどって父蜘蛛鬼が伊之助へ迫ってくる。
伊之助は逃げながら考えていた。
「やべえ、やべえぜ。あいつが…あいつが戻るまでなんとか…」
そこまで考えたところで、伊之助はハッと気づいた。
「なんじゃその考え方!!」
「考える俺なんて、俺じゃねえ!!」
伊之助は振り返って、父蜘蛛鬼の腕に刀を突き立てた。
そしてもう一つの刀でトンカチのように刀を打って腕にめり込ませ、腕を切り落とした。
逃げた父蜘蛛鬼を探していると、木の上にいた。そして脱皮した。脱皮によってり父蜘蛛鬼は一回り大きくなった。
「駄目だ、勝てねえ…俺は死ぬ。」
伊之助は戦意を喪失して刀を下ろしてしまった。
だが、炭治郎の言葉や、藤の家紋の家のおばあさんの言葉を思い出し、再び父蜘蛛鬼に向かって行った。
脱皮して俊敏さも増した父蜘蛛鬼に伊之助は歯が立たない。刀は折れ、木に叩きつけられてしまう。
伊之助は頭を掴まれた。そして頭が潰されそうになった。走馬灯が見えた。
「ごめんね…ごめんね…伊之助」
涙を流す女の人と赤ちゃんの姿。炭治郎と善逸の心配そうな顔、藤の家紋の家の親切なおばあさん。
最後に見たのは「お前だけは生き延びて」と崖で涙を流す女の人の姿だった。
その時、父蜘蛛鬼の腕を冨岡義勇が斬った。
腕はすぐに再生したが、冨岡義勇は水の呼吸を繰り出した。
水の呼吸、肆ノ型・打ち潮!
父蜘蛛鬼の首が飛んだ。
刺激臭がうすくなってきたおかげで戦いやすくなってきた炭治郎だった。
技を繰り出したものの、刀が折れてしまう…。
アニメ 第19話「ヒノカミ」あらすじ/ストーリー
累と戦って窮地に立たされる炭治郎と禰豆子
炭治郎は累と戦って、刀が折れた。窮地だった。蜘蛛の糸に顔を切り刻まれずに、かすり傷で済んだ。
蜘蛛の糸は、鋼鉄より4倍ほど強く、ナイロンより柔軟だとされます。まさに強靭な糸なのです。
父蜘蛛鬼を瞬殺した冨岡義勇に感動した伊之助は、冨岡義勇に勝負を挑んだ。
「すげえ……格が違う、一太刀の威力が違う、天地ほどの差がある。」「何だこいつ、ワクワクが止まらねえぞ!」
だが冨岡義勇は伊之助を相手にせず、縄で縛って木に吊るして去っていく。
「己のケガの程度も分からない奴は、戦いに関わるな」
その頃、善逸の目の前に胡蝶しのぶが立っていた。
「今じいちゃんが『諦めるな』って…」
「それは走馬灯ですね。一節によると死の直前に人が走馬灯を見る理由は今までの経験や記憶の中から迫りくる死を回避する方法を探しているそうですよ。」
手足が縮んで蜘蛛になりかかっていた善逸に、胡蝶しのぶは解毒剤を打った。
炭治郎は刀が折れているので、動き回って蜘蛛糸攻撃を必死に躱していた。
累は炭治郎に発言を取り消す気になったかどうか聞くが、炭治郎は何も言わない。
「わかった、ズタズタになりな」
炭治郎を蜘蛛の巣で切り裂こうとした。
そこに禰豆子が箱から飛び出し、炭治郎を守った。
炭治郎と禰豆子の本物の絆
炭治郎は慌てて木の下に禰豆子を連れて行った。禰豆子の左手首がちぎれそうなぐらい切断されていた。
「早く治れ、早く治れ、早く治れ!!」
炭治郎はちぎれそうな手首をくっつけようと必死に押さえた。
累は二人の様子を見て、本物の絆だ、自分もそんな絆が欲しいとうち震えた。
