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ドラマ「おせん」に、失われた江戸の味をみる

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下町を舞台にしたドラマ

「おせん」は東京下町を舞台にしたドラマです。

原作は講談社の「モーニング」「イブニング」に連載されているきくち正太氏の漫画です。

おせん
日本テレビ「おせん」(2008年4月期火曜ドラマ/主演:蒼井優)公式サイト。

個人的には気に入っていたドラマで、和テイストと伝統文化の継承を訴求した点が良かったと思っています。

もっとも、視聴率は苦戦したようで、一般的には微妙な評価なのかもしれません。

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オープニング

気に入っていた点はもう一つありました。

オープニングの音楽と映像が格好良かったのです。

私の音楽の趣味から、普段はドラマの主題歌には全く反応しません。

ですが、「おせん」のオープニングは映像とドラマが上手くミックスされて、PVとしても出来のいいものになっていました。

味をつなぐ

最後の二話は、本枯節という手間暇のかかる鰹節を巡る話でした。

この中で印象的な場面がいくつか出てきました。

「船場吉兆」の使い回しを模した場面や、昨今の食の事情などがそうした印象的な場面でした。

この中でたびたび出てきたのが「(味を)つなぐ」という言葉でした。

失われた江戸の味

これで思い出したのが、佐藤雅美氏の「縮尻鏡三郎 首を斬られにきたの御番所」に書かれていた内容です。

江戸の味文化は継承されておらず、失われた味になっているというのです。

「そんなはずはない」と思いました。

現に東京にも老舗があるからです。

ですが、江戸の味文化は失われているのです。

書かれた内容を要約してみます。

  • 江戸の味文化は田沼時代から磨きがかかり頂点を究めた。
  • だが、田沼時代の後の天保の改革時の奢侈禁止令で最初の打撃を受ける。
  • 幕末の安政の大地震での不況で打撃を受ける。
  • さらに、文久期の参勤交代緩和で武家が国許に戻ったため、江戸に金が落ちなくなり不景気に追い打ちをかける。
  • だめ押しは、御一新後に味の分からぬ薩長の田舎侍が闊歩するようになったため江戸の味が失われた。

こうして江戸の味文化は今に至るも復活していません。

失われた江戸の味に対して、珍重されているのは、江戸に輸入された京の味文化です。

ここで言いたいのは恐らく、この当時の「頂点を極めた店」の味は現在に伝わっていないということなのでしょう。

失われつつある文化や伝統

江戸の味文化に限らず、同じようなことは他にも多くあると思います。

そして、現在も失われつつある文化や伝統というのは数多くあるはずです。

もちろん、逆もあるでしょう。

失われたものを復活しようとする試みです。

ですが、一度失われたものを復活することの大変さは並大抵でないはずです。

それが感覚に頼らざるを得ないものであればあるほど不可能に近いのではないでしょうか。

一度失ってしまった一流の文化や伝統は二度と復活しないことを知っておかなければなりません。

それを思い出させてくれたドラマでした。

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