覚書/感想/コメント
百助と名乗るいかさま師と鳶人足の辰次の迷コンビが繰り広げる、ドタバタいかさま劇。
といってしまうと、チンケな感じがするが、そのいかさまのカラクリや、仕掛け方が見事である。(ま、若干コミカルな感じがするのは否めないが。)
しかも、佐藤雅美の時代考証の緻密さが、いかさまを仕掛ける場面場面に現れている。これは見事としかいいようがない。
また、この小説では、最後の最後まで百助の真の目的と正体が明かされない。そして、何故百助が辰次と組むのか、その理由も最後まで読まないと分からないようになっている。
内容/あらすじ/ネタバレ
辰次は普請場で百助と名乗る老人と知り合い、腹痛をうったえる百助を連れて帰る。助けてくれたお礼に百助は籤のいかさまを披露し、取退き無尽で儲けようという。百助の鮮やかないかさまが冴えわたる。
次に目をつけたのは大店。この大店を嵌めるために仕掛けた方法とは。
そして、次々とはまる百助のいかさま、そして、百助の真の目的とは何なのか。
本書について
佐藤雅美
百助嘘八百物語
講談社文庫 約三四〇頁
江戸時代 市井もの
目次
いかさま師の正体
千軍万軍の闇将軍
御国替銀札一件
命なりけり
一白天狗の脅迫状
初めての恋
小六の心境
福の神
登場人物
百助
辰次
門脇喜三郎
政吉
お美津