その様子を見た姉蜘蛛鬼は、焦りを覚えて、自分こそが姉だと言ったが、累は姉蜘蛛鬼を蜘蛛の糸で切断した。
姉蜘蛛鬼は懇願した。累は挽回したいなら山の中でちょろちょろしている人間を殺してこいと命じた。
姉蜘蛛鬼は自分の首を拾い、人間を探しに去った。
累が炭治郎に声をかけた。
「坊や、坊や、話をしよう…。出ておいで」
「坊や?話?」
累は、妹をくれ、という。
「何を言ってるのか分からない。」
「そんなことを承知するはず無いだろ。それに禰豆子は物じゃない。自分の思いも意志もあるんだ。お前の妹なんてなりはしない」
「恐怖の絆だよ 逆らうとどうなるかちゃんと教える」
「ふざけるのも大概にしろ!恐怖でがんじがらめに縛り付けることを、家族の絆とは言わない!その根本的な心得違いを正さなければ、お前の欲しいものは手に入らないぞ!」
「殺して取るから」
「俺が先にお前の首を斬る」
「威勢がいいなぁ~。できるならやってごらん。十二鬼月である僕に勝てるならね」
累は目に刻まれた数字を見せた。
十二鬼月であることを明かす弟蜘蛛鬼の累
刀は折れてしまっている。どうしたら倒せるか…
炭治郎が考えていると、累が蜘蛛の糸で禰豆子を捕らえた。
そして、炭治郎に蜘蛛の糸が大量に放たれた。
炭治郎は必死で避けるが、禰豆子が消えた。見回していると、上から血が滴り落ちてきた。
蜘蛛の巣にとらわれた禰豆子の全身から血が流れていた。
「しばらくは出血させよう、それでも従順にならないなら日の出までこのままにして少し炙る」
炭治郎は怒りで累に向かった。
累は首が硬いことを教えるために、わざと刀で斬らせた。
炭治郎は累の首を斬ろうとするが、刀が通らない。
累は炭治郎を吹っ飛ばした。
禰豆子は蜘蛛の糸から逃れようとするが身動きができない。
禰豆子を黙らせるために、累は糸を操り痛めつけた。
「集中しろ!呼吸を整え最も精度が高い最後の型を繰り出せ!」
全集中、水の呼吸、拾の型・生々流転!!
折れた刀で、糸を次々斬った。
累は血鬼術・刻糸牢(こくしろう)で、糸の強度を強めた。
真っ赤に染まった刀のように鋭い蜘蛛の糸に炭治郎は負けと死を覚悟した。
竈門家に伝わる神楽、ヒノカミ神楽!円舞!
17分20秒過ぎからの残り約6分20秒、ここからが圧巻です!
このシリーズのクライマックスであり、これほどに音楽と映像が見事にマッチしているシーンは稀です。
神回と言われるのは、この約6分20秒があるからです。
炭治郎の走馬灯。
幼い頃、炭治郎は母や禰豆子と共に、神楽を舞う父の姿を見ていた。
「お父さんは体が弱いのになぜあんなに長時間舞っていられるの?」
父は、疲れない呼吸法があると話してくれた。
父は耳飾りと神楽はずっと継承してくれと言った。約束なんだ…。
炭治郎は目を開け、息を吸いこんだ。
ヒノカミ神楽!円舞!
現れた炎と共に累に突っ込んでいく。
「見えた、隙の糸。今ここで倒すんだ! たとえ、相打ちになったとしても!」
眠っている禰豆子。
亡くなった母が禰豆子に語りかけた。
「禰豆子、起きて。禰豆子…。お兄ちゃんを助けるの。今の禰豆子ならできる」
禰豆子が起きない。母が目に涙をためて語りかける。
「お願い禰豆子、お兄ちゃんまで死んでしまうわよ」
覚醒した禰豆子。
血鬼術!爆血!!!
