テーマ:江戸時代(化政文化)

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化政文化

江戸時代の後期、江戸の繁栄に伴って文化の中心は上方から江戸へ移っていきました。

19世紀初めの文化文政期に最盛期を迎えましたので、化政文化と呼ばれています。

徳川家斉の頃の文化で、江戸の庶民による文化です。滝沢馬琴、鈴木春信、葛飾北斎などが活躍し、蘭学から洋学へ発展しました。

化政文化は幕府の厳しい統制のなかで、活気を失って退廃と無気力に満ちていましたが、庶民の文化水準が向上した時期でした。

寺子屋が増え、村役人や神職、僧侶などが師匠となって読み書きを教え、その結果、庶民も和歌や俳諧をつくって、小説を読むことができるようになりました。

18世紀後半には江戸の遊里を中心に洒落本が流行しましたが、寛政の改革で禁止され、山東京伝が処罰されます。

変わってさかんになったのが、滑稽本と読本です。

  • 十返舎一九「東海道中膝栗毛」
  • 式亭三馬「浮世風呂」「浮世床」

天保期はじめには、恋愛を主題とする人情本が流行しましたが、天保の改革で禁止され、為永春水が処罰されます。

勧善懲悪の思想を盛り込んだ小説の読本が読まれました。

滝沢馬琴(曲亭馬琴)「南総里見八犬伝」…約30年にわたり、100冊以上も続いて人気を集めました

俳諧

  • 天明時代:与謝蕪村
  • 化政時代:小林一茶

川柳(狂句)・狂歌

  • 柄井川柳
  • 蜀山人(太田南畝)

美術の世界では、明・清の影響を受け文人や学者が描いた文人画や、西洋画の遠近法、立体描写法を取り入れた円山応挙の写生画などが見られました。

浮世絵と錦絵

  • 菱川師宣…浮世絵版画を大成しますが、墨一色でした
  • 鈴木春信…田沼時代に多色刷りの錦絵を始めました
  • 東洲斎写楽…役者絵、18世紀末
  • 喜多川歌麿…美人画、18世紀末
  • 葛飾北斎…「富嶽三十六景」天保期
  • 歌川広重…「東海道五十三次」天保期(安藤広重として知られていましたが、歌川広重が正しい表記です)

生活と信仰

町人は階層によって上下の格差が激しかったのですが、都市には劇場や見世物小屋などの娯楽場が多く作られ、落語や講談などの演芸も盛んでした。

寺子屋に学ぶ町人の数も増えます。

年中行事が整えられてきたのもこの時期です。

  • 五節句
  • 正月にむかえる年神
  • 盆にむかえる祖先の霊
  • 豊作を祈る春祭り
  • 収穫を感謝する秋祭り

人々は寺社の縁日や開帳、富突(富くじ)などに集まりました。

湯治や物見遊山の旅に出る人も増えました。

  • 伊勢神宮参拝
  • 西国三十三ヵ所巡礼
  • 四国八十八ヵ所巡り

新しい学問

国学と尊王論

幕藩体制の動揺の中で、国学が興ります。

元禄期に万葉集や源氏物語などの古典の研究が行われていました。
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18世紀初め:荷田春満が古典研究の必要性を説きました(京都伏見の稲荷神社の社家出身)
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18世紀半ば:賀茂真淵が「古事記」「万葉集」を研究し、外来思想の影響を受ける前の古代の思想に戻ることを主張します(近江浜松の神職の家出身)
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本居宣長(伊勢松坂の医師)が「古事記伝」をあらわします。古代の神話研究にたいして、後世の思想を加えずに、素直な気持ちでのぞみ、古代人の心を知るべきであると主張しました。

