宮城谷昌光の「華栄の丘」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

春秋時代の宋の宰相・華元を描いた小説。同時代には晋に趙盾がおり、士会がいる。春秋五覇のひとりにあげられる楚の荘王もいる時代である。

華元は生涯詐術と無縁の男であった。華元ほど平和を熱望した宰相もいないだろうと宮城谷氏は言う。この時代、晋と楚が戦いをやめない限り平和は訪れない。この思いがやがて歴史的慶事を実現させる。宋の西門の外で晋と楚が盟いを交わすことになったのだ。偉業である。

この華元は宋の文公が死に、次の共公、平公の代まで仕えた。なおも宰相であった。

さて、宋は商(殷)の末裔が建てた国である。一度天下を治め、失敗した王室の姓は、二度と興ることはないといわれる。

それどころか、宋は時代を下って滅びてしまう。その様子は宮城谷昌光氏の「楽毅」に詳しい。

最後に。宮城谷氏の作品の中で、この華元と同時代を生きた人物を描いたものに、「孟夏の太陽」と「沙中の回廊」がある。これを読めば当時の中国の情勢というのがよくわかるはずである。

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内容/あらすじ/ネタバレ

華元(かげん)は宋の大夫である。二十九才で家を継ぎ、今年で三十四才になっているが君主の昭公に忘れられたように職管は与えられていない。だが、宋の貴族の間では無視されていない。

宋は商(殷)の遺民の国である。一度天下を治め、失敗した王室の姓は、二度と興ることはないといわれる。

華元の家は宋の公室の分家である。華元は五代目の当主である。そして、今の君主・昭公の評判は悪い。

乱になるという噂がある。公子鮑(こうしほう)が兵を挙げるというのだ。

公子鮑と王姫との密事がある。王姫は公子鮑に華元を推挙した。華元とともに宋を粛清し、再建せよと。王姫は華元が貴族の間で信望を高め、庶民に人気のあることを知っていた。

この公子鮑が華元を訪ねてきた。

華元は公子鮑に自分で兵を挙げてはならぬと言う。宋が公子を必要とするまで耐えよと言った。自分も耐えると。

公子鮑は一夜熟考し、弟の公子須(こうししゅ)に桓氏とのつきあいをさしひかえさせた。桓氏は国内最大の勢力である。

王姫は華元に見識があり、邪心がないのを確認して、決心をつけた。王姫は昭公から離れた国人の心を取り戻し、昭公を孤立させるための手を次々と打っていった。

昭公の死は国民に知れ渡った。

公子鮑が宮中に入るにあたり、陰謀が張り巡らされていたことを華元は知った。陰謀は二つあった。これを食い止め、公子鮑は宮中に入った。

公子鮑は文公といわれる。華元は右師に任命された。

依然として文公を狙う二つの勢力があることに華元は頭を悩ませていた。一人は公子須であることがわかっている。もうひとつは武氏である。

晋が動いた。これは華元の予想の中にあった。晋の宰相は趙盾である。

だが、外交がきき、諸侯は文公の即位を認めた。

華元の臣として士仲が加わった。士仲は王姫とつながりがある。血縁関係にあるのだ。

東方で凶事があった。斉の君主が殺されたのだ。

一方で、公子須の家に武氏の重臣の出入りがあるという。華元は公子須を説得することにした。途中で王姫が待ち受け、説得は諦めることにした。だが、武力での壊滅を華元は好まなかった。だから、説得を考えたのだ。華元は生涯詐術とは無縁の男だった。

士仲は桓氏が国権を握るのではないかという。桓氏が反逆者たちを操り始めたと考えているのだ。

反乱の鎮圧に貢献のあった楽呂(がくりょ)が抜擢された。

楚軍が北伐をし、宋の国境を侵した。楚王は荘王である。春秋五覇のひとりにあげられる。

楚軍はゆっくりと宋の国を通過したのを見て、儀式だと納得がいった。やがて晋軍があらわれた。援軍の将は趙盾である。

楚軍と晋軍を中心とした連合軍の戦いが始まった。華元はこの戦いの中で御者に裏切られた。中国戦史上、これほど珍奇な事件はない。士官が元帥を拉致して敵の本陣にとどけたのだ。

華元は捕らわれてしまった。

華元を取り戻すためにいかなる償いもすると申し出た。そして士仲が華元を救い出した。

華元は自分を誇らない人であり、文公も我を見せない。ふたりに治められた宋は安泰であり、七年間国内に侵入してくる軍はなかった。
が、八年目に楚が進撃してきた。楚は最盛期である。

楚の使者が無断で宋を通過しようとした。楚の無礼をたださなければ、宋は戦う前に死んだ国になってしまう。使者を捕らえることになった。

宋は引くに引けない戦いをすることになった。晋への援軍要請をしている間に、包囲された。

籠城は百五十日を超えた。兵糧が底をつきかけている。

晋と楚の力は歴然としており、援軍を出しても宋を救えそうにない。できることは宋を励ますことだけだ。宋へ使者を出し、まもなく援軍が着くといわせた。

この使者を楚の荘王は捕まえ、援軍が来ないと言わせようとしたが、使者は土壇場で自分の君主の命を果たしたのだった。

籠城は二百日を超え、ついに根負けした荘王は引き返した。

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本書について

宮城谷昌光
華栄の丘
文春文庫 約二七五頁
春秋時代 紀元前7世紀~前6世紀

目次

天の章
地の章
風の章
人の章
陰の章
変の章
飛の章
羊の章
俘の章
復の章
坎の章
礼の章
華の章

登場人物

華元
華仲(士仲)
華呉
楽呂
王姫
文公(公子鮑)
中大夫…文公の家宰
華弱
公子須…公子鮑の弟
桓氏
武氏

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