禰豆子のすさまじい炎の攻撃と炭治郎の攻撃が累の糸を焼き斬った。
ついに刀が累に届いた。
「俺と禰豆子の絆は、誰にも、引き裂けない!!」
父は息子を助け、母は娘を通じて子供たちを助ける。兄妹は互いを信頼し、助け合う。
ジョーセフ・キャンベル「千の顔をもつ英雄」によると、父親は意識していなくとも、若者がより大きな世界へ入っていくときにイニシエーションを授ける指導者なのです。
英雄が父親に会いに行くというのは、恐怖に対して心を開き、完全に認められるために成長することです。父親の顔を見て、理解して、父と子は一体化するのです。
アニメ 第20話「寄せ集めの家族」あらすじ/ストーリー
十二鬼月・累の最期
累の首を斬った炭治郎には力は残っておらず、地面に倒れた。
蜘蛛の巣に引っかかっていた禰豆子も地面に落ちた。
勝った。家に代々伝わる神楽で…。だが、血の匂いが濃くなった。鬼を倒した時に灰のような臭いがしない。
竈門家に代々伝わるヒノカミ神楽は、神楽というよりも、剣舞に近いのかもしれません。
剣舞であれば、舞の中に全ての型が入っていてもおかしくありません。
累が歩き始めた。
炭治郎に斬られる直前に、自ら蜘蛛の糸で首を斬ったのだった。
鬼は日輪刀に斬られなければ死なないので、先に自分で斬ったのだ。
必死で逃げようとする炭治郎に真っ赤な蜘蛛の巣が降り注いだ。糸に当たった炭治郎の手から血が噴き出す。
蜘蛛の糸が切り裂かれた。誰か来た。そ現れたのは冨岡義勇だった。
「俺が来るまで、よくこらえた。後は任せろ」
全集中、水の呼吸。拾壱ノ型・凪
冨岡義勇の間合いに入った糸はばらけた。攻撃ができない。
攻撃を仕掛けようとした累の首を、冨岡義勇は歩きながら斬った。
姉蜘蛛鬼の昔の回想
累に山の中にいる人間たちを始末するよう言われた姉蜘蛛鬼は絶望的な顔をして走っていた。
走りながら、累の家族になる前のことを考えていた。
姉蜘蛛鬼は、ある日鬼殺隊に追われた。その危機的状況を、「家族になる」条件に累に助けてもらった。
累は鬼舞辻無惨に気に入られていた。累は強力な力を持っており、家族となった鬼は累の血を飲んで強さを手に入れることができた。
疑似家族には役割があり、それぞれの役割を果たせない者は累からひどい仕打ちをうけた。
自分が助かりたくて、姉蜘蛛鬼は家族を裏切ったことがあった。
胡蝶しのぶと姉蜘蛛鬼の対決
走っていると、鬼殺隊員の村田を見つけた。そして、糸で作った巨大玉の中に封じ込めた。
「まず溶解液が邪魔な服を溶かす。それからあんたの番よ。すぐドロドロになり私の食事になる」
姉蜘蛛のすぐ後ろに胡蝶しのぶが立っていた。
「わ~~すごいですね♪」
姉蜘蛛鬼は驚いて直ぐに攻撃したが擦りもしない。
「待って!お願い!私は無理矢理従わされてるの!逆らったらバラバラに刻まれる!」
「それは痛ましい。助けてあげます、仲良くしましょう」
「かわいいお嬢さん、あなたは何人殺しましたか?」
「五人…」
「嘘はつかなくて大丈夫ですよ。わかってますから。さっきうちの隊員を繭にした術さばきは見事でした。八十人は喰っていますよね?」
「人の命を奪っておいて何の罰もないなら殺された人が報われません。」
「目玉をほじくり出したり、お腹を切って内臓を引きずり出したり、人を殺した分だけ私がお嬢さんを拷問します。その痛み苦しみに耐え抜いた時あなたの罪は許される。一緒にがんばりましょう♪」
姉蜘蛛鬼はゾッとした。
「冗談じゃないわよ。死ねクソ女!」
「仲良くするのは無理なようですね~♪ 残念、残念!」
蟲の呼吸、蝶ノ舞、戯れ♪
姉蜘蛛鬼は、首を斬られなかったので安心して反撃しようとした。
その瞬間、体中が変色して苦しみ始めた。
胡蝶しのぶは微笑みながら、刀を回して言った。
「鬼殺隊、蟲柱・胡蝶しのぶ。私は柱の中で唯一鬼の首が斬れない剣士ですが鬼を殺せる毒を作ったちょっとすごい人なんですよ」
姉蜘蛛鬼は毒が回って死んだ。
村田は一命を取り留めたが、服は溶かされ一糸纏わぬ姿だった。
危ういところを冨岡義勇に助けられた炭治郎は、やっとの思いで禰豆子のところに向かい、抱きしめた。
累は消えていくなかで、最期に本物の家族の絆を目にした。
アニメ 第21話「隊律違反」あらすじ/ストーリー
累が人間だった頃の回想
人間だった頃の累は、生まれつき体が弱く、他の子のように遊んだりできなかった。