塙保己一(武蔵出身の盲目の学者)は国学の研究を進めるため、幕府に働きかけ和学講談所を設立し、「群書類従」を編纂します。

本居宣長の死後、教えをうけついだ平田篤胤は、儒教や仏教を排斥し、共鳴する人々も出ました。

なかには、外国のものはすべてよくないとし、日本中心の復古思想を抱くものも出ました。

こうした思想が広まる中で、アメリカやヨーロッパ諸国が日本に開国を求めに来るようになると、攘夷思想が生まれました。

国学からは天皇が統治していた古代が理想の社会とする考えが生まれ、尊王思想となっていきます。

洋学

洋学も18世紀初めの新井白石らの研究から道が開かれました。

吉宗の時代に漢訳洋書の輸入制限が緩められ、田沼時代の「解体新書」の訳述がされました。

長崎に寒暖計、望遠鏡などが輸入され珍重する人が増えました。

蘭学や蛮学と呼ばれて西洋の学問に関心を抱く人が増えました。

18世紀半ばには天文台が作られ、19世紀初めには蛮書和解御用という役所を作り、ヨーロッパの書物の翻訳を始めました。医学の研究の為に種痘所も作られました。種痘所は明治になって東京大学のものになります。

民間では19世紀前半に長崎出島のオランダ商館のドイツ人医師シーボルトが長崎郊外に鳴滝塾をひらき、緒方洪庵が大坂で適々斎塾(適塾)を開き、福沢諭吉や大村益次郎らの人材を養成しました。

天保8(1837)年、アメリカ船のモリソン号が異国船打払令によって撃退される事件が起きます。この事件を知った、蘭学研究の尚歯会をつくっていた渡辺崋山、高野長英らは幕府の鎖国政策を批判します。これに対して幕府は処罰します。蛮社の獄と呼ばれる事件です。

幕藩体制の動揺とともに、様々な批判がされるようになります。

18世紀初め、古文辞学者の荻生徂徠は都市膨張の弊害を指摘しました。武士の土着を主張しましたが、弟子の太宰春台は武士が商業活動に乗り出して専売制度で利益を収めるべきと主張しました。

18世紀前半に八戸の医者・安藤昌益は「自然真営道」をあらわし、身分制の世を否定しました。

大坂の商人らによって設立された幕府公認の学問所である懐徳堂から徳永仲基、山片蟠桃らがでて儒教や仏教など既成の教学の権威に疑問を呈しました。

封建社会の矛盾を打開する議論が展開されました。

  • 海保青陵:商売を卑しめる武士の偏見を批判して藩財政の再建を商工業によるべきと主張
  • 本田利明:貿易振興による富国増進の必要を力説
  • 佐藤信淵:産業の国営化と貿易の振興を主張

尊王思想

  • 水戸学:儒学を基盤にした尊王思想で、天皇を王者として尊ぶ観念的な形で発達
  • 宝暦事件:18世紀半ばに竹内式部が京都で公家に尊王論を説いて追放刑
  • 明和事件:山県大弐が江戸で尊王論を説いて幕政を批判したため、死刑の処せられる

幕末になると、尊王論は政治運動と結びつき、明治維新を生み出す勢力に発展します。

参考文献

テーマ別日本史

  1. 縄文時代と弥生時代
  2. 古墳時代から大和王権の成立まで
  3. 飛鳥時代(大化の改新から壬申の乱)
  4. 飛鳥時代(律令国家の形成と白鳳文化)
  5. 奈良時代(平城京遷都から遣唐使、天平文化)
  6. 平安時代(平安遷都、弘仁・貞観文化)
  7. 平安時代(藤原氏の台頭、承平・天慶の乱、摂関政治、国風文化)
  8. 平安時代(荘園と武士団、院政と平氏政権)
  9. 平安時代末期から鎌倉時代初期(幕府成立前夜)
  10. 鎌倉時代(北条氏の台頭から承久の乱、執権政治確立まで)
  11. 鎌倉時代(惣領制の成立)
  12. 鎌倉時代(鎌倉文化)
  13. 鎌倉時代(蒙古襲来)
  14. 鎌倉時代~南北朝時代(鎌倉幕府の滅亡)
  15. 室町時代(室町幕府と勘合貿易)
  16. 室町時代(下剋上の社会)
  17. 室町時代(東山文化)
  18. 室町時代(戦国時代)
  19. 安土桃山時代
  20. 江戸時代(幕府開設時期)
  21. 江戸時代(幕府の安定時代)
  22. 江戸時代(幕藩体制の動揺)
  23. 江戸時代(化政文化) 本ページ
  24. 江戸時代(幕末)
  25. 明治時代(明治維新)
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