佐藤雅美の「半次捕物控 第2巻 揚羽の蝶」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

江戸の岡っ引が、頼まれて参勤交代の人足として遠方に赴いて、さらに複雑な事件に巻き込まれていく物語。

参勤交代の様子が描かれている小説自体が非常に珍しいのではないだろうか。殿様の食事を担当する料理人がいるばかりでなく、専用のトイレ、つまり”おまる”があったりと、ようは大名行列自体が、殿様の生活道具一式を運びながら進んでいくというのは初めて知った。それにしても、殿様のトイレを運ぶ役目はイヤだろうなぁと思ってしまうのだが…。

また、本書では半次の隠された出生の秘密が書かれているが、それは本書を読んでのお楽しみということで。

内容/あらすじ/ネタバレ

死んだ常吉の娘・お美代を半次が育てている。常吉の妻、つまりお美代の母・お芳も死んでしまったからである。半次は、お美代に愛情を感じつつ、日々を岡っ引としての仕事に精を出していた。

そこに、いが茄子と呼ばれるしびれ薬を使って、大店の娘を凌辱した男を捜してくれと頼まれる。しかも、その犯人と思われる男が、備前岡山池田家の家中の者であるかのうせいがあるので、参勤交代の人足として紛れ込んで、犯人のあたりを付けて欲しいと言われる。

半次はそもそも、池田家に何かしらの縁があるらしかった。半次に百両もの金を残してくれたおばさんが、揚羽の蝶を御紋としている家に奉公していたらしいのである。

揚羽の蝶が御紋の家は二家ある。一つは因幡鳥取三十二万石の池田家、もう一つが備前岡山三十一万五千石の池田家である。

不思議な縁であるが、半次は、お美代を残して、この参勤交代の人足として紛れ込んで、備前岡山に向かう。

しかし、旅も始まってすぐに、いが茄子をつかったと思われる事件が発生する。池田家中の者が死んだのだ。これで怪しまれたのが、半次とロクという人足の二人。

怪しまれているのを知りつつ、頼まれた通り、いが茄子男を見つけるために、半次は岡山まで赴くが、岡山に着いたとたん、半次は縛られ、いろいろと詰問される。詰問中に半次は逃げることを得たが、逃げる際に背中を切られてしまった。

半死の状態の半次を助けてくれたのは、岡田屋熊五郎という親分だった。この熊五郎の世話になりながら、傷をいやし、江戸へと帰る。

結局、いが茄子男を見つけることはできなかった半次であるが、そもそもいが茄子男自体がいなかったのではないかと考え始める。しかし、事態は意外な方向へ向かう。半次は、備前岡山池田家の跡継ぎ問題に巻き込まれていくのである。

いが茄子男は実在するのか?そして、このいが茄子男と備前岡山池田家のお家騒動との関連は一体何なのか?

本書について

佐藤雅美
揚羽の蝶
半次捕物控
講談社文庫 上下計約七〇〇頁
長編
江戸時代

目次

密命
お国入り
雨の茅葺き小屋
満天の星
夕闇の人影
川面に浮かぶ縄
掃部助の高笑い
八幡宮縁の下
お美代の命
それぞれの追跡
いが茄子男
密殺
消える手がかり
不思議な縁

登場人物

佐助…蕎麦屋長寿庵の主人
政吉…人宿亀徳の元締
ドロ亀の信次…宰領
ロク(六蔵)…人足
ハチ(鶴八)…人足
池田(松平)少将上総介斉政
紀伊守…池田(松平)少将上総介斉政の養子で掃部助の息子
伊佐京之介…側小姓頭
池田(松平)掃部助…池田(松平)少将上総介斉政の実弟
田端嶽右衛門…掃部助の家来
池田出雲…国老
浜崎…老女
中山兵庫…小仕置
歌沢…薩摩島津家の中老
水野出羽守
林肥後守忠英
吉岡頼母…林肥後守の用人
岡田屋熊次郎…宮内の親分
お志摩…熊次郎の娘
英五郎…両国広小路の親分

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