その累を救ってくれたのが鬼舞辻無惨だった。両親は喜ばなかった。
ある日父が戸を開けると、累が食べ散らかした人間の姿があった。父は絶望し、母は泣いた。
累はすばらしい話を聞いた。
川でおぼれそうになった子供を助けて、親が亡くなったという話である。命をかけて親の役割を果たした親の愛と絆に感激したのだ。
累の両親は、累が眠っている時、累を殺そうとした。累は気配を感じ取り、二人を殺した。
まだ息があった母は、「丈夫な体に産んであげられなくてごめんね」と言って事切れた。
父は「大丈夫だ、累…。一緒に死んでやるから」と涙を流していた。
累が人を殺した罪を共に背負って死のうとしたのを、ようやく理解した累だったが遅すぎた。
鬼舞辻無惨は親のせいにして累をかばった。そして、累も親のせいだと思うしかなかった。
消えゆく累と亡き両親と
冨岡義勇に首をはねられた累の体は、炭治郎のところへゆっくり歩いた。炭治郎の元へたどり着く直前で力尽きた。
禰豆子のそばで倒れた炭治郎は、累から大きな悲しみの匂いに気付いた。そして、炭治郎はやさしく累の背中を触った。
炭治郎のやさしさに触れ、累は両親に謝った。
「ごめんなさい、全部…全部僕がわるかった。どうか許してほしい。でも山ほど人を殺した僕は地獄に行くよね。父さんや、母さんと同じ所へは行けないよね…」。
「そんなことはない。一緒に行くよ、地獄でも。累」 父のやさしい笑顔。
「累。どこまでも一緒よ」母も優しい笑顔。
累は泣きながら両親に謝り、消えていった。
禰豆子を狙う胡蝶しのぶと庇う富岡義勇
累が消えた着物を冨岡義勇が踏みつけた。
「人を食った鬼に、情けをかけるな。子供の姿をしていても関係ない。何十年と生きている、醜い化物だ」
「殺された人達の無念を晴らすため、これ以上被害を出さないため、もちろん俺は、容赦なく鬼の首に刃を奮います。だけど、鬼であることに苦しみ、自らの行いを悔いている者を、踏みつけにはしない」
「鬼は人間だったんだから。俺と同じ、人間だったんだから。足をどけてください。醜い化け物なんかじゃない、鬼は虚しい生き物だ、悲しい生き物だ」
胡蝶しのぶが来た。しのぶが狙っているのは禰豆子。それを冨岡義勇が阻止した。
「どうして邪魔をするんです?冨岡さん。鬼とは仲良くできないって言ってたくせに。何なのでしょうか?そんなだからみんなに嫌われるんですよ♪」
山の中では、解毒剤を使って鬼滅隊の救助活動が行われていた。善逸が鬼を倒したおかげで毒の巡りがすこしだけ遅くなっている。これなら全員助かりそうだった。
胡蝶しのぶは微笑みながら富岡義勇にどくように言った。少しの間があって、冨岡義勇がつぶやいた。
「俺は…俺は嫌われてない」。
「…嫌われてる自覚がなかったんですね。余計なことを言ってしまって申し訳ないです」。
胡蝶しのぶは、炭治郎が庇っているのが鬼だから離れるように言った。炭治郎は妹だと説明した。
「可哀想に。では苦しまないよう、優しい毒で殺してあげましょうね」
冨岡義勇が炭治郎に命じた。
「動けるか?動けなくても根性で動け。妹を連れて逃げろ」
炭治郎は禰豆子を連れて走り去った。
「これ、隊律違反なのでは?」
胡蝶しのぶと冨岡義勇が対峙した。
「本気なんですね。冨岡さん。まさか柱が鬼をかばうなんて。あなたがその気だあろうと、私はここで時間稼ぎに付き合う気はありませんので。では、ごきげんよう」
逃げる炭治郎と禰豆子と鬼殺隊の少女
禰豆子を入れる箱を取って走る炭治郎だったが、背中に鬼殺隊の少女が乗っかり、倒れた。
少女は、すぐさま禰豆子に斬りかかった。
炭治郎は少女の服を引っ張り、禰豆子に逃げるように叫んだ。
斬られそうになった瞬間、禰豆子の体が縮み子供のようになった。
冨岡義勇は胡蝶しのぶを羽交い締めにしていた。理由を求める胡蝶しのぶに、あれは確か2年前のこと…と話し始めた…。
その時、鎹鴉がやって来た。
伝令、本部マデ連レ帰ルベシ
「伝令伝令!本部ヨリ伝令アリ。炭治郎、禰豆子、両名ヲ拘束、本部ヘ連レ帰ルベシ!」
善逸は包帯でグルグル巻きにされた。善逸らを助けたのは、鬼殺隊と鬼が戦った後の事後処理部隊「隠(かくし)」だった。構成する隊員は剣技の才に恵まれなかった人が殆どだと言われている。
夜が明けた。
炭治郎は手を後ろに縛られた状態で起こさた。目の前には「柱」達が立っていた。